約一年前、赤塚不二夫さんの告別式でタモリが述べた弔辞が話題になりました。
追悼の言葉が人の心を打つのは、亡くなった方の人柄と共に、やはりそれを述べている方の思いというものが伝わるからなのでしょう。
最近購入したマンガに、同じく書き手の思いが伝わってくる(少なくとも自分にはそう思える)ものがありました。今日はそれをご紹介します。
- 作者: 篠房六郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/23
- メディア: コミック
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3巻では百舌谷さんと養父母の過去が中心に描かれます。ちりばめられたオタクネタは相変わらずの鋭さを持ちつつ、それでいながらツンデレを単なる萌え要素として扱わず、むしろ業や宿命のようなものとして描き、コミュニケーション或いは相互理解の困難さというところまで突き詰めていくのは圧巻の一言です。
読んでいる方には無用の説明となりますが、『百舌谷さん』の世界において「ツンデレ」は「ヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害」という病気です。
そしてこの「ヨーゼフ・ツンデレ(以下略)」という名称を考案したのが、SF作家の伊藤計劃氏です。
伊藤計劃氏は、今年の3月20日に逝去されました。
遺作となった『ハーモニー』は、今年の星雲賞を受賞しています。
- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/12
- メディア: 単行本
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今月初めに、同人誌で発表した短篇『セカイ、蛮族、ぼく。』がネット上で公開されたりもしていますね。
篠房六郎さんは伊藤計劃氏の大学時代の後輩とのことです。
ご自身のサイトにも、追悼文を書いておられます。
そして『百舌谷さん』3巻の巻末特別描き下ろし漫画に、改めて伊藤計劃氏とのエピソードを描いておられます。
最初のコマでのやりとり、
何ですか あの看板の品川バスターってのは。
強そうですね
先輩アレは
品川バスターミナルと書いてあるのです
だけで既に面白かったりしますが、そこから「勝ちたいですね 名前だけで」という流れになり、そこから「強いタイトル」とプロットを作り出していくのです。
ネタバレを避けたいので伏せますが、そのプロットがまた物凄く面白そうなのです。
無茶苦茶読みたい。
諸事情あって実現には困難が伴いそうな気もしますが、もし出版されたら迷わず購入ですね。
そしてこの描き下ろしマンガ、僅か2ページではありますが、伊藤計劃氏の人柄というか物腰というか、実によく伝わってくるのです。やはり、篠房六郎さんの伊藤計劃氏への敬意とかが詰まっているからではないかと思う次第です。
本編のみならず、こちらも必読です。
追悼マンガとなると、他には石ノ森章太郎さんや坂口尚さんが手塚先生逝去の際に描いた作品とかも素晴らしい内容だったりしますが、それはまた機会があればということで。
そうそう、『百舌谷さん』3巻ですが、カバーは絶対に外してはいけませんよ!絶対です!
(´ω`)