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スタジオジブリ作品を、売上だけで判断してみる

何日か前に、以下のまとめが話題になっていました。


タイトルだけで何やら香ばしい匂いが漂ってくる訳ですが、一読してまぁ予想どおりと言いますか何と言いますか。自分も仕事柄、売上というものが非常に重要というのは理解しているつもりではありますが、発言主氏の考え方は些か受け付け難いものがありますな。(´ω`)


しかし逆に、売上だけで判断した場合どうなるのか?
そんなことをふと思ったので、実際に試してみることにしました。取り上げてみるのは、多くの方が知っているであろうスタジオジブリ作品です。


まずは興行収入から。
Wikipedia で調べてみたところ、次のようになっていました。



Wikipedia の「スタジオジブリ」の項目より引用)


しかしながらこのデータで注意しなければならないのは、配給収入と興行収入の違いですね。日本では1999年までは興行収入から映画館の取り分を差し引いた配給収入が発表されていたのですが、2000年からは興行収入が発表されるようになっています。そのため、1999年以前のジブリ作品は基本的に興行収入が発表されていません。従って、公平を期すためには1999年以前の作品の興行収入を算出する必要があります。


そこで重要な指標となるのが、1997年公開の『もののけ姫』です。上の画像をご覧戴ければ判りますが、この作品だけ配給収入・興行収入共に発表されているのですね。配給収入113億円・興行収入193億円。配給収入は興行収入の58.5%くらいになっています。若干少ない気もしますが、約6割といったところですね。
また、興行収入と観客動員数の比率も指標となります。計算してみたところ、1作(『猫の恩返しギブリーズepisode2』)を除いて1人あたり平均1300円前後で推移していました。子供料金とかレディースデー、前売券等の要因でこれくらいになるものと思われます。


それに基づき、観客動員数×1300で算出したのが以下の推定興行収入です。その数値と配給収入との比率も併記しておきます。


まぁ正直言って殆ど当てにならない数値ではあります。(´ω`;)
紅の豚』は観客動員数では『ぽんぽこ』を下回っているのに配給収入は上回っていたりするのですが、純粋に観客動員数に同じ数を掛けただけなので、推定興行収入は後者が上回ってしまったり。一般料金で観た人が多いか、学生料金が多いか、或いは親子連れで観に来たか、複雑に要因は絡まっている筈です。まぁしかし一般人の自分にこれ以上調べるのは難しいので、便宜的にこの数値を採用させて戴きます。



続いてはDVD・VHS等の売上。
以下のとおりになっているとのことです。



引用ページ:歴代ジブリ作品売り上げ 千と千尋がダントツゆめみがちサロン


そして基本的に、ジブリのDVDは5000円くらいです。
amazon で割引で販売されていたり、VHSの値段は異なっていたり(確かもっと高かった筈)しますので実際にはより複雑な訳ですが、こちらでも便宜的に一律×5000で売上を算出してみます。結果はこちら。


ここで少々問題が。上のデータで収録されていない作品があります。
平成狸合戦ぽんぽこ』『おもひでぽろぽろ』『耳をすませば』『となりの山田くん』ですね(正確には『火垂るの墓』も)。これに関してもデータが見つからなかったので、この4作は参考記録的な扱いとさせて戴きます。



そして両方の金額を足した総売上がこちらです。
あくまで推定金額に基づいたもの、ということはお忘れなきようお願いします。


売上のみから見ると、このようなランキングと相成る訳でありますが、これが優れている順番だという主張があるとすれば、少なくとも自分の価値観とは極度に乖離している考え方ではありますな。『ナウシカ』や『ラピュタ』より『ゲド戦記』が優れている点を、自分は見付けることができません(売上以外では)。


まぁやはり「売上」という要素は、価値判断の基準のあくまで1つとするのがよろしいかと思う次第です。
という訳で、本日はこのあたりにて。