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時折マンガの話をします。

世界で最初に『スーパーマン』を読んだのはジョセフ・ジョースター

先日、大井昌和さんの『おくさん』新刊6巻を読んだのですが、このようなコマがありました。



大井昌和『おくさん』6巻157ページ。)



(同書175ページ。)


『おくさん』はB107?(!)の「おくさん」こと恭子さんの、何ともフェティッシュに満ち溢れた日常が描かれる作品です。
上のコマの女性は恭子さんの友人・野々宮さん。趣味であるバイクの手入れをしていたところ、近所の子供のボール遊びが原因でバイクを倒されてしまい、怒りにまかせてボールを蹴飛ばす場面。
下のコマの男性は野々宮さんの旦那さんです。諸々の事情でご近所さん連れ立ってドライブ?に行くことになるのですが、車内でお金を賭けてUNOをやるものの大敗を喫した野々宮さんが、旦那さんにお金を要求している場面になります。


共に、元ネタは『ジョジョの奇妙な冒険』になります。
上はジョナサン・ジョースターの有名な誤植、下は岸辺露伴の名台詞ですね。
ジョジョ』が如何に広く認知されているかを示す一例と言えましょう。


そして日付も変わって今日19日、『岸辺露伴は動かない』が発売となります。



更には第3部のアニメ放映が来年春からというのも決まったようですので、久し振りにジョジョ関連の小ネタを1つ書いてみようかと思います。
今回取り上げるのは、第2部序盤の1コマから。



荒木飛呂彦ジョジョの奇妙な冒険』5巻170ページ。)


スピードワゴンとストレイツォとの会話内における回想シーン、ジョセフ・ジョースターが生まれつき波紋の能力を持っていることが明かされる、スピードワゴンの飛行機がハイジャックされた場面です。
このハイジャックはあくまでスピードワゴンとハイジャック犯との間でのことである、との立場から我関せずの態度を貫くジョセフ。ジョセフがどのようなメンタリティなのかが示される、重要なシーンと言えます。


そしてジョセフは、その際にマンガを読んでいます。*1表紙には「SUPERMAN」とあります。つまり読んでいる作品は『スーパーマン』になります。
そしてここで、重要な事実を書いておかなければなりません。


ほんらい、その時代に『スーパーマン』は存在しない筈なのですね。


この回想シーン、ストレイツォが「13歳のジョジョの飛行機でのことだったか...」と言っています。*2ジョセフ・ジョースター1920年生まれなので、このハイジャック事件は1933年の出来事だと判ります。
そして『スーパーマン』ですが、原作:ジェリー・シーゲル、作画:ジョー・シャスターによるシリーズ第1作が発表されたのは1938年なのですね。*3


つまり、第1作発表の5年前に、既にジョセフは『スーパーマン』を読んでいるということになる訳です。
これをミスだとあげつらうことや、「おとなはウソつきではないのです、まちがいをするだけなのです......。」*4と弁護することも可能でしょうが、それでは愛が足りないようにも感じますので、スピードワゴン財団の何らかの力で、プロトタイプ的な『スーパーマン』が既に描かれていたに違いない、と解釈しておこうかと考える次第です。


因みにアニメ版では、「SUPERMAN」の文字は無くなっていました。*5
以上、小ネタでした。

*1:確か第3部でのキャラクター紹介的な描写で「趣味:マンガ集め」みたいな記述があった筈。

*2:荒木飛呂彦ジョジョの奇妙な冒険』5巻169ページ。

*3:何でもこの2人、殆ど権利を得ることができなかったとか何とかで長らく不遇をかこつことになったらしいのですが、それはまた別の話ということで。参考文献が行方不明になってしまったので...。

*4:荒木飛呂彦ジョジョの奇妙な冒険』4巻203ページ。

*5:著作権的な問題があったのか、それとも上で指摘したことを踏まえてのものかは不明。