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本日の矢吹サン(『迷い猫オーバーラン!』小ネタ集その2)

先日、矢吹健太朗さんが作画を担当しているマンガ版『迷い猫オーバーラン!』2巻が発売されました。


迷い猫オーバーラン! 2 (ジャンプコミックス)

迷い猫オーバーラン! 2 (ジャンプコミックス)


ほんらいは全8話予定、つまりこの巻で完結する筈だったとのこと。実際読んでみると、区切りの良いかたちで第8話を終えていることが判ります。恐らくはそれなりに早い段階で『To LOVEる』のスピンオフの連載開始が決っていたのでありましょう。
しかしこの作品じたいが好評だったようで、本誌「ジャンプSQ」でスピンオフ、そして『迷い猫』は「SQ.19」に移籍して(ペースを落とすかたちにはなりつつも)連載継続とのことです。
何はともあれ、連載が続くというのは嬉しいことですな。(´ω`)


という訳で感想を・・・といきたいところですが、乳首券が云々といった熱いパトス(或いはリビドー)、そして愛に満ち溢れたものは既に他の方が書かれているようですので、いい年をしたおっさんが更に書き加えることもありますまい。
という訳で、今回も1巻のときと同じく、作中に鏤められた小ネタの紹介をしていこうかと思います。


因みに1巻のときの記事はこちら。

まずはこちらから。



矢吹健太朗迷い猫オーバーラン!』2巻13ページ。)


「迷い猫同好会」発足記念という名目で、梅ノ森千世のプライベートビーチ*1に招待(半ば拉致)された主人公・都筑巧が、その経緯を回想している場面です。
1巻に引き続き、あまりにも見憶えのあるキャラクターが登場しています。この後に巧たちは千世に連れられてクルージングに行くのですが、その船の名前は恐らくエスポワール・・・希望の船・・・!


それにしても、パロディに福本作品というのは定番中の定番になった感があります。嘗てのつげ義春さんに近い位置付けですかなぁ。




(同書15ページ。)


そしてこの招待に、巧の友人で生粋のオタク・菊池家康(と幸谷大吾郎)も付いてきているのですが、菊池の格好がそのままですな。
このご時世、釣りキチの服装を揃えるのはかなり困難であろうかと思う次第です。




(同書39ページ。)


そして菊池は海釣りに赴く訳ですが、まぁお約束と言いますか溺れる訳です。
それを発見した巧が助けに向かうのですが、今にも力尽きんとする菊池。
脳内に荘重な音楽が鳴り響きますが、残念ながらここは溶鉱炉ではありません。





そして巧は何とか溺れる菊池を助ける訳ですが、その瞬間に高波に攫われてしまい意識を失ってしまいます。
で、これもまた定番中の定番ですが、誰が人工呼吸をするかで一悶着する訳ですよ。( ゚∀゚)
そして誰がするのかでもめているなか、後からやってきた竹馬園夏帆(千世の幼馴染みで超セレブ)がかっさらってしまうのですな。
それがこの場面です。




(同書48ページ。)


意外ッ!それはJOJOッ!


さすが夏帆
おれたちにできない事を平然とやってのけるッ
そこにシビれる
あこがれるゥ!


まぁそれはそれとして、おっさんの印象ではこの「人工呼吸のシチュエーション」は、溺れた美少女に対して欲望剥き出しの若人が「俺が俺が」と醜い争いをしているうちに好青年(主にライフセーバー)が人工呼吸をしてしまう、というのが典型例だと思っていたのですが、『迷い猫オーバーラン!』だと男女が入れ替わっています。潮流というやつですかな。(´ω`)



そして事なきを得て、海で遊び続ける訳ですが、




(同書52ページ。)


巧と同居している霧谷希が砂で作っているもの、これは『ジョジョの奇妙な冒険』第3部に出てくるイギーのスタンド「愚者(ザ・フール)」ですな。
「愚者」は砂を自由自在に操るスタンドですが、希自身がスタンド使いなのではないかと思える程の精巧さです。
そしてその後方では菊池が相変わらず釣りをしているのですが、この足の振り上げ方が見事としか言いようがない。矢口高雄先生の筆致をしっかりと咀嚼していると言えましょうや。



そして人工呼吸というかたちではあるものの接吻を交わす結果となった巧は、そのことを思い出しつつニヤニヤしてしまったりするのですが、それを見咎めた千世や幼馴染みの芹沢文乃は激しく嫉妬の炎を燃やす訳です。
その結果、こうなります。




(同書55ページ。)


迷い猫オーバーラン!』というタイトルでありながら、犬神家ですよ。
まぁこれもパロディの番付で言えば横綱級の、頻繁に用いられるモチーフとは言えるかもしれませんな。



と、他にもあるかもしれませんが、今回はこのあたりにて。
第6話〜8話はほんらい最終回に連なるエピソードであったためでしょうか、こういうお遊びは殆ど見付けられませんでした。
連載継続が確定したことですし、次の回以降ではこういう小ネタを復活させて欲しいところです。

*1:千世は巧たちが通う学園の理事長の孫娘で、つまり大富豪なのです。