漫画表紙コレクションから透けて見える「大人の事情」
何日か前に、『「週刊少年マガジン」五〇年 漫画表紙コレクション』を購入しました。
- 作者: 週刊少年マガジン編集部
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/09/19
- メディア: 新書
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「週刊少年マガジン」創刊50周年特別企画として出版されているシリーズのひとつです。まずは冒頭に収録された解説から2つばかり引用してみます。
本書には、『週刊少年マガジン』創刊号から五十周年記念号までの表紙の中から、漫画をメインビジュアルにした千二百八十九枚を収録しました。*1
本書に収めた漫画表紙千二百八十九枚は、創刊から一九九〇年代までのほぼすべてと二〇〇〇年代の大部分を網羅しており、半世紀にわたる人気漫画の主人公たちが歴史を超えて大集合する一大絵巻となりました。*2
それらの言葉にはほぼ偽りなく、まさしく圧巻の内容となっています。
全ての表紙がフルカラーで掲載されていて、眺めているだけで飽きません。次から次へと知らないマンガや未読作品が出てきて、創刊50年という歴史の厚さを否応なく感じさせてくれます。
「1970〜72年頃までのデザインセンスは尋常じゃないな」とか*3、
「『SとM』でスパークしている村生ミオ先生も、80年代はマガジンでラブコメ描いていたんだよなぁ」とか、
「マガジンのロゴが変わったのは1984年か。『なんと孫六』の単行本が昔ながらのロゴで出版され続けているのはそれより前から連載されているということだね」*4とか、いろいろと発見がありますよ。
さてそんなふうに読み進めていた訳ですが、ひととおり眺めて
!?
となったことがあるのです。
実際に読んだ方なら気付いておられるかもしれませんが、本来収録されてしかるべき作品で、(少なくとも僕が気付いた限りでは)まったく掲載されていない作品があるのです。その作品とは、
- 作者: 佐木飛朗斗,所十三
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/05
- メディア: コミック
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現物にあたって確認した訳ではないので、実際に一度も表紙を飾らなかった可能性も考慮しましたが、1991〜97年まで連載して表紙を飾らない可能性は限りなくゼロに近いと思います。
(追記:soorce さんからのブクマコメントにて、『特攻の拓』が表紙の号は実在するとの指摘がありました。)
で、次に考えたのは、「『特攻の拓』の作者・所十三さんと編集部の間で何かあったのだろうか」という仮説。現在所十三さんは「チャンピオン」で『白亜紀恐竜奇譚 竜の国のユタ』の続編『D-ZOIC』を連載しています。別出版社(秋田書店)に移ったのにも何らかの・・・という邪推です。
しかしこれも違う可能性が高い。所十三さんの他の作品、『仰げば尊し!』『SHOGUN』『G-HARD(ジハード)』*6『突撃め!!第二少年工科学校』*7の表紙は収録されているのです。
つまり『特攻の拓』じたいに何か原因が求められる、ということになります。
そう考えると、やはり原作者の佐木飛朗斗氏に目を向けざるを得ない。・・・そういえば『特攻の拓』と共通する世界観を持つ『外天の夏』は「ヤングジャンプ」で連載をしていますね。(´ω`)
- 作者: 佐木飛朗斗,東直輝
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/09/19
- メディア: コミック
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・・・と、あれこれ邪推してみても、結局のところ部外者なので真相は判りませんがね。案外、
ハードラックとダンスっちまった、ということなのかもしれませんし。*8
何ともゴシップ的な記事になりましたが、『漫画表紙コレクション』は実にいい本です。1400円と少々高めですが絶対に買いですよ。
という訳でこのあたりにて。
*1:『「週刊少年マガジン」五〇年 漫画表紙コレクション』4ページ。因みに「全発行号数二千四百三十六号」とのこと(同書8ページ)。
*2:前掲書8ページ。
*3:とりわけ同書38〜43ページあたりに収録された表紙は神懸かっています。
*4:『なんと孫六』は「月刊少年マガジン」連載ですけどね。因みに1981年に始まっています。『コータローまかりとおる!』も旧ロゴでしたね。「マガジンSPECIAL」掲載の『L』のほうは新ロゴだった筈。『柔道編』はどうだったかな?
*5:念のために書きますが、読み方は「かぜでんせつ ぶっこみのたく」です。
*6:『SHOGUN』『G-HARD(ジハード)』は原作:史村翔。
*7:「突撃め」は「すすめ」と読むのですが、個人的にはそのまま「とつげきめ」と読みたいところです。
*8:半ば勢いで書きましたが、反省はしていません。