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『姉の結婚』というタイトルが示すものは何か

先月上旬、西炯子さんの『姉の結婚』の短めの感想を書きました。


このところ、この作品で気になっているのがタイトルです。
姉の結婚』。
このタイトルはどの視点からのものか、という点です。


単純に考えると、このタイトルは妹の視点から観たものである筈です。故に「姉の結婚」。実際作中には、四十直前のヒロインである岩谷ヨリの妹・留意子が登場します。



西炯子姉の結婚』1巻24ページ。)


ヨリが留意子について述懐する場面です。ヨリとは年が離れていて、性格もかなり正反対であることが示されます。そしてほんらいならば、このタイトルから推測した場合、性格的に正反対で年も離れている妹の視点から、姉が結婚に至るまでの経緯が描かれるのが自然であろうと思う訳です。


しかしながら、少なくとも1巻の時点で、妹視点で物語が綴られることはないのです。ここが少し不思議に感じているところです。留意子の出番は決して少なくはないものの、中心になることはなく、あくまで脇役に留まっています。ヨリとは当然会話を交わす訳ですが、少なくとも読んだ限りではモノローグは皆無。留意子の主観・心情が詳細に描かれることは(あくまで1巻の時点では)ないのです。ヨリの心象が細やかに描写されるのとは対照的です。


或いは「姉の結婚」の「姉」は一般的な意味合いに過ぎないものか、とも考えましたが、そう捉えた場合妹の描写が少な過ぎるかなという気もする次第です。


まぁこれは言わば自分の妄想に近いものがありますので、純粋に続き心待ちにしているという状況ではありますが、「姉の結婚」を見届けることになるであろう妹の視点・主観・心情といったものが今後どう描かれていくのか、今後の愉しみの1つだと思います。