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マンガLOG収蔵庫・別館

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冬目景『マホロミ』1巻:明かされていく建物の記憶と、未だ明かされない人の記憶

マホロミ 1 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

マホロミ 1 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)


2012年2月4日初版第1刷発行。


冬目景さんの新作です。
物語の舞台となるのは横浜近辺。大学で建築を専攻した土神(にわ)は、高名な建築士であり、半年前に亡くなった祖父の家で一人暮らしを始めます。そこで土神は色褪せた、若い女性の写真を偶然発見します。それは祖母ではなかった。
ある日土神は、同級生の卯(あきら)に、解体間際となっている洋館の調査手伝いを頼まれます。そこで土神があるドアノブに手を触れた瞬間、目の前に存在しない筈の光景が立ち現れる。その現象はすぐに消えてしまったものの、それが気になった土神は夜に再びその洋館を訪れます。そしてそこで出逢った女性は、祖父が隠し持っていた写真の女性と瓜二つだった・・・。


その女性・深沢真百合と土神は、「建物が持つ記憶を視る」能力を持っていることが明かされます。取り壊され、失われようとしている建物の、何かに手を触れた瞬間(或いは土神と真百合が建物で手を重ねることで)、その記憶が浮かび上がってきます。その光景をヒントに、建物が心残りとしている事柄を推測し、それを解決しようと試みる。言わば、建物が心置きなく成仏できるように奔走する訳です。


この「建物自体に記憶が宿る」という考え方、荒木飛呂彦先生の『デッドマンズQ』や『ジョジョの奇妙な冒険』第6部に登場した「屋敷幽霊」にも近いものかと思いますが、実に独特な発想だと思います。八百万に神が宿ると考える日本ならでは、なのでしょうか?


そして登場する建物の記憶は少しずつ明かされていく一方で、主要登場人物の記憶・過去については謎が多く残されたままです。真百合の祖母(写真の女性)と土神の祖父の関係、真百合の祖母が遺した言葉、そして真百合自身の過去も、ヴェールに覆われたような状態です。これらの謎が如何なるものなのかも、楽しみなところです。


そして真百合の謎めいた、それでいて儚げな魅力が素晴らしい。
土神の祖父を述懐して洩らした一言「うそつき... 」*1は如何なる心境なのか、とかいろいろと勘繰ってしまいますね。
そしてこれは個人的嗜好なのですが、基本的に白を基調とした服装(主にワンピース)着用なのが堪らないですね。そして髪型は黒髪ロングなのですが、白の服装と鮮やかな対照を為し、互いに美しさを引き立てているように感じます。


冬目景さんは連載が不定期になりがちなので次がいつ出るのか判りませんが、じっくりと2巻以降の発売を待とうと思います。

*1:冬目景『マホロミ』1巻176ページ。