続きです。
金や法律の抜け穴は、このマンガで学びましょう。悪用厳禁、身を守るために。
映画の半券を使う手口や「0号不渡り作戦」はほんとうに凄かったなぁ。
続編は面白いのかな?今度買ってみよう。
78.あさりよしとお『宇宙家族カールビンソン』(文庫版)
冴えたギャグセンス、随所に散りばめられたパロディ。珍妙な登場人物。
それでいながらしっかりSF。
そしてライカは実にいいやつなんだ。
79.あさりよしとお『なつのロケット』
一夏の、何事にも代え難い思い出。
そこには哀しい思いもあるけれど、それでもこういう経験をしてみたいと思う筈。
いったい俺はあの頃、何をやっていたのか・・・。('A`)
80.あすなひろし『林檎も匂わない』(文庫版)
これまで復刻同人誌でしか読むことができなかった多くの短編を収録。
この短編集で登場するキャラクターは、多くの人が真っ直ぐで、それ故に切ないのです。
芸術的なカケアミ線も併せてご覧ください。
これを入れ忘れていたとは情けない。('A`)
この世界観は、あずまきよひこさんだけが描けるものですね。
ちよちゃんの台詞の字体が変わったときと、大阪のキャラクターが固まったあたりがターニングポイント。そこから抜群に面白くなります。
82.五十嵐大介『魔女』
画力に圧倒。台詞の深さに脱帽。
いちども空を見たことがない人が「晴れた空は青い」と言ったら、
言葉は間違ってなくてもそれはウソなんだわ。
(2巻91ページ)
マンガを読む際にも忘れないようにしたい台詞ではありませんか。
この作品も、説明するまでもないでしょうね。
男装の麗人、絢爛豪華な貴族の生活、陰謀渦巻く宮廷、押し寄せる歴史の荒波(フランス革命)、そして悲恋と。
物語の密度が濃いです。オスカルとアンドレの姿に涙せよ、と。
完全版で読んだほうが、迫力があっていいかもしれませんね。
84.石川球人『巨人獣』(復刻版)
石川球太、という名前のほうが知名度は高いかな?改名したそうです。
ある日突然身体が巨大化(30倍の大きさ)してしまった男の辿る運命を描きます。
物語後半からの、不条理かつ悲劇的な展開が強い印象を残します。
TISTA 1 (1) (ジャンプコミックス)
(画像なし)
「ジャンプスクエア」では、かなり楽しみにしていた連載だったのですが・・・。(ノД`)
第一話を読んだときは「これは!」と思っただけに、予想以上に早く終わってしまったのが残念。
特別な「眼」を持つことで凄腕のスナイパーとして数々の暗殺をしてきた少女・ティスタの苦悩と葛藤が描かれます。
86.オノ・ナツメ『リストランテ・パラディーゾ』
スタッフ全員が老眼鏡着用というリストランテで繰り広げられる人間模様。
そこには、人生の年輪みたいなものが感じられるのですよ。
クラウディオは無理だけど、ルチアーノみたいな年の取り方はしてみたいなぁと思ったりする今日この頃。
87.オノ・ナツメ『not simple』
一人の青年の、悲劇的な人生。
誰が悪い訳でもないのに、何故か物語は哀しい方向へ向かってしまう。
人の一生は not simple です。
東京BABYLON―A save for Tokyo city story (1) (ウィングス文庫)
(画像なし)
CLAMP作品では、これがいちばん好きですね。
「自分の子供に100の孝行をしよう」と決めた夫婦の話が、いい話なのですよ。
89.さいとう・たかを『サバイバル』(文庫版)
『Another Story』を入れると11巻になってしまうから、反則かな?
