先日、花沢健吾さんの『アイアムアヒーロー』4巻を読みました。
- 作者: 花沢健吾
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/08/30
- メディア: コミック
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連載開始当初は主人公・鈴木英雄の妄想が支配する主観的な世界が描かれていたものの、第10話(単行本1巻)の「臨界」を機に、その妄想を越える現象が支配する現実(あくまで作品内での「現実」です)が描かれるようになります。その現実は凄まじいまでの不条理と恐怖が満ち溢れた、歪んだものとなっています。
そんな世界で鈴木英雄は如何に生き残っていくのか、様々な偶然から行動を共にすることになった少女・早狩比呂美はどうなるのか。現在、続きが最も気になる作品のひとつと言えるでしょう。
さてそんな『アイアムアヒーロー』ですが、読んでいて何か違和感(のようなもの)を感じることが、少なくとも自分には度々存在します。何度か読み返してみて、恐らくそれはコマ割りや視覚効果、独特の演出(或いは技法)にあるのではないかという結論に辿り着きました。
まだ考えがまとまった訳ではないのですが、幾つか気になる箇所を抜き出してみようかと思います。
【パンフォーカス的な演出その他】
(花沢健吾『アイアムアヒーロー』2巻104〜105ページ。)
- 名前も判らない中年男性が、家族と思われる人たちに襲われている場面。
- ページ全体が均等に・且つ詳細に描き込まれている故か、何処に焦点を当てて読めば良いか少々戸惑う印象。
- 襲われている中年男性が転んだ場所が、家族が走っている方向とは微妙にズレて描かれている。
- 樹海内部にて、比呂美と変貌してしまった同級生・沙衣が対峙する場面。
- このページも、読む際に何処に焦点を当てるべきか悩む。銃を用意して構えに入っている英雄か、異形と化した沙衣か、あるいはそれを眺め佇む比呂美か。しかし同時に全体を観ないと状況が把握できない。
- このコマに限ったことではないが、ほんらい数コマにわたって描くような情報量を、大きめのコマや見開き1コマに圧縮させて描いている場合が度々ある(気がする)。
【視線のズレ(のようなもの)】
- 沙衣が襲いかかってくる場面が、沙衣主観の視点で描かれている箇所。
- だが改めて良く観ると、沙衣主観とも微妙に異なるようにも取れる。英雄と比呂美の視線から推察するに、恐らく沙衣のいる場所は左のフキダシの更に手前といったあたり。
- 異形化していく際に眼球の動きがおかしくなる描写があるが、何か関係はあるだろうか?
【凸面レンズを通して見たかのような描写】
- 沙衣たちを病院へ連れて行けば・・・という提案に反対する英雄を、比呂美が説き伏せる場面。
- 背景の樹々が、外側に膨らむように描写されている。
- 樹海の場面に限らず、同様の演出は度々見受けられる。歪んだ世界を体現するかのような描写(だと個人的には考える)。
とりあえずは覚書程度に。
何か考えがまとまれば改めて何か書くかもしれませんが、まとまるかどうかは未定です。(´ω`)