文字には力がある。津田雅美『ヒノコ』の世界と文字表現
ネット上だとあまり名前を見掛けない印象もあるのですが、津田雅美さんの『ヒノコ』ってどのくらいの方が読まれているのでしょうか?
- 作者: 津田雅美
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2012/10/05
- メディア: コミック
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- 作者: 津田雅美
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2013/06/05
- メディア: コミック
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津田雅美さんの最も有名な作品となりますと、やはりアニメ化もされた名作『彼氏彼女の事情』になるかと思いますが、それ以降も、互いの認識のズレが2つの視点からコミカルに描かれる『eensy-weensy モンスター』、江戸時代が現代(西暦2000年以降)まで続いているという設定の『ちょっと江戸まで』と、秀作を続けて描かれています。
そして現在「LaLa」で連載中の作品が、上に挙げた『ヒノコ』です。
この作品、ストーリー的にも表現的にも実に面白い作品なので、今回ちょっと取り上げてみようかと。以下、ネタバレ描写も若干含みますので読み進める際にはご注意を。
『ヒノコ』は、古代日本をモティーフにした世界(弥生時代〜平安時代を混ぜたような世界観)が舞台の、オリエンタルファンタジーです。この地には、不思議な能力を持つ「巫女」が存在しており、異形の存在も実際にいる。
ある日、「宝物」を都へ運ぼうとしていた悪徳商人が、盗人に襲われます。
宝物の噂を聞きつけて襲った盗人の首謀者は、近くの町に暮らす浮浪児の少年・シン。首尾よく「宝物」を手に入れたシンが、その中身を確認すると、
(津田雅美『ヒノコ』1巻16ページ。)
中に入っていたのは、身動きの取れない状態にされ、激しく暴行を加えられた女性。
シンはその女性・マユラを介抱してやります。そしてマユラを奪われた商人は、都の役人を引き連れて町へと戻ってくる。
町を訪れた役人は、盗賊行為が町ぐるみで行われていたと判断し、全員を捕縛しようとします。その様子を見たマユラは、紙と筆を手にして役人・商人の前に姿を現す。
「巫女」としての力を示したマユラ。
彼女は「書いた文字の意味を具現化させる能力」を持っています。上のコマは、見開きの関係上見えづらいかもしれませんが、「縛」の文字を書いて役人と商人を縛り付けている場面ですね。
役人の手を逃れ、更には枯れ果てていた土地を元の姿に戻したマユラと、彼女に付いて行くことに決めたシンは、当てのない旅路へと就きます。そしてマユラの能力を危険視した役人・クランドはマユラたちを追い始める・・・。
と、ここまでが第1話。
ここからは、言わばロードムービー的な物語展開となります。マユラを追うクランド、追っ手から逃れようと旅を続けるシンとマユラ、訪れた村での村人たちの交流や危機。
この国では、巫女を手にした町・村は栄えるという伝承がまことしやかに伝わっています。実際、巫女の不思議な力(巫女によって能力は色々)を巧く使って栄えることができる。その一方で、国は「巫女狩り」を進めており、巫女としての能力を持つ者は王朝へと集められます(力=権力の集中みたいなものですかな)。巫女を手許に置いておきたい人物・或いは村や町は、巫女を巧妙に隠し持つ。栄えるために巫女を攫うことも行われる。
マユラとシンも、数々の思惑に巻き込まれながら、能力を用いて危機を切り抜けたり、時には人助けをしながら、旅路を重ねていきます。更には王朝建国時の伝説や予言も絡み合い、物語の規模は徐々に大きくなってきているところです。
そしてこの作品の白眉とも言えるのが、マユラの「力」の表現ではないかと。
文字の意味を具現化する、と書きましたが、『ヒノコ』において用いられる文字は多岐にわたります。古代の文字も使われる。
使われている(或いは、これから使われるであろう)字体を幾つか挙げますと、甲骨文字・金文・篆文・隷書・草書・行書・楷書等々。これらの中でも、とりわけ甲骨文字〜篆文にかけては、初期の象形文字ということもありましょうか、キャラクター性を備えています。それを実に巧く、作品の表現に取り込んでいると思う訳です。
もっとも判り易いと思われるのがこちらでしょうか。
楷書か行書で書かれた「見」の文字が動き出し、隷書(もしかすると篆文かも)に変化した段階で紙から立ち上がり、更には金文に変化して「目」と「人」になってキャラクター化し、感情すら持つようになっています。目玉だけなのに何とも可愛らしいですな。
そしてこういった表現、実にマンガ(やアニメーション)ならではの面白さがあると思う訳です。嘗て手塚治虫が「マンガとはメタモルフォーゼです」的な内容の発言をしたことがあったかと思うのですが、それを地で行く表現かな、という気も。
他にも、こちらは『ヒノコ』の舞台となる国の図ですが、大王の支配下にある国「白𥄢(ハクソウ)」「緑蘩(リョクカ)」「赤承(セキショウ)」の3つの国の名前・文字にも明確な意図が込められています。あまりネタバレが過ぎるのも問題なので、ご興味のある方は是非単行本を。
物語の展開的にも「文字」が不可分に組み込まれており、尚且つ表現としても面白い。より多くの方に読まれて欲しい作品だと思います。
といったところで、ひとまずはこのくらいで。
6月21日
21日に購入したのはこちら。
- 作者: Ark Performance
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2013/05/30
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- 作者: 鬼頭莫宏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/06/21
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- 作者: 木尾士目
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/06/21
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以上3冊。
