マンガLOG収蔵庫

時折マンガの話をします。

これはゆかいじゃのう:『ゆかいなまおうとゆうしゃ 入門編』

C78で購入した同人誌を紹介していきます。
まずはこちらから。



『ゆかいなまおうとゆうしゃ』(サークル:ギャラリークラフト


今年の春頃にずいぶん話題になったWeb小説『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」』(まおゆう)を、ギャラリークラフト管理人のくらふとさんが杉浦茂風にマンガ化した作品です。原作全13スレッドのうち、1スレッド半くらいが収録されています。


『ゆかいなまおうとゆうしゃ』じたいもWeb上に発表されていますので、仮に買えなかった方も読むことができますよ。


まがりなりにも、「まおゆう」と杉浦茂さんの作品の感想を両方とも書いたことがある身としては、この同人誌を買わない訳にはいきますまい。


そして読んでみますと、これがまた絶妙な化学反応を起こしています。
原作は13スレ、文字数80万以上という長大なものなのですが、さすがに詳細にそれをマンガにすることは難しいのでかなりの部分をザックリとカットしている訳です。にも関わらずだいたいあってます。その一因として挙げられるのが杉浦茂さん的な作風でありましょう。


細部を豪快なまでに飛ばして展開していく構成は、実に杉浦茂さんの作風に近いのです。そして独特の絵柄と描線で描かれる奇妙な世界は、何とも表現しづらい不思議な魅力があります(例えば、冬寂王の頭は烏帽子なのか髪なのかよく判らないのですが妙に印象に残ります)。


作中に随所に見受けられる杉浦茂さん的な「遊び」(食べ物関係の落書き?とか)、またそこに巧く紛れ込ませているくらふとさん自身の「遊び」(まおうの落款とか開門都市の図の横に書いてある「のワの」とか)もまた味わいがありますね。


奇妙な魅力を携えつつ、現在も連載は進行中です。
完全版の刊行に期待を寄せています。