マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

まぐろ帝國っていう作家さんがいるんですが・・・【若干ネタバレあり】

ご存知でしょうか?
成年向のマンガを描いておられます。
何日か前には、新刊についての記事がアキバBlogにも掲載されていました。

詳しくは上のリンク先にも書かれていますが、単行本帯の

「作家活動維持のため、買ってください」

いまだに「まぐろ帝」って書く人がいるんですよ。
※正しくは「まぐろ帝」です。
 お間違いなきよう。

といった文章が切実です。(´ω`;)

前々からまぐろ帝國さんの濃密な描写は気になっておりまして、且つ絵柄も僕好みです(最近の成年向はロリータ的傾向に拍車が掛かっている気がするんですが、どうもそういう絵柄は得意ではないのですよねぇ・・・)。それに加えてリンク先の記事。
さてどういうものかと思い、某書店で試し読みをしてみました(帯の文章に反しての行動に心苦しさを感じつつ)。

かなり意表を突かれた、という印象です。
つげ義春さんや水木しげるセンセイのパロディがやたらとあるのですよ。
とりわけつげ義春さんですね。ざっと読んだ限りでも『ねじ式』や『李さん一家』のパロディが見受けられました。


一読して思ったのが、どれくらいの人が判るのかな?ということです。
まぐろ帝國さんの読者層とつげ義春さんの読者層って、正直あまり被らないような。(´ω`;)
元ネタ自体は過去散々パロディの対象になっている作品なので知っている人は少なくないと思いますが、実際に読んでいる方ってどのくらいいるのかなぁと。

そして敢えてそれをパロディにした意図は何なのか、と深読みしたくもなります。
パロディというものは何らかの権威ある対象を笑いに転化させるものであり、その点において昨今の成年向同人誌はパロディとは言い得ないのだ・・・といった批評性・メッセージ性が込められているようでもあり、単純に趣味・ネタで描いているようでもあり。
とにもかくにも、妙な読後感を残す作品ではあります。

ただ笑いの要素は強くなればなるほど、「実用性」は弱まる印象があります。
そういう意味では、実用性重視の方には少し薦めづらいかもしれませんね。

ねじ式―つげ義春作品集

ねじ式―つげ義春作品集