マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

遂に刊行開始。資料的価値も計り知れない決定版、『水木しげる漫画大全集』

6月3日から、遂に待望の『水木しげる漫画大全集』の刊行が開始されました。



50年を越える画業の集大成とも言えるこの全集、まさしく偉業と呼ぶべきでありましょう。当然の如く第1期の全巻予約はしていますので、さっそく購入してきました。
そして一読して、これは見事な仕事であることを改めて確認した次第です。



こちらは背表紙の下半分の写真です。
全集全体でのナンバリング(年代順)が刻まれています。『「忍法秘話」掲載作品(全)』が021、『ゲゲゲの鬼太郎 1』が029、『不思議シリーズ(全)』が081。それと共に、本の帯には発表年代も併せて掲載。この年代は帯にのみ記載されています。心憎いデザインですね。
そして第1期は33冊刊行されるのですが、既に「081」が刊行されているのもポイントです。既に第2期以降を視野に入れている、水木センセイならびにプロダクション、そして講談社の気概みたいなものを感じますね。



こちらは各巻に付録として付いてくる小冊子「茂鐵新報」。
収録作品の詳細な解題やインタビュー、各巻巻末の解説者の紹介文等を掲載。因みに『忍法秘話』解説が白土三平さん、『ゲゲゲの鬼太郎』が高橋留美子さん、『不思議シリーズ』が荒俣宏さんです。
そして上の写真のいちばん左の「茂鐵新報」には、

水木しげる
漫画大全集
六月刊行
百八冊
講談社


と書かれた紙を持つ水木センセイの姿が。
その写真の下に書かれた解説では「全体の巻数は今のところ未定。」と書かれてはいるものの、荒俣宏さんも解説で「すべてが刊行されれば百巻を軽く凌駕する」*1と書いているので、恐らく108冊に近い数字になるのであろうと思われます。


そして資料的な面から見ても、圧巻の一言。
全収録作品はもちろんのこと、収録されたカラーイラスト、単行本収録の際にカラーを施した箇所に至るまで、詳細に初出が記されています。
更には、この全集は「初出時の状態での収録」を基本にしています。つまり「雑誌に掲載されたバージョン」を収録している訳ですね。
そして、単行本にする際に加えられた修正(改稿・コマの組み替え・追加等)については、資料というかたちで別個に収録しています。未使用原稿もそこに含まれる。


これは、ほんとうに素晴らしい仕事です。
ようやく、水木しげるセンセイの膨大な仕事の、全貌を窺うことができる。
娯楽性の高さについては論を俟たない。


少々値は張りますが、充分過ぎるほどにその価値はあると思います。
ファン必携、そうでない方(など存在しないと信じたいところですが)にも是非一度は読んで戴きたい全集ですね。


といったところで、本日はこのあたりにて。

*1:水木しげる水木しげる漫画大全集081 不思議シリーズ(全)』436ページ。