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時折マンガの話をします。

得能正太郎さんの最初期イラスト

先月になりますが、「季刊エス」の新装刊となる50号(2015年夏号)が発売されました。
49号までは飛鳥新社発行だったのですが、この号からは発行は復刊ドットコム、発売は徳間書店となっています。それに伴い、判型も変更されています(一回り小さくなりました)。


インタビュー記事とかが非常に充実していることもあり、購読している数少ない雑誌だったので、雑誌が存続したのは非常にありがたいことです。


さてこの新装刊となる50号、これまでと同じく複数名のインタビュー・対談等が収録されているのですが、その中のひとつが、得能正太郎さんのインタビューです。
丁度1年くらいになりますか、「今日も一日がんばるぞい!」のコマがネット上に溢れかえり、しばらくの間品薄状態が続いた『NEW GAME!』の作者さんですね。



NEW GAME!』の話に留まらず、自身が嘗て勤めていたゲーム会社での経験や創作方法に至るまで、幅広く語っているので、興味のあるかたは是非ご一読を。
そしてこのインタビュー、冒頭はこんな感じで始まるのですね。

ー得能さんは、二〇〇四年頃に「季刊エス」へイラストの投稿もしてくれていましたよね。その頃は、今よりもキャラクターがリアルで装飾的なイラストだった印象があります。


得能 そうですね。「エス」の三号か四号あたりから投稿していました。男キャラも好きなので、その頃は男女も交互で描いていて、萌えではなかったですよね。


(「季刊エス」50号50ページ。)


季刊エス」ってイラスト投稿にかなり力を入れている雑誌なのですが、元々そこに投稿をしていた、と。
調べてみると、何年か前に行われたインタビューでも同様の発言をされています。


現在の絵柄とは異なるものであったという言及がされています。そう言われると、どのようなものだったか気になってしまうというものです。
なので、調べてみました。



(「季刊エス」6号115ページ。)


こちらが、自分が確認した限りでは最初期の、得能正太郎さんの投稿イラストになります。「季刊エス」6号(2004年春号)掲載。冒頭のインタビューにあるように、現在よりもリアルな頭身です。且つ和のテイストというのも新鮮に感じます。



(「季刊エス」7号119ページ。)


その次の号の作品。再び和のテイストです。大正風のイラストなのは、この号のテーマが「女學生」であることも関係していると思われます。因みにこの号では純粋に投稿のみではなく、雑誌(編集部)側からの質問に答えるかたちでのコメントも収録されています。



(「季刊エス」9号117ページ。)


男性キャラクターです。
上掲インタビュー記事には「男キャラも好きなので、その頃は男女も交互で描いていて、萌えではなかったですよね」とありますが、やはり『NEW GAME!』の印象が強くなってしまう故か、非常に珍しく感じてしまいますね。


今挙げた3点のイラストは得能正太郎さんのサイト([okutaro28.tumblr.com:title=ショウタロウのイラスト置き場])にも言及がないです(投稿作品故に「WORKS」に含まれないのは当然かもしれませんが)。


最初期の絵柄と現在の絵柄はかなり異なります。それは長く描いていれば変化していくのは当然な訳ですが、その要因としては、インタビューで

得能 そうですね。昔はデッサンが整った綺麗なイラストを描きたいと思っていたんですが、ラノベのイラストの仕事をいただくようになって、性格から服や髪型を考えてキャラクターを作るようになったんです。それでキャラクターを描くのって面白いなーと思うようになりましたね。


(「季刊エス」50号52ページ。)


と言っているあたりも影響しているのかな、と。
ラノベのイラストや前作『こもれびの国』とも比較しつつ、変遷を辿るのも面白いかもしれませんな。


因みに過去の「季刊エス」の投稿作品を調べてみると、現在有名になっている方の名前も幾つかありました。
帝国少年さん、行徒さん、山本ヤマトさんの名前とかありましたね。
そういう愉しみ方もあるかと思います。


といったところで、本日はこのあたりにて。
次の更新は未定です。