高屋奈月『星は歌う』9巻
- 作者: 高屋奈月
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2010/09/17
- メディア: コミック
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8巻では聖と沙己とのやりとりに心癒される展開でしたが、この巻では本筋に戻りサクヤと千広との話が中心です。そこに長らくサクヤに片思いしていたユーリが、遂に行動し始めるという展開。
進学とか祖母とのぎこちない関係とかもないまぜになったユーリの心情が実に巧く描かれています。
そしてサクヤとの付き合いを経て、遂に自分の進む道筋を掴んだかに見えた千広ですが、そこでこの巻の最後の展開。いや実に高屋奈月さんらしいと言えばらしいです。物語全体を通じてもかなり大きな壁となりましょうや。その壁をどう乗り越えていくのか、恐らくはそれを描くのが目的でありましょうから、今後の展開にも期待せざるを得ません。あとはサクヤの両親(とりわけ義母)も今後の壁になるのかもしれませんなぁ。
それにしても、『星は歌う』の作中で主役級の人たちの前に立ち塞がる人たちは、軒並み自らを被害者と(或いは自分が迷惑を被っているのだと)心底考えている節がある。この自覚がまるでない悪意というのは怖いですな、と考える次第です。