篠房六郎先生が濃過ぎる、という話
1つ前の購入日記にも書きましたが、『百舌谷さん逆上する』の新刊を買いました。
相変わらず面白過ぎです。百舌谷さんのツンデレ具合、樺島の弄られっぷり、機関銃の如く繰り出される台詞回しの妙。そしてそれらに大いに笑わされつつも、この作品の核である「ツンデレ病」という設定が百舌谷さんに大きな、重い影を落としているのも見逃せない。それは読者にもある問い掛けを発しているように思えます。ツンデレ病である自分の存在じたいを忌み嫌う百舌谷さんの、そのツンデレ描写を喜ぶということは、つまり百舌谷さんがツンデレ病に苦しみ続けることを望むということになるが・・・。
と、感想を書くのはどちらかというと不得手なのでこれ以上はどこか別のサイトさんにお任せします。
今回のタイトルの話に移らせて戴こうかと。(´ω`)
『百舌谷さん』を読んでいれば薄々感じることだと思いますが、作者の篠房六郎さんは相当に濃いオタクと思われます。作中の随所に仕込まれる小ネタを幾つか拾い上げてみましょう。
ファミコンの名作アドベンチャー『オホーツクに消ゆ』に出てきた「ニポポ人形」。
個人的にスマッシュヒットでした。
樺島の病弱な弟・勇次郎の容姿を百舌谷さんが想像する場面。
病弱どころか地上最強っぽいですね!
左上の効果音に注目です。
といった具合。
さてそんな『百舌谷さん逆上する』2巻、表紙カバーを外すとオマケマンガが収録されています。
「近況漫画」とのことで、篠房六郎さんのところに新しく入ったアシスタントさんとのやりとりが描かれています。そのアシスタントさんが描くマンガ、実に頭のおかしな内容とのことで(詳しくは実際に読んで戴ければと)、それをいたく気に入った篠房先生、アシスタントさんの才能を更に引き伸ばさんとして映画やマンガ・小説等を薦めるんですよ。それがこちら。
ネタバレを避ける意味合いもあって少々遠くから撮影していますが、お判りでしょうか?
中段のコマ、何か黒っぽくなっていますよね。これら全て、篠房先生お薦めの作品です。篠房六郎さんの作品は文字が多いのが特徴ですが、まさしく面目躍如といった印象です。
しかも取り上げている作品、何れも無闇に濃いんですよ。さすがにすべて紹介すると長くなってしまうので、いちばん最初のやりとりの部分だけ引用してみます。
そーいうのあんまり詳しくはないから
基本的なのしか教えられないんだけど
『ゆきゆきて、神軍』って知ってる?
いきなりそこですか篠房先生!(´ω`;)
映画好きの方なら知っているかとは思いますが、この作品は実に狂った内容なんですよ。
奥崎謙三っていうオッサンの行動を追ったドキュメンタリーです。現物を観たほうが早いかと思うので、是非ともこちらをご覧ください。冒頭だけですが只ならぬものを感じるかと思います。
更に凄いのがこちら。
奥崎謙三氏の政見放送です。
しばらく前にも政見放送で話題になった方がいらしたと思いますが、パフォーマンス的(つまり判ってやってる)要素皆無で淡々と喋る様子は、静かな狂気を孕んでいます。
あとこの奥崎謙三氏、特殊漫画家・根本敬さんが監督したSMビデオか何かにも出演していた筈。
そして言うまでもなく、篠房六郎さんお薦め作品の中には根本敬さんの名前もありますよ。
さて『ゆきゆきて、神軍』を始めとして次から次へと「濃過ぎる」作品を薦められたアシスタントさん。それらを順次拝見していくとのことです。
彼の運命や如何に。今後も注目していきたいところです。