その場合は愛蔵版、ということでご容赦願います。
大地震により地殻変動が起こり、孤島に取り残されてしまったサトル少年。大自然の驚異が次々と襲い来るなかを、彼は生き残ることができるのか。
緊迫感溢れる物語に加え、サバイバルに必要な知恵も多数描かれていて実に面白いです。
リストには文庫版を挙げましたが、僕が持っているのはソフトマジックから出たこちらの復刻。
購入する際は文庫のほうが安いので、そちらをお薦めします。
極貧のうえ容姿にも恵まれなかった蒲郡風太郎が、あらゆる卑劣な手段を用いて成り上がっていく姿が描かれます。
頼りにするものは銭のみ。しかしそんな自分が如何に汚れきっているかを理解しているからこそ、真に清らかなものを求め続ける銭ゲバの孤独な姿。
この時期のジョージ秋山先生は、ほんとうに凄いなぁ。
91.曽根富美子『親なるもの断崖』(文庫版)
明治末期から昭和32年まで北海道・室蘭に実在した「幕西遊郭」。
昭和初期の飢饉のなか、口減らしとして遊郭に売られてきた少女たちは、血を吐くような生き方を強いられる。
そしてそれは決してフィクションではなく、実際にこのようなことは起こっていたのでしょう。
劣悪な環境で強く生き抜こうとする彼女たちの叫びは、次第にその時代に苦難を強いられた女性そのものの声に変わっていきます。読む人の心を深く抉る1冊。
92.高屋奈月『翼を持つ者』(文庫版)
翼を持つ者 第1巻 (1) (白泉社文庫 た 6-1)
(画像なし)
高屋奈月さんと言えば『フルーツバスケット』が有名ですが、こちらもいいです。
初連載作品かな?
「過去に深い心の傷を負った人は、如何にして救済されるのか」というのが高屋奈月さんの作品に通低するテーマだと思うのですが、この時点で既にその探求は始まっています。
最悪のかたちで出逢ったふたり。
そのふたりが辿る1年間。
ふたりの認識のズレが、実に面白いんだ。
いろいろな意味で反則です。
あまり考えず、流されるままに読みましょう。
そしてたまには球五のことも思い出してあげてください。
圧倒的な画力で描き出される、悪夢的な未来世界。
その世界を救う手段を求める霧亥の旅に終わりは来るのか。
そしてシボさんが素敵過ぎる。(^ω^)
聖徳太子―超劇画
(画像なし)
『聖マッスル』や『女犯坊』で知られる劇画家・ふくしま政美先生が描く聖徳太子。
当然一筋縄にはいきません。
聖徳太子が地獄で閻魔大王や機械仕掛けの恐竜と闘ったりします。
閻魔大王が宇宙に投げ飛ばされたりします。聖徳太子は弁財天と性的に闘っています。
何を言っているのか判らない?その場合は実際に読んでみましょう。先に『日出処の天子』を読んでおくと、引きつけを起こします。(´ω`)
個人的には、福本作品の最高傑作。
セザンヌ編とポーカー編が自分のなかでは熱いですね。
平井銀二は、まだ走り続けている筈だ・・・!
『テレプシコーラ』等でも知られる少女マンガの大御所、山岸涼子さんが描く聖徳太子。
正確には少年時代なので、厩戸皇子ですね。妖しげな色気をもって描かれています。
不可思議な能力を使いながら着実に権力を掌握していきつつも、次第に孤独を深めていく姿が苦しい。
これは名作だと思います。因みに先に『聖徳太子』を読んでおくと、引きつけを起こします。(´ω`)
とにかく熱い。
言語感覚が凄まじい。
身体表現が突き抜けている。必読です。
掉尾を飾るのはこの作品です。
日本を支配するという野望の炎に包まれた男たちが、持てる全ての知力・権力・暴力を駆使して繰り広げる果てしない闘争のドラマ。尋常ではない迫力とテンションが、全てのページに満ち溢れています。
超人・柿崎憲の存在感が只事ではない。震えながら読むべし。
因みに原作は雁谷哲氏。この頃は実に尖っています。完全版収録の解説がまた熱い。
そして僕自身の野望はあらゆるマンガを読むことですが・・・その野望が叶う日は果たして来るのか。
・・・さて、とりあえず全作品の感想も書き終わりました。長かったなぁ。
この後、これを書いてみて感じたことを書き連ねてみようかと思います。
*1:9月に最終巻が出るようです。全2巻