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時折マンガの話をします。

うめてんてーのウルトラマン

何でも、昨日から蒼樹うめさんによる『魔法少女まどか☆マギカ』同人誌の通販・委託販売が開始されたようで、かなりの争奪戦になっていた模様です。とらのあなサイトの通販ページとかはアクセス集中が凄かったようで、試しに自分も開いてみたところ大層重くなっていました。


そんな訳で、尻馬に乗るようなかたちで、この作品を紹介してみようかと思います。


ウルトラマン 上 (講談社漫画文庫 う 5-9)

ウルトラマン 上 (講談社漫画文庫 う 5-9)


うめてんてーと言えば当然楳図かずお先生を指します。そのうめてんてーが1966年に「少年マガジン」で連載した『ウルトラマン』です。
長いこと絶版になっていた、いわゆる「奇書」の類ですが、今年がウルトラマンのデビュー45周年ということも影響したのか、今月13日に久方ぶりの復刊と相成りました。


BLACK徒然草管理人のJ君さんがレビューしたこともある作品なので、存在じたいはご存知の方も少なくないかもしれませんね。

そして読んでみると、やはりこれは楳図かずお先生の作品としか言いようがない独特の世界観・恐怖が凝縮されている作品でした。恐怖の対象とか、描かれるモチーフが他作品と少なからず共通していて、創作に対する姿勢が一貫している印象を受けました。



楳図かずおウルトラマン講談社漫画文庫版上巻54ページ。)


これはバルタン星人の回です。TV版に先行するかたちで連載が始まったことも影響しているのでしょう、楳図先生独自の設定が存在します。そのひとつとしてあるのが、バルタン星人は人間に寄生して個体数を増やすというものです。謎の「赤い水」を飲んでしまうと、飲んだ人は次第にバルタン星人へと変化していき、ある時点で脱皮するようにバルタン星人へと完全に変化するのです(その際に寄生先の人間を言わば脱ぎ捨てます)。
上の画像は、ホシノ少年の友人・山田くんが次第にバルタン星人へと変化していく場面。自分の知っている人物が、何か別の存在に変化していく恐怖は、『ママがこわい!』『半魚人』『へび少女』といった名作ホラーでも描かれ、その到達点として『洗礼』を挙げることができるかと思います。



(同書297ページ。)


子供が描いた落書きであったのが、宇宙線の影響で実体化してしまった怪獣・ガヴァドン。妄想が現実化し驚異をもたらす、という内容は、後に描かれるマンガ史上に残る傑作『漂流教室』においても描かれていました。



他にも「少年」の視点の多さとか、『ウルトラマン』でありながら実に楳図先生的な要素が満ち溢れています。何とも不思議な魅力を持つ作品だと思いますので、興味のある方は是非。


と、本日はこのあたりにて。