西炯子『姉の結婚』1巻
- 作者: 西炯子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/05/10
- メディア: コミック
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東京から帰郷し、図書館勤めをしながら独り静かに暮らしている岩谷ヨリ(40目前)。そんな生活を一変させたのは、大学講師を務めつつ著書・訳書も多数著しているイケメン医師・真木誠。そしてヨリに執拗に迫る真木は、彼女の中学時代には「ホワイトポーク」とあだ名を付けられるほど、冴えない男だった・・・。
西炯子さんの新作になります。
舞台設定には前作『娚の一生』とも相通ずる箇所が少なからずありますね。ヒロインが40手前で恋愛を(恐らくは意図的に)遠ざけている点、それでいて独身生活をそれなりに満喫はしている点、相手となる男性が大学勤めである点、等々。
異なるのは、『娚の一生』では相手の男性は更に年上の独身男性であったのに対し、『姉の結婚』では同い年で、妻帯者であるということ。そして真木の妻(総合病院院長の娘)はヨリと瓜二つの容貌をしている。更には真木と妻の間柄は、夫婦と呼ぶにはあまりにも淡々としているのが作中で示されます。
ヨリと真木の仲がどう進展していくのか。真木の妻はこの2人にどのように関わっていくのか。そして1巻では僅かに仄めかされるだけの、東京でのヨリの過去はどのようなものなのか。これらが交錯しながら、物語は進展していく模様です。
それにしても西炯子さんは、諦観にも似た軽み・或いは余裕みたいなものを描くのが実に巧いですな。そこに未だ捨てきれない恋愛への渇望と、それが成就されなかった場合の恐怖がないまぜになり、西炯子さん独自の空気が表現されているように感じます。
今後も期待の1作だと思いますね。