「絵の上手い漫画家ランキング」を検証、するつもりが・・・。
何日か前に、はてなブックマーク等で話題になった記事があります。
読んだ方も少なくないのではないかと思います。
非常に興味深い内容でした。
記事を書いた SUKEBENINGEN さんは美大出身ということでいいのかな?で、「美術を専攻した」という視点*1から絵の巧さのランキングを付けておられます。そしてその結果を引用すると、
専門出身で(予備校絵的な価値基準で)一番絵が上手いのが寺田克也。
美大出身で(予備校絵的な価値基準で)一番絵が上手いのが鳴子ハナハル。
美大出身で一番絵が上手いのが五十嵐大介。
そして総合で一番絵が上手いのが高野文子。
高野文子>五十嵐大介>鳴子ハナハル>寺田克也という順番になる。
とのことです。
惜しむらくは、この記事を読んだだけでは「どのようなところが巧いのか」が少々判り辛い。
どこかのコマを抜き出して「この描写が・・・」みたいな説明をして戴けたならばより納得できる内容になったのでは、という気もします。
もっともこれは、実際に美術を専攻し、実際に描く修練を重ねて技巧を実感として掴んで、初めて理解できるものかもしれませんが。そういえば五十嵐大介さんの『魔女』に、こんな台詞がありました。
どうして本を読んではいけないの?
あんたには経験が足りないからよ。
"体験" と "言葉" は同じ量ずつないと、心のバランスが取れないのよ。
(五十嵐大介『魔女』2巻20〜21ページ)
とは言えやはり気になるので、
言及されていたマンガ家さんの作品で、持っているものを本棚から引っ張り出してきました。
実際に見比べてみよう、と思い立った訳ですが・・・。
結論を言えばその目論見は大失敗でした。
ずっと読みふけってしまった訳でして。(´ω`)
最初はキャラクターの動きとか構図とか注目しようとしたのですが、気が付けば「小説の登場人物に感情移入して、遂には作中のキャラクターになりきってしまうのに、そこで小説とは程遠い現実に引き戻されてしまうところ、いいよなぁ」とか「第3抄は名台詞の宝庫だよな」とか「こんな生活してみたいな」とか、絵の巧さとはあまり関係ないところについつい目がいってしまった次第です。*2
やっぱり僕には、そういう「眼」は欠けているようです。
まぁマンガの面白さは必ずしも絵の巧さに比例する訳ではないし、『サルまん』でも「マンガとデッサン」をパロディ的に扱っていましたし。
理屈抜きでも、やっぱりマンガは面白いですよ。
因みに『黄色い本』に収録されている『CLOUDY WEDNESDAY』という短編の最後2ページとかの構図とかは巧いよなぁ、と思ったりはしました。
- 作者: 高野文子
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- 発売日: 2002/02/20
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