マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

BL、或いはマンガのジャンルに関しての覚書

文章にするほどには考えがまとまっていないため、断片的な内容です。
敬称略となっていますがご了承を。


【最初期】

  • BL*1におけるクラシックとして挙げられる作品:萩尾望都トーマの心臓』、竹宮惠子風と木の詩』、山岸凉子日出処の天子』等。それぞれ連載開始は1974年、1976年、1980年。
  • これらの作品は少女マンガ雑誌に連載されている。当時BL専門誌は創刊されていなかったり、創刊間もない時期だったり。「JUNE」の創刊*2が1978年。
  • この時期はジャンルが細分化されていないと見るべきか?或いは発表媒体の選択肢が無かったと見るべきか?
  • この時期のBLはむしろ同人活動を調査する必要がある筈。

トーマの心臓 (小学館文庫)

トーマの心臓 (小学館文庫)

風と木の詩 (1) (中公文庫―コミック版)

風と木の詩 (1) (中公文庫―コミック版)

日出処の天子 (第1巻) (白泉社文庫)

日出処の天子 (第1巻) (白泉社文庫)

(何れも名作。必読作品と言って差し支えない。)


【境界線上の作品・レーベル】

  • 直接的な描写はないものの、BLの匂いが無闇に濃厚な作品が出始めるのは80年代前半か?
  • ウィングス」の創刊が1982年。同人から入った作家多数。有名どころでは高河ゆんCLAMP等。
  • 最近この境界線上の雑誌・レーベルがかなり増えている。Gファンタジー」「ZERO-SUM」「コミックブレイドアヴァルス」「comic B's-LOG」「シルフ」等。BLとの関わりについては後述。

Gファンタジー 2010年 02月号

Gファンタジー 2010年 02月号

Comic ZERO-SUM (コミック ゼロサム) 2010年 02月号 [雑誌]

Comic ZERO-SUM (コミック ゼロサム) 2010年 02月号 [雑誌]

コミックビーズログ キュン! Vol.2 [雑誌]

コミックビーズログ キュン! Vol.2 [雑誌]


【「BL」と一口に言っても、雑誌により傾向は異なる】

  • 多数あるBL雑誌にも「色」のようなものはある。
  • サブカルの匂いがするBL雑誌:OPERA」「CRAFT」「Cab」等。これらの雑誌に執筆している作家は、一般誌(サブカル風・或いはマニア好きのする雑誌*3)との親和性も高い気がする。

OPERA vol.18-記念日- (EDGE COMIX)

OPERA vol.18-記念日- (EDGE COMIX)

CRAFT vol.43 (ミリオンコミックス)

CRAFT vol.43 (ミリオンコミックス)

Cab v.4―CATALOGUE and BGM (MARBLE COMICS)

Cab v.4―CATALOGUE and BGM (MARBLE COMICS)


以下は個別の事例。


【一般誌→BL】

この流れは少なめ。不規則な動きをする場合もあり。

グリーン・ウッド』には男性カップルが登場していたが、「現代日本を舞台にした作品」で男同士という関係を描写したかなり初期の例かもしれない(一般誌では)。BL作品は新書館ディアプラスから出ている。『魔法使いの娘』がウィングスで掲載されたのと関係しているのか?

愛と欲望は学園で9 (ドラコミックス 212)

愛と欲望は学園で9 (ドラコミックス 212)

ここはグリーン・ウッド (第1巻) (白泉社文庫)

ここはグリーン・ウッド (第1巻) (白泉社文庫)

Jの総て (3) (F×COMICS)

Jの総て (3) (F×COMICS)

片恋の日記少女 (花とゆめCOMICS)

片恋の日記少女 (花とゆめCOMICS)


【BL→一般誌】

一般誌に軸足を移していくケースと、両方を並行して描くケースあり。


【境界線上の雑誌のケース】

このケースでは、BLと一般で名前を使い分けている場合もある。

  • 枢やな:『黒執事』(Gファンタジー)の作者。簗緒ろく名義でBLを描いていたことも。
  • 宝井理人:「CRAFT」で『セブンデイズ』の連載、「シルフ」で『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち』の連載。
  • わたなべあじあ:BL作品多数。「シルフ」で「ひめごとははなぞの」を連載。
  • 御徒町鳩:「シルフ」で『腐女子っス!』連載。松本ミーコハウス名義でBL作品も描いている。

Glamourous lip (光彩コミックス Boys Lコミック)

Glamourous lip (光彩コミックス Boys Lコミック)

セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY (ミリオンコミックス 42 CRAFT SERIES 22)

セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY (ミリオンコミックス 42 CRAFT SERIES 22)

鳥篭荘の今日も眠たい住人たち 1 (シルフコミックス 9-1)

鳥篭荘の今日も眠たい住人たち 1 (シルフコミックス 9-1)

腐女子っス! 1 (シルフコミックス 7-1)

腐女子っス! 1 (シルフコミックス 7-1)

テレビくんの気持ち (バーズコミックス ルチルコレクション)

テレビくんの気持ち (バーズコミックス ルチルコレクション)


とりあえずこのあたりで。
まだ調べる必要がある項目が多数あります。

*1:当時は「BL」という言葉はなく、「耽美」とか「やおい」とか。

*2:正確には「COMIC JUN」。途中で改名。

*3:アフタヌーン」「モーニング・ツー」「IKKI」「エロティクス・エフ」等。