マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

単行本発売のタイミング

明日はジャンプ系の単行本が発売になります。
(場所によっては早売りもしていたかとは思いますけどね。)
僕も何冊か買う予定があります。注目している作品も幾つかありますね。

で、単行本の発売時期について、ふと疑問に思ったことがあります。
「単行本の続きが○○○(掲載誌)ですぐ読める!」という類の売り出し方は、いつ頃から出てきたのだろうかというものです。


単行本に収録された回と(その月に発売される)雑誌の回とでは、数回分の間があるのが普通です。
とりあえず手元にあるもので、『ヴァムピール』最新刊を例に挙げてみます。

ヴァムピール(1) (アフタヌーンKC)

ヴァムピール(1) (アフタヌーンKC)

ヴァムピール』1巻には、2007年12月号〜2008年3月号(+2006年9月号の読切に加筆修正)分が収録されています。
そしてこれが発売された月の「アフタヌーン」は6月号です。
単純計算で3号分の余裕があります。統計を取った訳ではないので感覚的なものですが、普通単行本と連載の間には「単行本1冊分前後」の余裕を持たせています。時間的に言えば雑誌に載った3〜4ヶ月後に単行本になります。

しかし最近ではその限りではないのですね。上に書いたように、雑誌に掲載したギリギリまでを単行本にして発売される例が出始めている(最も判りやすい例は『HUNTER×HUNTER』)。
これはここ何年かで顕著になってきた筈です。

これは何故だろうと考えを巡らせていたのですが、仮説として思いついたことが幾つかあるので挙げてみようかと思います。


まず1つ目として、雑誌の売り上げ減少と「単行本のみ購入派」の増加です。
雑誌も単行本を買う、少なくとも雑誌もちゃんと読む層が多かったのではないかと。
雑誌で連載を追って、3〜4ヶ月したら記憶も朧げになってきて、その頃ちょうど単行本が発売されるから買うというサイクルが成り立っていたのではないかと思う訳ですよ。
ただ、90年代前半をピークとして、雑誌売上は減少傾向です。しかも恐らくこの頃から雑誌の数は増えてきている。メディアミックスとか、購買層を特化したマーケティングとかの影響でしょうか。

結果、面白い作品はあっても様々な雑誌に分散してしまっていると思うのですよ。
とてもじゃないが追い切れず、単行本のみ購入する人は増えているんじゃないかと。少なからぬ情報がネットで手に入るようにもなってきていますしね。

で、「単行本だけ買う」という人にも雑誌を手に取ってもらうという目的で、「続きが雑誌で読める!」という売り方をしているのではないかと推測する訳です。


もう1つは、休載頻度の上昇ですね。
○樫先生は言うまでもなく、それ以外の作者さんも「作者取材」とか「作者都合」とかで休載するケースが非常に多いです。最近休刊が決定した「ヤングサンデー」とか、常に主力の半分くらいは休載しているイメージがありました。(´ω`;)
十数年前までは考えられない状況だと思うのですよ。(当時のほうが異常だったとも言えるでしょうが・・・。)

休載が多くなるとそのぶん単行本が出るペースは落ちる訳で、それを更に約1冊分の余裕が出るまで待つよりは出せるときに出してしまって、それに合わせるかたちで雑誌にも掲載して話題性を繋ぎ止める、という戦略があるのかなぁと。


まぁこれは何の裏付けもない、あくまで憶測の範疇に過ぎないものです。
とは言えこういうちょっとした傾向から、マンガ界の状況が垣間見えてくるようにも思える今日この頃です。