マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

今週号の「マガジン」と「サンデー」を読んだ訳ですが。

最早描かれていることの裏側ばかりが気になってしまいます。(´ω`;)

例の雷句誠さんの原稿紛失問題に端を発し、マンガ家の新條まゆさんが自らのブログで編集部との確執を公表したことは既に多くの方の知るところだと思います。

それに続く記事(当該記事:その後)において、新條まゆさんは「あとのことは久米田先生に任せるとして・・・」と華麗にたすきを渡してしまったことも知られているかと思います。


で、この記事ならびに一連の騒動に対する反応があるとしたら、それが最も早く現れるのは今週号と考えられる訳です。早速『さよなら絶望先生』をチェックしてみました。
さすがに直接的ではないにしろ、しっかりと取り上げられていました。さすがは久米田先生です。
詳細については以下のブログに語られています。


さよなら絶望先生』が連載されているのは「マガジン」です。
では渦中の「サンデー」ではどうだろう?と思い、久し振りに雑誌を買ってみました。
当然チェックするのは橋口たかしさんの『最上の命医』です。

雷句誠さんのブログで公開されている陳述書において、名指しで批判されている編集者の一人に(『金色のガッシュ!!』連載時の)四代目担当・高島雅氏がおられます。
そしてその高島氏と同姓同名のキャラクターが『最上の命医』には登場します。作品の中核に位置する重要なキャラクターで、且つ美形の麻酔医です。
(『焼きたて!! ジャぱん』でも、橋口たかしさんは担当編集者と同名の人物を作中に登場させます。主要キャラクターで美形というのも共通しています。)

「サンデー」今週号の『最上の命医』では、高島雅(作中のキャラクターのほうです)の独白が多く見られます。ちょっと興味深かったので幾つか引用してみます。

ひょんなコトから、
今はかなり面倒なコトに巻き込まれている。

今回の件でも、一つはっきり分かったが・・・やはり人は人と関わるとろくなコトはない。
優しい人間ほど損をするようにできているのだ。

(98ページ)

命は正しいコトをしたが、
そもそも医療というのは、
どこまでが救命行為でどこからが危険行為なのかその線引きは難しいモノ。

だから、その解釈を悪用する人間が必ず存在する。

それは、実際は有効だったのに重箱の隅をつつくようなケチを付けられ、何年も放置されていたような治療法が医学界に山ほど存在するコトでもわかるだろう。

(100ページ)

医療ミスも同じで、
どこまで犯罪的なミスでどこからが避けられない事故だったのか、
その線引きを100%できる人間はいない。

そのため、裁判でも裁判官によって医者に有利だったり不利だったりする判決がまちまちに出てしまう。

要するに医療というのは解釈しだい・・・

政治や悪が介在する余地が非常に大きいモノなのだ。

(101ページ)


邪推ばかりしてしまう自分がいますよ。(´ω`;)
「医療」の文字を「編集」に置き換えて考えてしまったりとか。

いちおう弁護(?)しておきますと、この独白じたいはストーリー的にそれほど不自然なものではないのです。
先週号までの流れを説明すると、ある心臓外科医が赤ん坊の手術の際、誤って切ってはいけない血管を切除してしまいます。その赤ん坊を救うため、主人公の命は前例のない(しかしそれ以外に方法がない)ような手段を用いて手術を成功させます。しかし命の失脚を目論む副院長はその手段を危険行為と報告するように心臓外科医に圧力をかけます。
その流れで、上記引用の独白が出てくる訳です。
些か長広舌が過ぎる気がしなくもないですし、独白なのに自分の名前を2度にわたって告げる必要もない気がしますが、いちおう話の流れには添っている訳です。

しかしこの一連の騒動を知ってしまうと、どうにもその裏に何かあるのではないかと勘ぐってしまいます。代理戦争のように見えてしまう。
作品を使って自己弁護をしているのではないかとか、そういう邪推が次々と浮かんでしまいます。
真っ当に作品を愉しむことができないのが残念です。決して『最上の命医』じたいはつまらない訳ではないですからね。


とにもかくにも、この問題の一刻も早い決着が期待されます。