今回の記事は18禁同人誌を取り扱っています。
殆どが文章だけなのであまり問題はない筈ですが、以下の箇所は収納しておきます。
昨年冬コミで購入した同人誌のご紹介となります。
今回取り上げるのはこちらです。
『エロマンガノゲンバ Vol.4』(サークル:フラクタル次元)
えろまんがけんきゅう管理人、稀見理都さんの同人誌になります。
『エロマンガノゲンバ』に関しては以前のものに関しても感想を書いたことがあるので、そちらも併せてご参照戴ければと思います。
昨年は都条例の規制問題で何かと騒がしく、きな臭い話が多い1年でした。
規制推進派・反対派の意見が噛み合わないまま、なし崩し的に可決に流れていったりと。やはり「相手を理解する・しようとする」というのは簡単なことではないのだなぁと痛感した次第です。それがないままに一方的に話が進んでしまうので、お互い反目・断絶が進んでしまうのかもしれませぬ。
そしてそのような状況の中、相手に対する理解を充分過ぎるまでに行ったうえで、徹底して相手の話を聴こうとする姿勢を貫いている『エロマンガノゲンバ』は、今こそ広く読まれて然るべき本かもしれない、と(少々こじつけっぽく聞こえるかもしれませんが、案外本気で)考えています。
『Vol.4』においてインタビューを受けているマンガ家さんは以下の方々。
作者さんのブログや twitter も併せて掲載しておきます。
- 鬼ノ仁先生(サイト:ぱんちゅ万歳、twitter:oninojin)
- Cuvie 先生(サイト:ShootOuts on web)
- 井ノ本リカ子・Benny's 両先生(サイト:SUPER BABY'S、twitter:ino__rika)
- 新堂エル先生(サイト:Element Galleries Home Page、twitter:Shindo_L)
今回も錚々たる顔触れになっていますな。(´ω`;)
因みに Cuvie 先生、新堂エル先生、井ノ本リカ子・Benny's 両先生のインタビューに関しては本日(1月14日)時点で「えろまんがけんきゅう」でも公開されています。鬼ノ仁先生に関しても後日公開される模様。
これまで同様、サイトで公開されているバージョンは言わば抄録でして、完全版は同人誌でのみ読むことが可能。更には同人誌のみの特別企画も収録されていますので、ご興味を持たれた方は是非購入してみることをお薦めします。
かと言って同人誌を持っていればサイトのほうを観る必要がないかと言えば、必ずしもそうではない。サイトのほうでしか使用されていない引用画像とかがあったりするのですね。書影とかはカラーで掲載されているという利点もあります。*1つまり両方観てみるのがベストです。
さてインタビューの内容ですが、稀見理都さんの痺れるほどに詳細過ぎる調査をバックボーンに、デビューの経緯・影響を受けた作家やマンガ家さんの話・原稿の制作過程(流れ)の話等を聞き出していきます。やはりインタビューの巧さがあるのでしょう、マンガ家さんの側も実に饒舌に話しているという感があります。
何れのインタビューも抜群に面白いのですが、とりわけ井ノ本・Benny's 両先生のお話は、デビューの契機から現在の制作体制に至るまでが密接に関係していることが明らかになっており、非常に興味深く拝読させて戴きました。*2
また、新堂エル先生以外はエロマンガ以外のジャンルでも活動をしています。鬼ノ仁先生・Cuvie 先生は商業誌、井ノ本・Benny's 両先生はBLですね。その別ジャンルで仕事をする際の描き方、についての話も面白かった。エロを描く際とまるで異なる手順で描かねばならず苦労したエピソードや、エロでの描き方が別ジャンルを描く際にも影響を受けるくだりとか。*3
アメリカ出身である新堂エル先生による、日本とアメリカのエロ事情の違い・並びに類似点の話も面白かったですね。嗚呼、人間は根本的なところでは変わらないのだなとしみじみ感じる箇所もあり。
そして『Vol.3』の「ケイタイノゲンバ」でも同様の話が出てきたのですが、表現上の奇妙な基準の話も興味深く読みました。これは Cuvie 先生のインタビューで公開されていますが、「ロリ描写が世間的に問題ある時期なので、アンダーヘアを描くように頼まれた」というエピソードとかですね。他にも、現在未公開でもあるので伏字にしますが、鬼ノ仁先生の作品で○○○○○○○を××××みたいな描写にしたならOKだった、とか。
やはり「基準」というのは少なからず恣意的であったり表面的なものであったり、或いは時代や風潮によって如何ようにも変わり得る曖昧なものであるのだな、と実感した次第です。
あと、「健全」とは何か、という点について非常に印象深い発言がありました。
サイトで公開されていない箇所なので、引用すべきかどうか迷ったのですが、実に良い言葉だと思うので引用させて戴きます(問題ある場合は削除します)。誰の発言かも伏せておきます。
(前略)若い子とか10代の子が性的なことに興味を持つことは凄いいいことだと思うんです。だけど、大事なのは”妄想”だと思うんですよ。
やっぱり子供の時って、「どうなってるんだろう?」と悶々とするのが健全だと思うんですよ!だからこそ、あんまりモロに見せるんじゃなくて隠されていて...。
この中に何が隠されているんだろうと思って大人になっていくのが一番健全だな〜と思うんです。
(『エロマンガノゲンバ Vol.4』78ページ。)
何から何まで無修正で描くのでもなく、不健全だとして規制を図るでもなく、実に中庸的で良い意見ではありませんか。妄想力、大事だと思います。
さて随分長くなってきました。
『エロマンガノゲンバ Vol.4』においては、このインタビューに加え「ファンノゲンバ」「イベントノゲンバ」も収録。
前者では「LOファン座談会」を掲載。参加者さんが自らのメンタリティ・「少女」に対する立ち位置とかを吐露しつつ、「LO」に掲載される作品の魅力を熱く語り倒す、読み応え抜群の内容となっています。自分はロリータものはどちらかと言うと不得手ですが、少なくともマンガとして読んでみたくなるような、そんな熱を帯びた座談会です。
後者は、2010年9月21日に行われた「ゴージャス師走ナイト」のレポートです。このイベントは僕も見に行ってまして、簡単な記事は書いていますが、より臨場感のあるレポートとなっています。
- 当該記事:「ゴージャス師走ナイト」簡易レポート
そして「イベントノゲンバ」には、ゴージャス宝田先生の「ガハハ出張版『ゴージャス師走ナイト』レポ。」も収録!その時の様子を実に的確に、且つ見事なまでにエンターテインメントとして描き上げています。必読だと思います。
という訳で、今回はこのあたりにて。
是非読んでみてくださいな(18歳以上限定で)。