マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

「地方」からマンガ表現を捉え直す試み:『マンガ百花繚乱』

しばらく前のことですが、ある伝手でこのようなものを入手しました。



『マンガ百花繚乱 −いわての漫画家50の表現−』。
2009年7月18日〜9月6日に掛けて、萬鉄五郎記念美術館石神の丘美術館で開催された企画展の図録です。
岩手県出身のマンガ家、或いは岩手に何らかのかたちで縁のあるマンガ家さんの原画や生原稿を集めて展示していたようです。
僕も岩手県出身なので、非常に興味深く読むことができました。


この図録ではそれら原画類の他、『戦闘美少女の精神分析』で知られる斎藤環さん*1による解説「岩手の風土とマンガ文化」も収録されています。


戦闘美少女の精神分析 (ちくま文庫)

戦闘美少女の精神分析 (ちくま文庫)


また、同人誌即売会「岩漫」*2発起人でマンガ家の小田ひで次さん達による、回顧録(?)的な内容の「草創期の岩漫」も収録。当時の岩手県のマンガやアニメを巡る諸状況や「岩漫」開催に至るまでの紆余曲折、そして草創期に活動した方々の熱気が伝わってくる内容となっており、歴史的・資料的価値も高い証言になっていると思います。


ではどういったマンガ家さんが紹介されているのか。
以下に列挙してみます。代表作・近作とかも可能な限り挙げてみます(全部は無理なのでお一人に付き1作品)。長くなるので以下の箇所は収納。


まずは岩手県出身の方から。


サイレントメビウス完全版 01―Silent Mobius (トクマコミックス)

サイレントメビウス完全版 01―Silent Mobius (トクマコミックス)

  • 飛鳥あると

ゴーガイ! 岩手チャグチャグ新聞社 (KCデラックス BE LOVE)

ゴーガイ! 岩手チャグチャグ新聞社 (KCデラックス BE LOVE)

ポケットモンスター (1) (てんとう虫コミックス)

ポケットモンスター (1) (てんとう虫コミックス)

Bar来夢来人 1 (ヤングジャンプコミックス)

Bar来夢来人 1 (ヤングジャンプコミックス)

  • 池田貢

ときめきトゥナイト (1) (集英社文庫―コミック版)

ときめきトゥナイト (1) (集英社文庫―コミック版)

  • いまぜき伸

イマシン (バンブー・コミックス)

イマシン (バンブー・コミックス)

  • 内村月子(月陽)

フライハイ! 1 (りぼんマスコットコミックス)

フライハイ! 1 (りぼんマスコットコミックス)

  • 奥友志津子

ドリーマー 1 パンサー (ひとみコミックス)

ドリーマー 1 パンサー (ひとみコミックス)

ミヨリの森

ミヨリの森

クシー君の発明

クシー君の発明

  • 神田ジョセフィーヌ

らくらく一流の男

らくらく一流の男

  • 菅野修

筋子

筋子

  • 菊地かまろ

東京ロック少年 (フラワーコミックス)

東京ロック少年 (フラワーコミックス)

童貞白書 (SANWA COMICS No.)

童貞白書 (SANWA COMICS No.)

  • 佐香厚子

グミ・チョコレート・パイン(1) (講談社漫画文庫)

グミ・チョコレート・パイン(1) (講談社漫画文庫)

  • 佐藤智一

東京都新宿区歌舞伎町 プチッコホーム 1 (1)

東京都新宿区歌舞伎町 プチッコホーム 1 (1)

  • 佐藤良治

100兆の男 1 (BUNCH COMICS)

100兆の男 1 (BUNCH COMICS)

  • 瀬川サユリ

橋姫プレイ専科 (シリウスKC)

橋姫プレイ専科 (シリウスKC)

  • そのだつくし

あやしげ通販 (KC KISS)

あやしげ通販 (KC KISS)

  • 高橋広

イレブン (1) (講談社漫画文庫)

イレブン (1) (講談社漫画文庫)

縄文物語―わのきなとあぐね

縄文物語―わのきなとあぐね

  • 田中美菜子

小公女セイラ 1 (タツミコミックス)

小公女セイラ 1 (タツミコミックス)

預言者ピッピ (1)

預言者ピッピ (1)

  • ちばこなみ(粉味)

  • 千葉利助*6

水滸演武 (SPコミックス)

水滸演武 (SPコミックス)

  • つづき春

セーラー服通り (双葉文庫―名作シリーズ)

セーラー服通り (双葉文庫―名作シリーズ)

  • とりのなん子

とりぱん 1 (ワイドKCモーニング)

とりぱん 1 (ワイドKCモーニング)

  • 中嶋まこと*7

薔薇王烈伝Esmeralda戦記 (SCシリーズ)

薔薇王烈伝Esmeralda戦記 (SCシリーズ)

シャボン玉とんだ 1 (YOUコミックス)

シャボン玉とんだ 1 (YOUコミックス)

4ジゲン 1 (花とゆめCOMICS)

4ジゲン 1 (花とゆめCOMICS)

