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時折マンガの話をします。

島本和彦『アオイホノオ』3〜4巻

アオイホノオ 4 (少年サンデーコミックススペシャル)

アオイホノオ 4 (少年サンデーコミックススペシャル)


舞台は1980年代初頭の大阪にある芸大。
その大学でマンガ家を目指す青年・焔燃の青春を軸に、後のオタクシーンを牽引することになる人たちの若き日々が、虚実入り乱れつつ描かれていきます。この3〜4巻では、大学1年の夏から秋の出来事が描かれています。


根拠はまったくないながらも無尽蔵に溢れかえっている自らへの自信が、非情なまでの現実(初の原稿持込への編集者の反応とか、圧倒的なまでの才能を持つ同年代*1の存在とか)の前に崩れ去る様子とかは、何か心抉られるものがありますね。この年代だとよくあることだと思います。恥ずかしながら自分にも似たような感情を抱いた記憶がありますな(焔燃ほどのスケールではないにしろ)。
その感情を表した「傲慢なキングダム」(4巻38ページ。)という表現が秀逸だと思います。


当時のオタク(並びに世間一般)を取り巻く社会風俗とか、それを体験した際の衝撃が詳細に描かれているのもいいですね。自分がまだ物心つくかどうかといった時代なので、その当時の空気を知る手掛かりになると思っています。