マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

「仏教マンガ」を読んでみる

昨日、鎌倉に行ってきたレポートを書きました。
その際に高徳院仏教マンガを買ったことについても触れましたが、今回はそれについてもう少し詳しく触れてみようかと思います。


買ったのはこの2冊。
まずは左側、THE LORD BUDDHA から。


THE LORD BUDDHA 3ページ。)


シッダールタ誕生の場面ですね。「天上天下唯我独尊」と仰った云々というくだりです。
因みに写真で下が途切れてしまいましたが、蓮の上に立っています。



(同上。)


天上天下唯我独尊」を英訳すると "Between Heavens above, and Heavens below, I alone am the World-Honored One"となるようです。



(同書9ページ。)


世の中に溢れる四苦八苦から人を救うには何をすればいいのか悩む青年期のシッダールタ王子。
その答えを得るべく、妻子に別れを告げて真理探求の修行へと赴く場面です。
なかなかの優男です。そして生まれた時にあった頭の瘤みたいなやつはこの時期には無くなっています。



(同書14ページ。)


苦行を重ねている時期のシッダールタ。
何故かこのページだけ、人物に色が塗られていません。




(写真上:同書16ページ、写真下:19ページ。)


断食とかの苦行を止めたこともあってか、体付きがふくよかに。
衣食に困らない王子の時期よりも肉付きが良くなっている点について考えるのは無粋というものでしょう。また、この時期には頭の瘤が復活。
瘤の説明については、手塚治虫ブッダ』では理屈を付けた解釈をしているんだったかな?ちゃんと読まないといかんなぁ。



続けて『法然さま』のほうを。



(『法然さま』3ページ。)


絵柄はこんな感じです。
やはり昭和32(1957)年に描かれたものだけあって、絵柄の古さは感じざるを得ないところです。
それ以外にも、技巧面(?)で興味深い箇所が幾つかあるので触れてみましょう。



(同書4ページ。)


まず、コマ割りがちょっと独特。コマの大きさがあまり統一されておらず、写真のように微妙にズレた間白が度々見受けられます。



(同書12ページ。)

このページ、読む順番判りますか?
普通に考えれば、4コママンガ的に右の列を上から下に読んで、その後で左の列を上から下に読むと思うのですが、違うのですよ。右1段目→左1段目→右2段目→左2段目・・・という具合に、4コマではないストーリーマンガ的な順番で読むようになっています。コマ割りの際の視線誘導とかはまったくと言っていいほど考慮されていません。ついでに言うと、何故か5コマ目(右側3段目)のコマだけ突き出てしまっています。


こういったコマ割りになった要因として考えられるのは、

  • 年代的に、マンガの文法が未完成
  • 作者さんがストーリーマンガのコマ割りについてあまり詳しくない
  • 「教育まんが」である以上、台詞・文章を最優先した結果、コマの大きさがバラついている
  • 台詞付の一枚絵としてそれぞれのコマを描いて、その後で貼り付けるような作り方をしている


といったところかなと推測します。あくまで私見では3・4番目あたりが大きな要因ではないかと。




(同書62ページ。)

法然上人が流刑を言い渡され、土佐に向かう際に乗っていた舟に、港の遊女が赦しを得ることができるか訊きに来る場面です。


十二単を纏っていますが、「港の遊女」というとまぁそういう生業をしている筈で、考証的にはかなり異なる格好なのではと思ったりもする訳ですが、それはやはり教育まんが故の制約というものでありましょう。



やはり萌えや色気が足りない・・・とか考えてしまう自分はきっと地獄行きですな。(´ω`)
と、本日はこのあたりにて。


聖☆おにいさん(1) (モーニング KC)

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