  • 畠山耕太郎

プロスロ 1―パチスロで勝つ為の王道 (バンブー・コミックス)

プロスロ 1―パチスロで勝つ為の王道 (バンブー・コミックス)

  • 藤野耕平

サラブレッドと呼ばないで 1 (ジャンプコミックス)

サラブレッドと呼ばないで 1 (ジャンプコミックス)

  • 未影

イチロー! (1) (まんがタイムKRコミックス)

イチロー! (1) (まんがタイムKRコミックス)

透明アクセル(1) (イブニングKC)

透明アクセル(1) (イブニングKC)

伝染(うつ)るんです。 (1) (小学館文庫)

伝染(うつ)るんです。 (1) (小学館文庫)

こま綴り二重星 (Lost20)

こま綴り二重星 (Lost20)



続けて、何らかのかたちで岩手に縁のある方々。

リトル・フォレスト(1) (ワイドKC アフタヌーン)

リトル・フォレスト(1) (ワイドKC アフタヌーン)

海獣の子供 1 (IKKI COMIX)

海獣の子供 1 (IKKI COMIX)

リーダーズチョイス BEST13 of ゴルゴ13

リーダーズチョイス BEST13 of ゴルゴ13

  • 田辺節雄*11

戦国自衛隊 (セブン文庫 た 1-1)

戦国自衛隊 (セブン文庫 た 1-1)

壬生義士伝 (1) (KADOKAWA CHARGE COMICS 20-1)

壬生義士伝 (1) (KADOKAWA CHARGE COMICS 20-1)

愛と誠(1) (講談社漫画文庫)

愛と誠(1) (講談社漫画文庫)

11ぴきのねこ

11ぴきのねこ

阿弖流為2世―龍の系譜を継ぐ者 (GOTTA COMICS)

阿弖流為2世―龍の系譜を継ぐ者 (GOTTA COMICS)

北斗の拳―完全版 (1) (BIG COMICS SPECIAL)

北斗の拳―完全版 (1) (BIG COMICS SPECIAL)

六三四の剣 (1) (小学館文庫)

六三四の剣 (1) (小学館文庫)

JIN―仁 (第1巻) (ジャンプ・コミックスデラックス)

JIN―仁 (第1巻) (ジャンプ・コミックスデラックス)



以上52名。
こうして見ると、実に様々なジャンルの方がいらっしゃいます。
王道的な少年マンガ・少女マンガから萌え4コマ系、パチスロマンガ・エロマンガに至るまで、まさしく百花繚乱です。恥ずかしながら初めて名前を聞く方も少なからずいましたし、岩手県出身とは知らなかった方も多々いらっしゃいました。
これを機に、もう少し地元のマンガ家さんの作品も読んでみようか、と思う今日この頃です。

*1:斎藤環さんは岩手県出身です。

*2:同人誌即売会としてはコミックマーケットに次ぐ歴史を持つ即売会で、イワエモンこと故・岩田次夫氏の『同人誌バカ一代』でも言及されています。

*3:ニューホライズン中学英語教科書」の表紙イラストの方でもあるとのことです。『タンタンの冒険旅行』にも似たタッチの絵柄で、記憶されている方も多いのではないかと。

*4:デビューは「漫画ブリッコ」のようですね。(´ω`)

*5:『預言者ピッピ』は、新刊を描き下ろしで制作中とのこと。

*6:さいとうプロダクションに在籍しておられるとのこと。

*7:森園みるくさんが代表を務める会社に所属しておられる模様です。

*8:作画担当のかなさんが岩手出身です。

*9:生まれは埼玉県ですが、6年程岩手に住んでおり、その時期の経験が『リトル・フォレスト』の元になっています。

*10:大阪出身だよな?確か『劇画漂流』でも『劇画バカたち!!』でも登場していたよな?日の丸文庫の文句とか言っていたよな?コテコテの関西弁だったよな?とか思っていたら、どうやら岩手に別荘があるようです。

*11:大分県出身。独立国宣言をした東北六県と日本との争いを描いた小説『蒼茫の大地、滅ぶ』マンガ版の作画を担当しています。他にも架空戦記もののコミカライズとかを良く描いているようです。

*12:盛岡藩を脱藩し新選組隊士となった吉村貫一郎の生涯を描いた、浅田次郎の小説『壬生義士伝』マンガ化を担当しています。

*13:青森県出身ですが、旧制中学が岩手県だったようです。

*14:岩手県出身の作家・高橋克彦氏の歴史SF?『阿弖流為II世』をマンガ化しています。阿弖流為については日本史の教科書とかを参照して戴きたいのですが、やや大袈裟な言い方をすればご当地の伝説的英雄といった位置付けでしょうか。映画『ブレイブハート』のルー・ウォレスとか、西部劇におけるワイアット・アープみたいな。・・・余計判りづらいでしょうか?

*15:ご両親のどちらかが確か岩手県出身。『六三四の剣』の舞台が岩手である他、『龍』のヒロイン・田鶴ていも岩手県出身と、何かと縁が深いようです。