先日、「季刊エス」最新号を購入しました。
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2013/06/15
- メディア: 雑誌
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この2013年7月号(43号)の目玉と言える特集が、10周年特別企画として行われた「漫画家使用画材アンケート」です。コミックナタリーでも取り上げられていましたね。
115名のマンガ家さんに行った大アンケート。アンケート参加作家さんの一覧は上記リンクをご参照戴ければと。
質問事項は、この号の特集が「メイキング・スペシャル 画材百科」ということもあり、画材・作画方法が中心となっています。小さな文字が、6ページぎっしりと埋まっている特集は一読の価値あり。
今回は、このアンケート結果を幾つか分析してみようかと思います。
【アナログ・デジタルの比率】
- アナログ:83/115(72.2%)
- デジタル:21/115(18.3%)
- 双方併用:11/115(9.6%)
やはりまだ、ペンを用いての作画(アナログ)が大きな割合を占めていますね。
とは言え併用も含めればデジタル使用率は約28%、今後もこの割合は少しずつ増えていくのかな、という気はします。
【人物を描く際に用いるペンの比率】
合計数が83を越えるのは、併用されている方が多いためです。
基本的に手数えでカウントしているため、若干ズレが生じているかも。また分類の際に勘違いしている可能性もあるので、その点ご留意戴ければと。
Gペンと丸ペンの使用率が圧倒的に高いですね。また、Gペンと丸ペンは併用率も高いのが特徴かと思います。髪の毛とか、細やかな描写が必要な際に丸ペンを使用するケースが多いようです。
一昔前だとマンガで使用するペン=カブラペンというイメージもあったように感じますが、現在は用いる方は少なくなっている模様。
使用率は半々といったところ。機種を回答しているケースに関しては、 Mac の名称がないもの(dynabook とか Lenovo とか)は Windows と判断。やはりカウントミスはあるかも。
デザイン関連の仕事をする人は Mac という、漠然としたイメージから考えると少ない気もしますが、それぞれの普及率から考えれば、Mac の割合はかなり高いと言えるのかもしれませんな。
【使用タブレットの比率】
- BAMBOO(バージョン不明):1
- intuos 3:4
- intuos 4:9
- intuos 5:2
- intuos(バージョン不明):2
- cintiq 12WX*5:4
- cintiq 21UX*6:6
- cintiq 24HD*7:3
- 機種不明・未回答:4
intuos と cintiq が人気を二分していますね。
cintiq のほうが、(価格・重量の面から見ても)より専門性が高いといいますか、プロフェッショナル・本格仕様といった印象を受けますかな。
回答に出ている機種はすべて WACOM 製品なので、タブレット市場においては WACOM が圧倒的シェアを占めているのが窺えます。
【デジタル作画における手描き使用率】
- フルデジタル:13
- 設定画のみ手描き:1
- ネームまで手描き*8:5
- ラフ・線画まで手描き*9:5
- 人物まで手描き:1
- ペン入れまで手描き*10:5
- 背景のみ手描き:1
- アナログのほうが質感が出る箇所(植物等)のみ手描き:1
- 仕上げのみデジタル作画を使用:1
- 未回答:1
デジタル作画を利用している32名のうち、フルデジタルは13名(40.6%)。
アナログ併用の人を除けば21名中13名(61.9%)。
作業効率・環境と作家さんのこだわりのバランスも、それぞれ段階があることが窺えて興味深かったです。
長くなってきたので一区切り。
このアンケート、資料的な価値も高いのではと思いますので、ご興味のある方はご一読をお薦めします。回答者も含めた、マンガ家・イラストレーターさんの作画行程の記事も別にありますので、作画そのものに興味がある方にも参考になる号かもしれませんね。
といったところで、本日はこのあたりにて。