マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

ようやくコミケ戦利品のことを書いてみる

ここ何日かは忙しいやら、神経性のものと思われる骨盤の痛みに悶絶するやら、今更ながらやる夫まとめスレを延々と読んでたりするやらでまったく更新が滞っていました。1週間ぶりの更新となります。


最近は仕事の都合上、なかなかコミケに参加できません。昨年末も1日目しか行けず、いちばんの狙いどころとなる3日目は知り合いの方々にお願いして買って戴くことに。
先週あたりにようやくそれらを受け取ることができました。



基本的に貧乏人、とりわけ2月末あたりまではかなり台所事情が厳しいのでいつもより抑えめです。20冊もいってないのではないかと。委託で手に入れづらく、且つ個人的に関心が高い評論系が中心です。
幾つかピックアップしてご紹介。




  • 『アニメとSFの親和性 ロトさんの本 vol.22』(サークル:IRD工房)


BSアニメ夜話」等でもお馴染み、アニメ評論家・氷川竜介さんの同人誌。
昨年夏のSF大会での講演録です。「なぜアニメは面白いのか」という点について、人間の目や脳の働きといった認知科学にまで踏み込んで迫っていきます。ここまで原理的な掘り下げ方をして且つ面白くアニメを語れる人って、たぶん氷川竜介さんくらいしかいないのではないかなぁ。読み応え抜群の1冊です。



  • 左:『オタクとデザイン 第3号』(サークル:オタクとデザイン)
  • 右:『オタピクトの本』(サークル:オタクブックス)


2冊まとめてご紹介。
『オタクとデザイン』は名前から判るように、「デザイン」という視点からオタク文化を読み解いていく同人誌。第3号となるこの号ではとらのあなの同人情報誌「虎通」のデザインの変遷が特集で組まれていて、比較的最近のものしか知らない僕にとっては初期の「虎通」デザインは非常に興味深いものでした。
またこの同人誌、さすが「デザイン」をテーマに据えているだけあり、レイアウトも非常に洗練されています。


『オタピクトの本』もタイトルどおり。
ピクトっていうのは、非常口のマークとかの「何らかの意味を伝える記号」のことですね。


ピクトさんの本

ピクトさんの本

こんな本も出ていたりします。


で、『オタピクトの本』ではオタクの属性であるとか商品分類についてのピクトを考案すると共に、その用法についての提案をしています。所見では「属性」のピクトは少々判りづらい(或いは慣れが必要な)気がしましたが、商品分類はすぐにでも使えそうな気がしました。


サイト・ブログはこちら。



  • ロドルフ・テプフェール『M. ヴィユ・ボワ』


「コマ割りまんが」を世界で初めて描いたとされるロドルフ・テプフェール(1799〜1846)の第1作の、初の翻訳。
漫棚通信ブログ版さんでご紹介されたこともありますね。


恐らくは「マンガ」という表現を考える際に絶対に外せない人物なのでしょうが、恥ずかしながらリンク先の記事を読むまでまったくテプフェールについては知りませんでした。('A`) スコット・マクラウド『マンガ学』にも少し名前が出てくるようですが、表記が違うということもあるのか単に記憶力が悪いのか(恐らく後者)、完全に記憶から抜け落ちていたという次第。
それにしても、それほどの作家でありながら日本では殆ど紹介されることもなく、しかも初訳が描かれてから170年以上経過していてしかも同人誌というかたちで、という状況です。何かマンガを巡る文化状況には妙な偏りがある、と言わざるを得ませんね。・・・と、大口を叩いておいて僕自身それほど海外のマンガを読んでいる訳ではありませんが。
ともあれ翻訳が出たのは嬉しいことですね。


内容についてはリンク先を参照して戴くとして、読んでいて興味深かったのはヒロインの容姿。
(少なくとも後半は)かなり大柄というか、屈強そうな体付きで描かれているのです。これは当時の「美人」の基準なのかそれとも作者の嗜好なのか、気になるところです。


更に詳しい紹介についてはこちらをどうぞ。



  • 『コミック・マヴォ vol.1』(サークル:時間藝術研究所)


竹熊健太郎さんが責任編集を務めた同人誌。
ご自身のブログ、たけくまメモでも度々記事にしておられましたね。竹熊健太郎さんが講師を勤めておられる多摩美術大学の学生さんを中心とした執筆陣による、マンガ雑誌的な同人誌となっています。
読んでとりわけ面白く感じたのは、水野清香『家族喧嘩』と川上秀行『コマの中からこんにちは!』。何れもマンガというメディアの特性・或いはお約束を、実に自覚的に利用した作品となっています。
竹熊健太郎さんが書いた「マヴォについて」も非常に興味深い読物でした。



  • 『ニュースサイト読本2008 Final』(サークル:むんくろ)


漫画系ニュースサイト大手、MOON CHRONICLE の管理人ミルトさんが中心となって作られた同人誌。2008年下半期のオタク的に話題となったニュースをまとめて紹介したり、執筆者の方々がそれぞれ興味ある題材(なのは、東方、ニコニコ、twitter 等々)についてコラムを書いておられたりしています。
マンガに極端に偏っている僕にとっては殆ど未知のジャンルも少なからずあり、オタク文化というのは実に多岐に広がっているのだなと改めて認識もできた1冊です。


因みに「このアニメがすごい!2008 on ニュースサイト読本」を読んでいて感じたのが、自分は全然アニメを観れていないなぁというものと自分の感覚のズレ。(´ω`;)
2つほど挙げると昨年観たもので面白かったのは『狼と香辛料』と『墓場鬼太郎』。「どちらもランキングに入っていないのか・・・」と思っていたところ、8位の『ひだまりスケッチ×365』がどうやら『狼と香辛料』の誤植のようで一安心。やっぱりホロ可愛いですよね!
でも去年いちばんの衝撃は『墓場鬼太郎』だと思うんだ!あの再現度は異様だったよ!




マンガレビュー系サイトでは最大手でありましょう、ヤマカムすーぱーさんの過去ログ集。
初期の雑記(ご本人曰く黒歴史)がまためっぽう面白いのです。まぁ、とある筋からの情報によると、最初期の日記の殆どはそれはもう口に出せないような内容だったとか。( ^ω^)
それにしても、これだけの情報量・内容の濃さ・そして文章のセンス。これだけのものを次々と更新できるのはやはり天才なのかなぁと。


そういえば、この1〜2年めっきり更新頻度が落ちていたヤマカムさん、今年に入ってから怒濤の更新が続いていますね。しかも毎回ハイレベル。まがりなりにもマンガを主な題材にブログを書いている立場からすると、正直その才能に嫉妬します。
さてこのペースはいつまで続くのか。エロゲーに夢中になって更新が止まらないことを祈るばかりです。



最後に少々脱線した気もしますが、とりあえずはこのくらいにて。