マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

iPadでマンガを読んでみた

何日か前のことになりますが、iPadを購入してしまいました。(^ω^)



これまで据え置き型のPCしか持っていなかったので、ノートパソコン代わりの意味合いが強いです。
ゆくゆくは scansnap とかも購入して、主に仕事関係の書類みたいなものをPDFにしてぶち込んでしまおうとか考えています。また、いい加減マンガの数がヤバくなってきてまして、またダンボールに死蔵されているものが相当量ありますので、これらもある程度選んだうえでデータ化するべきかとも思っている今日この頃です。


さて、iPadの発売に併せるようなかたちで、電子書籍というものへの関心が高まりつつあるように感じられます。
まぁ自分は古い人間なのか、やはり紙のほうが遥かにしっくりきます。今後も紙のマンガ・書籍を買い続けていくことでしょう。そう簡単に電子書籍が紙を駆逐するとも思いません。緩やかにシェアを広げていくのかな、という気はしますがね。
ただ、何も電子書籍を毛嫌いしている訳でもないですし、当然興味はあります。


という訳で、yahoo!コミックのアプリをインストールして試し読みしてみました。
読んでみて判ったこと、気になったこととかを幾つか書いてみようかと思います。



※ 僕は普段「ネット上でマンガを読む」ことが殆どありません。ケータイコミックの知識とかも皆無と言って差し支えないレベルです。ですのでウェブコミック・ケータイコミックに慣れ親しんでいる・或いは造詣が深い方々にとっては「何を今更」という内容の可能性も充分にあります。予めご了承ください。



取り上げるのは、吉祥寺笑さん作画による『第六大陸』第一話です。


第六大陸 1 (Flex Comix)

第六大陸 1 (Flex Comix)

(単行本も出ています。)


何故これを取り上げたかと言いますと、無料配信であったことと、原作が面白かったからという2つの理由によります。
原作は小川一水さん。一言で言えば月に結婚式場を造り上げる物語です。「どうやれば造り上げることができるか」という緻密な考証と、それが実現されていくプロセスは、読む人の心を躍らせます。そして親子の確執とか、恋愛模様とかが華を添えるという訳です。マンガのほうは恥ずかしながら読んでいないのですが、少なくとも原作は名作なので、是非とも読んでみてください。


第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

こちらが原作です。表紙は幸村誠さん。刊行当時には『プラネテス』を描いていました。)


で、読んでみて判ったことですが、


必ず横向きにして読んでください。


とにかくこれに尽きます。
何故かと言いますと、マンガの構造上・表現上の問題に関係しています。
早い話が大コマ・見開きです。2ページ全体を使って、効果的な演出を狙うものですね。
横向きだと2ページずつ(つまり本を開いたような状態で)画面に表示されるのですが、縦向きで読むと(少なくともyahoo!コミックで読んだ『第六大陸』では)問答無用で1ページずつに分断されてしまうのです。
そのため、大コマ・見開きを用いた効果が極度に損なわれてしまうのですね。


幾つか例を挙げますと、



(吉祥寺笑『第六大陸』第1話6〜7ページ。)


果てしない深海の様子を表現するためにページをまたいで海の情景を描いていると思われる訳ですが、



(同書第1話6ページ。)


縦向きにするとこうなります。オノマトペが切れてしまっているのも痛いですし、写真から外れていますが潜水艦も真っ二つになっています。
そして第1話最大の見せ場とも言えるのが、ヒロインの桃園寺妙が、月面への建築という構想を明らかにする場面です。



(同書第1話54〜55ページ。)


それが縦向きだと、



(同書第1話54ページ。)


こうなります。
54ページだけでも最低限の情報は伝わりますが、やはり見開きじゃないと、背景として描かれる月の大きさが捉え難い。
そして何よりこの見開き、ページをまたいで描かれた大コマにおいて、妙はコマの中心に位置しています。そして妙の背景には地球の陰から太陽が姿を見せ始め、その光によって妙に後光が差しているような演出になっています。
このページは、見開きで読まれることで映える構図な訳です。


という訳で、マンガならではの表現故に、iPadでマンガを読む際は横向きで読むほうが良いと思いました。
ただ、4コママンガの場合はまた事情が違ってきますね。
「4コママンガ」である以上、ページをまたがってコマが描かれるということは限りなく少ないです。コマ割りが静的とでも言いましょうか。iPadで普及しやすいのは4コマ系かもしれませんね。或いはウェブコミックでは既にそういう流れなのでしょうか?



と、他にも気になる点とかはあるのですが、ちょっと長くなったので一区切りとしておきます。
それらについてはまた別の機会にでも。