『新堂エルの文化人類学』のおまけマンガで、表現規制についての言及があった
先日、新堂エルさんの新刊『新堂エルの文化人類学』が発売されました。
文化人類学を専門とする天才少年にして大学教授の斎総一郎と、彼の教え子であるヒロイン・宮下さん、同じく教え子のさくらの3人が、国内外各地の奇祭・奇習のフィールドワークに趣き、そこで主に宮下さんがそれに巻き込まれ・・・という流れで進行していく成年向(18禁)マンガです。
奇祭・奇習に加え、伝奇的要素もふんだんに盛り込まれた、そしてそれに基づく実にアブノーマルな行為と、その行為に耽溺していく様子が非常に濃密に描かれている作品です。
ヘドバンしながらエロ漫画!のへどばんさんがレビューを書いていますので、そちらも併せて。
と言うか、これ以上のものは到底書ける気がしないので、自分は別方向で書かせて戴こうかと。
最近のマンガの傾向として、カバーを外すとおまけマンガが掲載されていることがけっこうあるのですが、『新堂エルの文化人類学』もこの例に漏れず、おまけが掲載されています。
こんな感じですね。
作中キャラクターが雑談をしている体裁なのですが、その雑談内容が、昨今の表現規制事情を反映したものとなっています。描く側からの意見として貴重かもしれないな、と感じましたので、ある程度引用させて戴こうかと思います。
さて今回の単行本収録で
気になった点といえば?
なんだろう?
普通の性交シーンの少なさ?
うん...まぁ
...それもあるけど...
あれよ...局部修正
あぁ〜今回ちょっと
消しが大きくなってるネ
これ、実際に読んで戴くと判るのですが、*1かなり消しが大きいです。
男性器・女性器共に、殆どの箇所で複数の白線による修正が為されています。多いときには5本くらいの白線により修正が加えられていて、局部がストライプ状になっている箇所まで見受けられます。かなりチン奇・チン妙な印象を受けますね。
それもいろいろ理由が
あるんだけど...
とにかくエロマンガは
法に引っかかりやすいのよねぇ
引っかかりやすい
と言うより...
編集規制 すい?*2
それ以上は
いけない!
これについては、コアマガジン社の一連の動きが想起されますね。
今年の4月に家宅捜索が入り、更には7月にわいせつ文書頒布の疑いで編集部長と他2名逮捕、という事件がありました。このあたりかその少し前あたりから、局部の修正についてはかなり厳しくなった感があります。
ワイセツ物の法規制は
どの国でもあるんだけどね
何がワイセツなのかが
国によって...というより
人によって違うからね...
同じ国の同じ裁判所でも
判決にバラつきが出るよ
そんな主観的な決め方で
いいのか...
まぁ...主観的だからこそ
時代によって変わる事も
あるんだよね...局部の
消しに関してはその内
変わるかもしれないわよ
この意見は、一歩引いた視点と言いますか、かなり冷静に状況を見据えているように感じます(これも自分の主観に過ぎないかもしれませんが)。これはもしかすると、わいせつ表現に関してはかなり紆余曲折を経てきた、アメリカという国に国籍を持つ新堂エルさんならではなのかもしれませんね。
そのアメリカで例を挙げるとすれば、やはりヘイズ・コードでしょうか。1934〜1968年まで施行された映画の検閲制度なのですが、州によってある作品をわいせつと受け取られたり、しかし同じ作品を教会が無修正でOKと判断したりという事例があったようです。
日本だと、『チャタレー夫人の恋人』の翻訳とかが「時代によって変わる」例ですか。確か90年代まで、重要な箇所はほとんど伏字だったんですよね。
- 作者: D.H.ロレンス,David Herbert Richards Lawrence,伊藤整,伊藤礼
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1996/11/22
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 26回
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と、あまりまとまっていないですが、とりあえず本日はこのあたりにて。
ご興味のある方は是非ご一読を。
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