マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

2009年のマンガを振り返る一人座談会(後編)

引き続き、今年のマンガを振り返ってみます。
人物割り振りも前回・前々回と同じ、


Aid:m-kikuchi
B:ツッコミ役
C:司会進行役


です。


少年マンガ


C:そろそろ現在連載している、或いは今年完結した作品とかについても触れて戴ければと。まずは少年誌の作品はどうでしたか?
A:何だかんだ言って、やはりジャンプ作品は粒ぞろいだと思います。とりわけ『ONE PIECE』は凄いですね。オーズのときには少々中だるみの時期かと思いましたが、それ以降の展開の熱さが圧倒的です。この作品、一度惰性になったかと思っても必ず盛り返すのが驚異的です。


ONE PIECE 56 (ジャンプコミックス)

ONE PIECE 56 (ジャンプコミックス)


C:最新刊は初版285万部でしたか?コミックビーム何年分になりますかね?
A:まぁそれについてはあまり触れずに、読もう!コミックビーム!ということで。あと、最近若干方向性が変わってきたかもという気はしますが、相変わらず『バクマン。』も高いレベルを維持しているかと思います。


バクマン。 5 (ジャンプコミックス)

バクマン。 5 (ジャンプコミックス)


CジャンプSQの作品はどうですか?
A:そうですね、恥ずかしながらあまり読まなくなってきて・・・『紅 kure-nai』くらいかな。


紅kureーnai 4 (ジャンプコミックス)

紅kureーnai 4 (ジャンプコミックス)


A:頬を染めて真九郎に語りかける紫の可愛らしさと言ったらそれはそれは素晴らしいものでして。あと4巻から登場の切彦もいいですね。あ、いちおう言っておきますと僕はロリコンではありませんよ。あとは・・・『放課後ウインド・オーケストラ』の打ち切り?が残念でなりません。


放課後ウインド・オーケストラ 4 (ジャンプコミックス)

放課後ウインド・オーケストラ 4 (ジャンプコミックス)


B:部員の成長とか丁寧に描いていて、いい作品だったけどな。雑誌の色と合っていなかったっていうことか?
A:そのあたりは何とも。ただ、去年推していた『TISTA』、そして『放課後ウインド・オーケストラ』と、どちらもあっさり終わってしまうと、自分の目は何か歪んでいるのか、それとも衰えているのかと疑ってしまいますね。('A`)


C:ジャンプ以外だとどうですか?
A:うぅむ、やはり『弱虫ペダル』かな。総北のメンバーは皆熱いですね。その熱気にあてられて、目頭が熱くなること数知れずです。


弱虫ペダル 9 (少年チャンピオン・コミックス)

弱虫ペダル 9 (少年チャンピオン・コミックス)


B:あと、御堂筋のキモさ、悪役っぷりが素晴らしいな。最近のマンガで、あそこまで徹底したヒールは珍しい気がする。最近は悪役にも何らかの複雑なドラマを持ち込んだりすることがあったりするけど、下手に小細工せずに純粋に歪みきった姿でいて欲しいな。
A:で、そういう奴を完膚なきに打ち負かすところを、悪役が転落していく姿を見たいんです。


【少女マンガ】


C:では少女マンガはどうでしたか?
A:少女マンガも、今年は新規開拓をあまりしないでしまっています。以前から集めているものを続けて読んでいる場合が多かったです。そんな中でも頭一つ抜きん出ているのは『ちはやふる』ですね。あと、『ちはやふる』最新刊と同時に出た末次由紀さんの新作『クーベルチュール』も面白かったです。
B:森田屋のおばちゃんがいい味を出しているよな。


ちはやふる (7) (BE LOVE KC)

ちはやふる (7) (BE LOVE KC)

クーベルチュール 1 (Be・Loveコミックス) (BE LOVE KC)

クーベルチュール 1 (Be・Loveコミックス) (BE LOVE KC)


A:あと、『7SEEDS』が描き出す圧倒的な物語の力にはただ平伏すばかりです。あとは『黒薔薇アリス』『スキップ・ビート!』が良かったですね。それとちょっと期待しているのが『僕らはいつも』。少女マンガについてはとりあえずこのくらいにしておきます。


黒薔薇アリス 3 (プリンセスコミックス)

黒薔薇アリス 3 (プリンセスコミックス)

スキップ・ビート! 第23巻 (花とゆめCOMICS)

スキップ・ビート! 第23巻 (花とゆめCOMICS)

僕らはいつも 4 (マーガレットコミックス)

僕らはいつも 4 (マーガレットコミックス)


