マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

純白を身に纏う女性を讃えよ

昨日、「コンプティーク」2010年7月号を購入した。
主に単行本でマンガを読む自分が、雑誌を買うことは極めて稀である。加えて当該雑誌は自らの観測範囲からは少なからずかけ離れたものと言える。にも関わらず、この号は購入している。その行為に至らしめたものは何か。


それが今号の付録である、姉ケ崎寧々嬢の特大ポスターであることは言を俟たない。



これがその実物である。隣に比較対象として『坂道のアポロン』6巻を置いてある。
その大きさを実感すると共に、しばしの間姉ケ崎嬢の美麗さに酔いしれるのも一興であろう。
だがここで表明をしておくと、自分は『ラブプラス』ユーザーではない。そして、姉ケ崎嬢の美麗さについては疑問の余地なしと言えども、それだけであったならば購入に至らなかった可能性も否めない。


しかし我が家には間違いなく姉ケ崎寧々ポスターが存在している。
購入へと向かわせた大きな要因が存在する。それは彼女の服装に他ならない。


純白のワンピースである。
純白という点が重要なのだ。
純白の衣装は女性の美しさを最も引き出すものである、という自らの持論をここで明言する。以下では白を身に纏いし女性の、時に清らかに澄み切った、時に妖艶な姿を見せる女性たちの姿を追うことで、持論を補強することにする。



“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)


まずは「”文学少女”シリーズ」の6冊目、『"文学少女"と月花を孕く水妖』である。
本編全8巻には、何れもヒロインの天野遠子先輩の姿が、竹岡美穂さんの美麗な筆致で描かれている。その中でもこの6冊目は一際強い印象を讃えるものである。それは他の巻が全てセーラー服姿であるのに対し、この巻のみが私服姿という点を理由として挙げることができよう。休日でもセーラー服を着用しているような性格とされているだけに尚更と言えよう。
そしてこの純白のワンピース姿が、遠子先輩の作中で描かれる淑やかさ・可憐さを一層際立たせていることは殆ど疑いようもない。




続けては、『アガルタ』6巻である。
この作品は「ウルトラジャンプ」で連載がされているが、内容的には些か残念な面があることは否めない。物語の序盤で大量の伏線を鏤め過ぎた為か、その回収に七転八倒している印象がある。一時期(記憶が確かならば2年近くの)休載が続いたのもそのあたりに原因があるかもしれない。また、高い画力を持っている点については異論はないと思われるが、背景の書き込みが多過ぎて何が起こっているのか判らなくなるケースも見受けられるように感じる。そのため、新刊が出る度に読み返す必要が出てくる作品と言える。
だがしかし、この6巻の表紙を見て欲しい。ヒロインのREAL(読み方は「レエル」)であるが、この表紙を眺めているうちに、上に挙げたような問題点は自然と霧散してはいないだろうか?
少なくとも管理人は、この6巻を買った際に数分にわたり表紙を眺め続けていた経験がある(実話)。



妖精国(アルフヘイム)の騎士 (1) (秋田文庫)

妖精国(アルフヘイム)の騎士 (1) (秋田文庫)


少女マンガからも取り上げてみよう。
中山星香さんによる、少女マンガ史上屈指のスケールで描かれる壮大な歴史ファンタジー、『妖精国の騎士』である。新書版全54巻(文庫版全27巻)という超大作である。少女マンガでこの巻数を越えるのは、『王家の紋章』『パタリロ!』『あさりちゃん』の3作のみの筈だ。
そして文庫版5巻の扉ページに描かれているのがこれになる。



中山星香『妖精国の騎士』文庫版5巻1ページ。)


ヒロイン・オーレリィローゼリィ(17日0時修正。何故間違ったのか自分でもよく判らずこっ恥ずかしいです。)が巨大な花瓶(?)にもたれかかっている姿である。
服装はさながら古代ギリシアを連想させる意匠である。その清澄さは、あたかも完成された芸術を思わせる。その閉じた瞳の奥には何が視えているのか、何を思っているのか、たとえ詮無きことだとしても想像せずにはいられない。




次に挙げるのは『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』2巻である。
約2年に及ぶ休載の後、連載再開と共にアニメ化も発表され、喝采を上げた者も少なからずいたであろうと推測される。ある日突如ゾンビが大量に発生した世界で、少年たちが生き残りを賭けて闘うサバイバル・ホラーである。
そしてこの作品のヒロインが、2巻の表紙を飾っている剣の達人・毒島冴子先輩である。
些か情緒不安定な主人公の幼馴染み・宮本麗をヒロインとする向きがあるかも判らないが、断じて否と唱えたい。繰り返し書かねばなるまい。毒島冴子先輩こそがヒロインである、と。


次に挙げるのは、ゾンビが徘徊する街に取り残された少女を救うために街に出た主人公を、仲間たちが軍用ジープで援護に来た場面である。



佐藤ショウジ『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』2巻150ページ。)


この毒島先輩の姿を前に、我々はただ平伏し、頭を垂れるのみである。
紐パン着用ではあるものの、実質裸エプロンという装いである。
そしてエプロンは純白・フリル付。心の中でスタンディングオベーションを送らざるを得ない。流れるような黒髪ロング*1と鮮やかな対照を為している。白と黒が織り成す芸術と呼ぶことに、異論を持つ者は皆無であると信ずる。


余談ながら、「実質」ではない裸エプロンの毒島先輩も存在する。



これは「ドラゴンエイジ」2008年8月号の付録として付いてきたポスターである。
冒頭の姉ケ崎嬢のポスターと同様に『坂道のアポロン』を比較対象として置いてあるが、更に巨大なものであることは一目瞭然であろう。
言うまでもなくこの号も、ポスターを目的として購入したものである。
純白を身に纏う場合、時には全裸よりも濃密なエロスが喚起され得るのだ、ということを毒島先輩は立証していると考える。


白が全裸よりも濃密なエロスを起こし得る、という点について、服装とは若干異なるものの、最後に1つだけ付け加えておくべきであろう。
取り上げるのは、4月に完結巻が出た『To LOVEる』である。



To LOVEる -とらぶる- (18) (ジャンプコミックス)

To LOVEる -とらぶる- (18) (ジャンプコミックス)


18巻において、ヒロイン(の1人)である宇宙人・ララが造ったコスチュームロボット・ペケの中に主人公の結城リトが入り込んでしまうエピソードがある。従ってリトはララの服としてララに密着するかたちとなり、興奮のあまり熱暴走を始め、近くにいる女の子の服装を無差別に変化させ始めるのである。そして注意しにきた古手川唯の服装も変化させてしまうのだが、それがこれである。



矢吹健太朗To LOVEる』18巻21ページ。)


生クリームか何かである。
この姿は断じて全裸ではない。見せてはいけない箇所は何一つ見せてはいない。
それでいながらこのエロスは、全裸のそれを越えていると確信する。


そしてこれは相当に主観に基づいたものではあるが、このクリームはチョコレートクリームやバタークリームであってはならない。あくまでも生クリームでなければならないのである。隠れる度合いが異なるのだ。純白の生クリームであるからこそ、見えるか見えないかのギリギリのせめぎ合いが展開するのである。



さて長くなったが、管理人の主張せんとすることはある程度理解して戴けたものと信ずる。
最後にもう一度だけ書いて本稿の締めとする。
純白の装いこそが、女性の美しさを最も効果的に引き出すものである。

*1:カラーでは髪の色は紫だが、モノクロ原稿ではベタを用いているので黒髪と認定する。