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史上最も分厚い?同人誌

さて、いよいよ明日からコミケですね。
まぁ自分は3日とも仕事で行けないんですがね。
それはさておき、コミケ開催に合わせて、同人誌のことを少々書いてみようかと思います。


「同人誌」から抱くイメージのひとつに、「薄い」というのがあるのではないかと思います。
内容的にというのではなく、物理的な意味での薄さです。
統計とか取った訳ではありませんが、コピー誌で20〜30ページ、オフセット本で50ページ前後のものが多いのではないかと思います。
100ページを越えれば、同人誌では「厚い」という印象を抱く場合が多いのではないかと。それでも一般書籍とかに比べるとページ数だけ考えれば少ない場合が多いのではないかと思います。


しかし同人誌は、薄いものばかりではありません。
今回はとにかく分厚い、且つ中身の濃い同人誌のご紹介です。


分厚い同人誌と言うと、これが有名でしょうか。



『英国メイドの世界 ヴィクトリア朝の暮らし総集編』(サークル:SPQR


昨年夏あたりに アキバblog さんでも記事になったので、知っている方も多いかと思います。
来年春頃には講談社BOXでの出版も決まっているようですね。


題名どおり、ヴィクトリア朝におけるメイドさん・使用人等の生活、仕事を驚異的なまでの詳細さで解説した同人誌です。
ページ数、572ページ。コミケカタログよりも厚いと評判になった作品です。



しかし、それすらも越える厚さの同人誌が存在します。
こちらです。



『《修訂 絹と立方体》 架空の文字の大図典』(サークル名?:ニコラ・フラメル金属材料研究所)


同人誌としては異例と言えるハードカバー仕様。



見よ、この重厚さ!



今年夏にヤマカムさんが出した、『ワンピース俺的考察本』との比較。
因みに『ワンピース俺的考察本』はオフセット本でありながら本文7ページという、驚きの薄さを誇る同人誌です。


そして『絹と立方体』、本文ページ数706ページ
自分の知る限り、最も分厚い同人誌です。
そして内容は、これもまた副題が示すように、架空の文字を集成し、詳細な解説を施したものになっています。
「架空の文字」というのは、「何らかの目的で、誰かが独自に考案した文字」と解釈してよいかと思います。そしてこの本が取り扱う「架空の文字」は、錬金術師によるアルファベットやカール大帝の暗号文字といった歴史上のもの、竹内文書のようなオカルト的なもの、文学作品やアニメ・ゲーム類に登場する架空の文字もカバーしています。その数、(数え間違っていなければ)実に105。
更には附章として、精神病*1を患う人が新しい文字を考案する症例についての学術論文概要が多数収録されています。


そしてこの図典については、



『《声と三稜鏡》 架空の文字の図典・続』(サークル名?:ニコラ・フラメル金属材料研究所)


続編も出ています。
こちらも『絹と立方体』と同じ構成。附章は近代日本において考案された新綴字、少数言語の綴字が収録されています。
『声と三稜鏡』のページ数は、本文512ページ


どちらの本も、その圧倒的なまでの収集量と精緻を極めた解説に、ただ驚愕するばかりです。



2冊合わせてのページ数は1218ページ。
『英国メイドの世界』も合わせると、1790ページになります。


因みに『声と三稜鏡』は、怪獣イラストレーターで知られる開田裕治さんのサイト、開田無法地帯にて通販を行っています(『絹と立方体』は完売したっぽいです)。もしかすると、コミケ3日目の開田裕治さんのブース(西る−43a)で委託を行っているかもしれません。
東方とかボーカロイド同人誌とかも悪くないですが、時にはこういう同人誌に目を向けてみるというのもいいのではないかと思います。


という訳で、今回はこのあたりにて。
恐らくこれが今年最後の更新です。一足早くなりますが、皆様良いお年を。

*1:神経症という表記のほうが適切なのか?