『げんしけん』、やはり第80話は感慨深いものがありますね。これが描かれて良かったとしみじみ感じます。そして1つの大きなストーリーが決着をみて、また別のストーリーが、下の世代を中心とした物語が本格的に動き出すのかな、と思う訳ですが、それにしても斑目のモテ期たるや(以下略)。
下の世代だと、やはり注目を集めているのは波戸くんなのでしょうが、個人的に気になっているのは吉武なんですよね。現時点で、屈折らしい屈折を何一つ見せていない。こういう存在として周囲を引っ掻きまわし続けるのか、或いは荻上以上の闇を抱えていたりするのか。個人的な嗜好で言えば後者が読み応えがあって良いのですが、果てどうなるか。
「漫画家使用画材アンケート」分析
先日、「季刊エス」最新号を購入しました。
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2013/06/15
- メディア: 雑誌
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この2013年7月号(43号)の目玉と言える特集が、10周年特別企画として行われた「漫画家使用画材アンケート」です。コミックナタリーでも取り上げられていましたね。
115名のマンガ家さんに行った大アンケート。アンケート参加作家さんの一覧は上記リンクをご参照戴ければと。
質問事項は、この号の特集が「メイキング・スペシャル 画材百科」ということもあり、画材・作画方法が中心となっています。小さな文字が、6ページぎっしりと埋まっている特集は一読の価値あり。
今回は、このアンケート結果を幾つか分析してみようかと思います。
【アナログ・デジタルの比率】
- アナログ:83/115(72.2%)
- デジタル:21/115(18.3%)
- 双方併用:11/115(9.6%)
やはりまだ、ペンを用いての作画(アナログ)が大きな割合を占めていますね。
とは言え併用も含めればデジタル使用率は約28%、今後もこの割合は少しずつ増えていくのかな、という気はします。
【人物を描く際に用いるペンの比率】
合計数が83を越えるのは、併用されている方が多いためです。
基本的に手数えでカウントしているため、若干ズレが生じているかも。また分類の際に勘違いしている可能性もあるので、その点ご留意戴ければと。
Gペンと丸ペンの使用率が圧倒的に高いですね。また、Gペンと丸ペンは併用率も高いのが特徴かと思います。髪の毛とか、細やかな描写が必要な際に丸ペンを使用するケースが多いようです。
一昔前だとマンガで使用するペン=カブラペンというイメージもあったように感じますが、現在は用いる方は少なくなっている模様。
使用率は半々といったところ。機種を回答しているケースに関しては、 Mac の名称がないもの(dynabook とか Lenovo とか)は Windows と判断。やはりカウントミスはあるかも。
デザイン関連の仕事をする人は Mac という、漠然としたイメージから考えると少ない気もしますが、それぞれの普及率から考えれば、Mac の割合はかなり高いと言えるのかもしれませんな。
【使用タブレットの比率】
- BAMBOO(バージョン不明):1
- intuos 3:4
- intuos 4:9
- intuos 5:2
- intuos(バージョン不明):2
- cintiq 12WX*5:4
- cintiq 21UX*6:6
- cintiq 24HD*7:3
- 機種不明・未回答:4
intuos と cintiq が人気を二分していますね。
cintiq のほうが、(価格・重量の面から見ても)より専門性が高いといいますか、プロフェッショナル・本格仕様といった印象を受けますかな。
回答に出ている機種はすべて WACOM 製品なので、タブレット市場においては WACOM が圧倒的シェアを占めているのが窺えます。
【デジタル作画における手描き使用率】
- フルデジタル:13
- 設定画のみ手描き:1
- ネームまで手描き*8:5
- ラフ・線画まで手描き*9:5
- 人物まで手描き:1
- ペン入れまで手描き*10:5
- 背景のみ手描き:1
- アナログのほうが質感が出る箇所(植物等)のみ手描き:1
- 仕上げのみデジタル作画を使用:1
- 未回答:1
デジタル作画を利用している32名のうち、フルデジタルは13名(40.6%)。
アナログ併用の人を除けば21名中13名(61.9%)。
作業効率・環境と作家さんのこだわりのバランスも、それぞれ段階があることが窺えて興味深かったです。
長くなってきたので一区切り。
このアンケート、資料的な価値も高いのではと思いますので、ご興味のある方はご一読をお薦めします。回答者も含めた、マンガ家・イラストレーターさんの作画行程の記事も別にありますので、作画そのものに興味がある方にも参考になる号かもしれませんね。
といったところで、本日はこのあたりにて。
6月20日
20日に購入したのはこちら。
- 作者: 絵夢羅
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2013/06/20
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- 作者: 坂本眞一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/06/19
- メディア: コミック
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- 作者: 蒼星きまま
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2013/05/13
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以上3冊。
『イノサン』は、『孤高の人』で登山の世界を描いた坂本眞一さんの新作。今度の作品で描くのは、歴史上恐らくは最も有名な処刑人、シャルル-アンリ・サンソン。1巻で描かれるのは、処刑という制度・そしてその役割を担い続けるサンソン家じたいに疑問を抱く、題名が示すとおりの純真無垢な少年・シャルル-アンリが描かれます。
彼が如何にして、フランス革命時に最も恐れられる処刑人となるのか、彼の無垢な心は如何なる彷徨をするのか。歴史物が好きなので、この作品には大きな期待を寄せています。
