マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

大友克洋作品が、予想以上に手に入れづらい

何日か前に、マンガ家・アニメ監督の大友克洋さんが紫綬褒章を受章したとのニュースがありました。


マンガ表現において「大友以前・以後」と言われるくらいの変化をもたらした方でありますから、受章は必然と言えるのかな、という感はあります。
童夢』や『AKIRA』を初めて読んだとき、その圧倒的な画力・表現力に圧倒された記憶は今も記憶に新しい。
しかしながら、ここ最近書店めぐりをしていて、ふと思ったことがあります。
大友克洋作品、最近あまり売っていないのではないか?


自分の観測範囲が狭いのかもしれないとは考えつつも、ふと気になったので、amazon での在庫状況をちょっと調べてみました。


現時点(2013年11月)で、大友克洋さんのマンガ単行本は12冊あります。『ショート・ピース』の復刊も含めての数なので、実際には11作品ですか。これらの出版状況がどのような感じかと言いますと...


GOOD WEATHER

GOOD WEATHER

絶版。amazon のユーズドでも、高値になっています。
因みにこの作品を出版した綺譚社は、マンガ家の高野文子さんの旦那さんが発行人を務めていた出版社です。


さよならにっぽん (アクション・コミックス―大友克洋傑作集)

さよならにっぽん (アクション・コミックス―大友克洋傑作集)

amazonの在庫はユーズドのみ。書店では最近殆ど見掛けない印象。


ハイウェイスター (アクション・コミックス―大友克洋傑作集)

ハイウェイスター (アクション・コミックス―大友克洋傑作集)

『さよならにっぽん』とほぼ同じ状況。


ヘンゼルとグレーテル (ART BACK)

ヘンゼルとグレーテル (ART BACK)

絶版。ソニー出版は後にソニー・マガジンズに改名して、コミックスの事業は幻冬舍に引き継がれたり、書籍部門が売却されたりその他諸々の動きがあり、権利がどうなっているのか良く判らないです。
現在は入手困難。現物を見たこともないですね。(ノД`)


気分はもう戦争 (アクション・コミックス)

気分はもう戦争 (アクション・コミックス)

これは amazon の在庫あり。書店でも良く見掛けますね。
初版発行から既に30年以上が経過している大ロングセラーです。


BOOGIE WOOGIE WALTZ

BOOGIE WOOGIE WALTZ

絶版。『GOOD WEATHER』と同じく、綺譚社発行の作品です。
やはりユーズドでは高値に。


童夢 (アクションコミックス)

童夢 (アクションコミックス)

大友克洋さんの代表作のひとつでありながら、amazon まさかのユーズドのみ。ちょっと目を疑いました。
大きい書店ではまだ売っているところもあるように感じますが...。
因みに『童夢』には大型の限定版もあるのですが、こちらは当然のように絶版、プレミアが付いています。限定版の復刻しないかなぁ、とか漠然と思っていたのですが、それ以前の問題だった模様。


今年7月に映画『SHORT PEACE』が封切られたこともあってか、amazon の在庫もあり、且つ書店でも数冊は置いていることが多いですね。まぁ実は、『ショート・ピース』に収録されている作品で、映画の原作になっている作品は無かったりするのですが。(´ω`)



AKIRA 全6巻完結セット(KCデラックス)

AKIRA 全6巻完結セット(KCデラックス)

これはさすがに売っています。


彼女の想いで…大友克洋短編集(1) (KCデラックス ヤングマガジン)

彼女の想いで…大友克洋短編集(1) (KCデラックス ヤングマガジン)

絶版。表題作は映画『MEMORIES』の一篇としてアニメになっているのですが...。(ノД`)
因みにこの短編集に収録されていた『武器よさらば』が映画の『SHORT PEACE』の一篇としてアニメ化されていて、今年の年末に設定資料も含めて復刊する模様。


SOS大東京探検隊 (KCデラックス ヤングマガジン)

SOS大東京探検隊 (KCデラックス ヤングマガジン)

amazon の在庫あり。しかし書店ではあまり見掛けない印象も。



以上11作品の現況です。
一般書店等で比較的容易に手に入るのは、『気分はもう戦争』『ショート・ピース』『AKIRA』『SOS大東京探検隊』の4作品。*1
童夢』の入手が難しくなってきている(と思われる)のは残念極まりない。それ以外の状況も、決して芳しいとは言えない状況ではないか。
紫綬褒章受章を機に、復刊とか重版とかしてくれないかなと考える次第です。


可能であれば、実は多数ある未収録短編も収録した全集を、精緻な筆蹟を存分に堪能できる大判サイズで刊行して欲しいところではありますね。


といったところで、本日はこのあたりにて。

*1:皮膚感覚としては、『SOS大東京探検隊』を除いた3作品。