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末次由紀『ちはやふる』13巻

ちはやふる(13) (BE LOVE KC)

ちはやふる(13) (BE LOVE KC)

2度目の全国大会。
団体戦決勝トーナメントの、1回戦・準決勝が描かれます。


1回戦は試合そのものよりも、裏方の描写が中心。机くんがチームの勝利のために、必死に相手校の情報収集をする姿。そしてその成果が確実に他の選手に伝わっていく様子が丁寧に描かれていて実に良かったです。表立って見えることのない、華やかではないかもしれないが、それでも重要な仕事を丁寧に描く姿勢が素晴らしいですね。


そして準決勝は、昨年のクイーン戦予選西日本代表・逢坂恵夢と千早の対決が中心に描かれます。天然・毒舌(あとメガネ)キャラでありながら本心が(チームメイトにも)掴み切れない恵夢が、千早との対戦を通じて感情が剥き出しになっていく様子が、幾分どす黒い情念みたいなものも出し始めていく姿が、実に良かったです。逢坂恵夢に限ったことではなく、末次由紀さんは、こういった心情が変化していく過程を描くのが非常に巧いですな。


こういう変化が殆ど描かれていないキャラクターが、クイーン・若宮詩暢と名人・周防久志かと思う訳ですが、今後どのように描かれていくのかが愉しみでもあります。