6月19日
19日に購入したマンガはこちら。
- 作者: Ark Performance
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2012/10/30
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- 作者: 大井昌和
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2013/04/19
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- 作者: ラズウェル細木
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/06/19
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以上3冊。
『口福三昧』は、ラズウェル細木さんが「おとなの週末」で描いている連載作品、とのこと。さすがに「おとなの週末」まではチェックしていないので、単行本が出て初めて存在を知ったという次第です。
様々な料理の名店を訪れたり、数々の蘊蓄が披露されたり、それの自作を試みたりと、揺るぎないラズウェル節とでも言いましょうか。酒と食事が欲しくなる1冊です。
それにしても、ほんとうに色々な雑誌で連載持っていますね。
6月18日
18日に購入したのはこちら。
- 作者: ONE
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/11/16
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- 作者: ONE
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/02/18
- メディア: コミック
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- 作者: ONE
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/06/18
- メディア: コミック
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以上3冊。
『ワンパンマン』の原作(オリジナル)でも知られるONEさんが「裏サンデー」で連載している作品です。買っていなかったので、新刊発売を機に3冊まとめて購入。
『ワンパンマン』とも共通するところですが、圧倒的過ぎる超人的な力を持ちつつも、思考が超人とはかけ離れているモブ(主人公)のギャップが面白い。そして心理描写の巧みさ。モブと弟・律との心理的なすれ違いも見逃せないですね。そして3巻の引きに痺れました。
6月17日
17日に購入したのはこちら。
- 作者: 蒼星きまま
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2012/12/13
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バード 雀界天使VS天才魔術師(3) (近代麻雀コミックス)
- 作者: 青山広美,山根和俊
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2013/06/17
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以上2冊。
『バード 雀界天使 VS 天才魔術師』はこの巻にて完結。実は未だに麻雀がよく判らなかったりする訳ですが、この作品でのトリックの応酬は実に刺激的でした。
そしてラスト3ページの衝撃!来たよ、遂に来たよ!と喝采を送らずにはいられないですな。これは続きに期待せざるを得ないです。
6月16日
16日に購入したのはこちら。
- 作者: 蒼星きまま
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2012/06/13
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こちら1冊のみ。・・・の筈です。
最近記録を怠っていたため、いつ買ったのか曖昧になりつつあります。従って多少のズレが存在するかも。
たこ焼きを「もっもっ」と頬張るきのこいぬの可愛らしさが尋常ではない1冊。
マンガにおける「田舎」の描写:ユートピアとディストピアのあいだ
自分の出身が岩手県だからでしょうか、マンガを読んでいると「田舎の描写」が気になります。
ひとことで「田舎」と言っても、言うまでもなく作品によって、その描かれ方は千差万別です。のどかな生活が描かれることもあれば、あまりにも息苦しい日常が描かれることもある。いろいろと読み比べてみるのも面白かったりします。
という訳で、大雑把な分類をしつつ、「田舎」が描かれているマンガをまとめてみました。
パッと思い付いた作品を挙げていくので、「○○が入っていない!」と感じる向きもありましょうが、そこはご容赦のほどを。
【ユートピア的な田舎が描かれる作品】
- 作者: あっと
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2010/03/23
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まずはこちら、近々アニメ放映も開始される『のんのんびより』。
単行本の帯に「自転車で20分の最寄りの本屋はジャ○プの発売が毎週水曜日。」とあるくらいの、田舎を舞台にした作品です。自分の実家もそれなりに田舎でしたが、発売日は火曜日だったので、更に僻地ですね。
全校生徒5名の分校に通う女の子4人の日常が、四季の移り変わりも背景に描かれていきます。それぞれのキャラクターの掛け合いに癒される作品。
- 作者: くらもちふさこ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/08
- メディア: 文庫
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くらもちふさこさんの『天然コケッコー』も、どちらかというとユートピア的な印象がありますね。こちらはなかなかに人間関係が錯綜していて一筋縄ではいかない展開ではありますが、悪人はほとんど存在しないですね。
