マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

ヤマシタトモコ『イルミナシオン』

イルミナシオン (mellow mellow COMICS)

イルミナシオン (mellow mellow COMICS)

表題作ならびに「あの人のこと」が特に良かったですね。複数の視点から心のすれ違い(みたいなもの)が描かれつつ、1つのストーリーが展開していく構成が面白かったです。


あと、後書き(自作解説)に興味深い記述が。
「たぶん、デビュー作」である『神の名は夜』について書いてある箇所です。

いまももちろん自分が萌えるものを描いてはいるのだが、この頃はいろんなすり合わせを試みようともしていない。BLは少女マンガなんだ、ということに気がついてからは少女マンガの文法で描くように心がけているのだが、
(実践できているかは別として、心がけている)
この頃は思いっきり青年マンガの文法で描いている。


(192ページ。)


最初読んだときはあまり意識していなかったのですが、この記述を読んで改めて読み返してみると確かに『神の名は夜』には他の作品に比べると異質な箇所があるのが判ります。
モノローグの極端な少なさとか、説明的な台詞の多さ*1とか。


マンガの文法を意識しつつ描いている、というのは面白いですね。
ジャンルによって文法が異なるというのも、マンガの不思議な(そして面白い)ところだと思います。

*1:少女マンガではそういう箇所を断片的なコマで描写したり、それこそモノローグを用いたり、という印象。あくまで印象ですよ。