マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

荒木飛呂彦『STEEL BALL RUN』21巻


ヴァレンタイン大統領との闘いも、大詰めに近付いてきています。
第6部『ストーンオーシャン』の頃から顕著になっているのが、ストーリーが進むごとに「運命的な力」(作中では「重力」という概念で語られるやつです)が描かれる比重が強まっていくのが判ります。84話「ボール・ブレイカー その2」が典型的ですね。


個人的には1〜2巻の 1st. STAGE で描かれた、レースの面白さを凝縮しきったかのような迫力と緊迫感に満ちた展開をもっと読みたいという思いもあるのですが、そういう要素は抑えられています。
中盤〜終盤に向かうにつれ、荒木先生独特の思想みたいなものがより前面に押し出されてきているという印象ですね。物語の深みのようなものが出てきているものの、爽快感とかワクワク感がその分薄れていると言いますか。


また、荒木先生にとっての「悪の概念」が変わってきている(これも第6部以降変化が著しい)ように思われるのも重要でしょうね。最後に闘う相手は自分の行為が人類の幸福に繋がると確信して揺らぐことがない。
こういった点が、ここ最近の荒木先生作品の読後感を複雑なものにしている気がします。


まぁ自分は荒木信者なので問題ないんですがね!( ゚∀゚)