『天然コケッコー』の舞台となる村も、バスが2時間に1本という片田舎。村人全員顔見知りという地域が描かれます。
この他にユートピア的な田舎というと、やはり『まんだら屋の良太』ですか。
- 作者: 畑中純
- 出版社/メーカー: 青林堂
- 発売日: 2005/03/24
- メディア: オンデマンド
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この作品も、かなり悲喜こもごもの内容ではありますが(良太があこがれていたお姉さんが、恋人の借金のカタに無理矢理ブルーフィルムに出演させられたりするエピソードとか)、何と言うか、全体的には実に愉しそうな空間なのですな。
こういった「ユートピア的な田舎」の条件としては、当り前かもしれませんが、愉しさを共有できる友人が複数存在することが挙げられそうです。
【ディストピア的な田舎が描かれる作品】
逆に、何らかの愉しみを共有できる友人が存在しないと、かなり田舎は息苦しい場所になるのかもしれません。
この息苦しさ、田舎のどん詰まり感を描いた極北とも言えるのが、これまたアニメが佳境に入っている『惡の華』と、『ハイスコアガール』で大ブレイクを果たした押切蓮介さんによる『ミスミソウ』であろうと思います。
- 作者: 押見修造
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/03/17
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- 作者: 押切蓮介
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2013/03/12
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この2作品で描かれる街の閉塞感は、あまりにも生々しいです。
行き場をなくして渦巻く負の感情がもたらす悲劇を、是非ご一読して欲しいところ。とりわけ『ミスミソウ』は読むのが辛い作品かもしれませんが、これは傑作としか言いようがない。
あと、上で挙げた『まんだら屋の良太』は温泉街が舞台なのですが、同じ温泉街を舞台とした作品でも、高橋しんさんの『雪にツバサ』は、どちらかと言うとこちらに分類される作品ですね。
- 作者: 高橋しん
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/12/06
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【中間的な位置付け】
息苦しさみたいなものはあっても、それを忘れさせてくれる何かが存在する例。
最も判り易いのは、これまた押切蓮介さんになりますが、『ハイスコアガール』の原型とも言える、自伝的色彩も濃い『ピコピコ少年』シリーズになりますね。
- 作者: 押切蓮介
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2009/09/17
- メディア: 単行本
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学校の成績も悪く、親ともケンカしてばかり。理不尽な経験も数知れず。それでもゲームがあれば、そこは地獄ではない。
小玉ユキさんの『坂道のアポロン』も、これに近いかな、という印象を受けます。これは田舎が、というよりは主人公が身を寄せている家に息苦しさがある訳なので、視点を変えればユートピア的なのかも、とか。
最後に、上に挙げたもの以外の作品を書き連ねておきます。
あくまで個人的な印象に基づく、大雑把な分類です。追記していくかも。
【ユートピア的】
【ディストピア的】
それにしても、見方によってずいぶん異なる様相を示すものだなぁ、と感じます。
といったところで、本日はこのあたりにて。
6月15日
15日に購入したのはこちら。
- 作者: 押切蓮介
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2013/02/27
- メディア: コミック
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- 作者: あっと
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2013/02/23
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- 作者: 大井昌和
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2012/09/19
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- 作者: Ark Performance
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2012/04/28
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『手塚治虫とキャラクターの世界』 (SAN-EI MOOK)
- 作者: 手塚プロダクション
- 出版社/メーカー: 三栄書房
- 発売日: 2013/06/14
- メディア: ムック
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- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2013/06/15
- メディア: 雑誌
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雑誌類も含めて6冊。
『焔の眼』は、『ミスミソウ』の系譜にある作品ですね。年端もいかない少女の身に降り掛かる、何処までも過酷な運命。この巻に収録されている23話とか、ただ呆然とするばかりです。
それでいながら痛快娯楽活劇的な要素も加わっているところに、円熟の筆致みたいなものを感じたりもしますね。沙羅が今後どのように自らの運命を切り拓いていくのか、愉しみな作品です。