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『星は歌う』

高屋奈月さんの久し振りの新作『星は歌う』の第1巻が発売されましたね。
早速購入してきました。

星は歌う 第1巻 (花とゆめCOMICS)

星は歌う 第1巻 (花とゆめCOMICS)

出だしは比較的ゆっくりとしていましたね。
本格的に話が動き出すのは続刊以降となるかと。
以下、簡単に解説とか感想とかを書いてみます。


第1巻では、主要登場キャラクターの性格描写とキャラクター間の関係を丹念に、しかし隠すところはうまく隠しながら描いていたという印象でした。


ヒロインのサクヤは、誕生日に突然現れた少年・チヒロを好きになる。
チヒロはその際に優しく接してくれたものの、次に再会したときには何故かサクヤを拒絶する。
サクヤにはユーリと聖という2人の親友がいて、3人で「星空鑑賞同好会」の活動をしている。ユーリはサクヤに親友以上の感情を抱いているものの、サクヤはそれには気付いていない模様。
そしてサクヤと一緒に暮らしている従兄弟の奏も、口は悪いもののサクヤに対して密かに思いを寄せている。


そういった関係が描かれています。
聖の心情についてはあまり多くは描かれませんが、ユーリへの接し方から彼にそういう感情を抱きつつも隠し続けているのではないかと。
つまりこの作品、殆どのキャラクターが片思いという状態です。そしてそのことを相手は知らないという。
1巻裏表紙折り込み部分の解説に「はぐれ星たちの片恋ダイアリー」と書かれている所以ですね。
その関係がどう変化していくのかが、今後の見所という訳ですね。


そしてもうひとつ、これは高屋奈月さんの作品の特徴と言いましょうか、主要人物が何らかのトラウマ・心の傷を抱えつつ、それを隠しながら日々を過ごしている点を挙げることができるかと思います。
それをどのように克服していくか、というのが高屋奈月さんの大きなテーマなのではないかと個人的には考えてたりします。

星は歌う』においてもその断片的な描写は幾つか描かれている。
サクヤは親との間に何か抜き差しならない事情があるようですし(奏と二人暮らしをしているのも、元々は両親に雇われてのことらしい)、チヒロもまた相当な傷を持っていることが伺われます。


互いに何らかのトラウマを持っている二人がそれに苦しめられつつも、互いに寄り添って傷を癒して過去を乗り越えていく、そういう話になっていくのだろうと予想している次第です。


1巻は、チヒロがサクヤたちのクラスに編入してくるところで終わります。
物語が大きく動き始めるのはここからになります。
どういう展開を経て結末へ向かうのか、見守っていきたいですね。