【青年向】


C:それ以外では。
A:そうですね、自分の中で最近歴史ものが盛り上がっていまして。それもあって、『ナポレオン 〜獅子の時代〜』『チェーザレ』『へうげもの』『ヒストリエ』『ヴィンランド・サガ』あたりが熱かったです。


ナポレオン 12―獅子の時代 (ヤングキングコミックス)

ナポレオン 12―獅子の時代 (ヤングキングコミックス)

チェーザレ 破壊の創造者(7) (KCデラックス モーニング)

チェーザレ 破壊の創造者(7) (KCデラックス モーニング)

へうげもの(9) (モーニング KC)

へうげもの(9) (モーニング KC)

ヒストリエ(5) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(5) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(8) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(8) (アフタヌーンKC)


B:徹底した歴史考証・研究に基きつつルネサンス期の空気を描き込んでいく『チェーザレ』、考証はしっかりしつつも個性の強過ぎるキャラクターが溢れかえる『ナポレオン』、史料が少ない故に独自の解釈・世界観を押し出せる『へうげもの』『ヒストリエ』『ヴィンランド・サガ』と、何れ劣らぬ名作揃いだな。
A:『放課後のカリスマ』も気になる作品ですね。


放課後のカリスマ 3 (IKKI COMIX)

放課後のカリスマ 3 (IKKI COMIX)


B:まぁあの作品、歴史上の偉人のクローンを作って云々という話だけど、DNAが残っているのか些か疑問なクローンが存在しているのは気になるところだな。DNAの発見が確か1955年頃だったか?まぁ王様とか20世紀以降の人物とか、遺体が残っているかもしれない人たちなら有り得なくもないが、それでもラスプーチンのDNAとか残っているものか疑問だし、ジャンヌ・ダルクは焚刑に処された筈だろう?一休宗純楊貴妃もどうかと思うし、卑弥呼に至っては遺体が存在するのかどうか・・・。
A:確かに疑問は多数ありますが、それらも納得させるような展開があれば、スエカネクミコさんの代表作たり得るのではと思います。


Aあとはそうですね、『それでも町は廻っている』『以下略』は大いに笑わせて戴きましたし、『惑星のさみだれ』や『Landreaall』も続きが気になって仕方がない作品です。


それでも町は廻っている 6 (ヤングキングコミックス)

それでも町は廻っている 6 (ヤングキングコミックス)

以下略

以下略

惑星のさみだれ 8 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ 8 (ヤングキングコミックス)

Landreaall 15 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

Landreaall 15 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)


A:あと忘れていけないのは『この世界の片隅に』と『ミスミソウ』。どちらも作者さんが持てる力を全て絞りきって、描ききったという印象を受けました。
B:ちょっと気恥ずかしいが、「魂を削って」という表現が相応しい作品だったな。


この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

ミスミソウ 【三角草】 (3) (ぶんか社コミックス)

ミスミソウ 【三角草】 (3) (ぶんか社コミックス)


C:さてある程度数も出てきたので、リストを作ってみますか。前回〜今回にかけて挙がった作品を並べてみると・・・。


C:幾つか削ってますが、32作品ほどになりますね。この中から更に10作くらいに絞るとするとどうなります?
A:う〜ん、正直言って10作に絞るのはそこまで意味はないのではないかな、と。面白いマンガは(少なくとも自分が面白いと思ったマンガは)こんなにありますよ、まだ足りないくらいですよ、と、それで充分ではないかなという気もします。あとマンガというのは複数年にわたって連載が続くことが多い訳ですから、1年ごとに区切るのは評価にズレと言いますか、妙な歪みが出てしまうこともあり得る訳でして。ほんらいなら数年にわたって各種ランキングのデータを集めて、複数年ランキングに入り続けているような作品を名作と呼ぶのかな、とも思います。
B:まぁ確かに、ある年いきなり1位になった作品が、次の年で急激に順位を落とすというような話もよくあるしな。
A:それに自分が読めていない作品・ジャンルは山ほどあります。スクエニ作品とか4コマ方面とか。自分の嗜好の問題というのもありますが、まだ読んでいない作品で面白い作品だって星の数ほどある筈です。それを差し置いてランキングを付けるのは少々躊躇いがあります。・・・まぁ、自分は去年の記事でランキングを付けていますけどね。そんな次第で、今年は作品を挙げるだけに留めておこうかな、と。
C:判りました。それでは長くなってきましたし、このあたりで締めと致しましょう。



といったところで終了です。
長文お付き合い戴きありがとうございます。