1つ前の記事でコミケでの戦利品の感想を追って個別に、と書きましたが、今日は別のことを書こうかと。
戦利品感想は時間があるときにじっくりと書きたいです。
- 作者: 津田雅美
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2008/01/04
- メディア: コミック
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『彼氏彼女の事情』で有名な津田雅美さんの新刊『eensy-weensy モンスター』完結巻が先頃発売されたので感想っぽいことをゆるりと書いてみます。
これは、面白かったですね。
主役となる七花と葉月の2人のそれぞれの視点から、自分の感情と相手の印象が描かれていく構成になっていますけど、それが互いに微妙に食い違いを見せつつも少しずつ互いの仲が進展していく様子が丁寧に描写されていて、読んでいて実に心地よい気分になりました。
最初は周りにチヤホヤされて有頂天になっていた葉月が七花の言動に振り回されて、でも次第に惹き付けられていって、読む側としてはその姿が観ていてたいそう微笑ましい。
七花もまた、葉月の言動に一喜一憂したり、時に「モンスター」が出てきてしまったりするんですが、回を追うごとに確実に奇麗になっていく訳ですよ。
前作ほどの劇的な展開というのはなく、のんびりとした話でしたが、いい終わり方をしたと思います。
連載期間1年、単行本全2巻という分量もいいなと思います。
最近はマンガの全体的な傾向として長期化される向きがありますが、それは確かに人気を計る尺度として機能し得るものですし読者側の需要ということもできるかと思いますが、新たな読者を獲得しようとする際の枷ともなり得るものだと思います。
ついでに言えば、短いからと言ってそれが面白くないと考えるのは些か短絡に過ぎる思考です。物語構成が完成されているものとか、非常に密度の濃い内容の作品というのは幾らでもある訳です。
逆に長編でも中だるみしたり、バトルで延々と引き延ばしたりというのも存在する訳で。・・・どの作品とは言いませんが。
あとこの作品、連載期間と実際の時間経過を合わせているというのもいいですね。
1年間の連載の間、作中でも1年が経過する。
読み手が作品・或いは作中のキャラクターと自分・実体験を重ね合わせて読む、という行為が可能になる。一緒に成長していくような感覚を持つこともできるかと思う訳です。
これは長期化された作品だとなかなか難しい。
それをすることができた、最近だと珍しい作品であったかと思います。
新たに読み始めるにも敷居は高くなく、且つ楽しく読むことができる。
男女を問わずお薦めの作品かと思います。
・・・1巻の感想を書いた際も似たようなことを書いた気もしますが、あまり気にせずに。