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時折マンガの話をします。

エレン・ベーカー先生をこの手に

今月始め、「エレン・ベーカー先生」がずいぶんと話題になりました。
東京書籍が出している中学英語の教科書『NEW HORIZON』の、平成28年度版に登場するキャラクターです。「教科書」から連想されるやや堅苦しい印象とは正反対の、何とも可愛らしい絵柄が twitter で話題となりみるみる内に広く拡散、pixiv とかでも二次創作イラストが次々と描かれ...という経緯をご存知の方も多いかと思います。自分の twittertumblr でも、ずいぶんとエレン先生を見掛けたものです。


またそこからの派生といいますか、権利者へ二次創作に関しての問い合わせをして、それに対しての異論反論が...という騒動があったことをご存知の方も少なからずいらっしゃるかと。詳細はこのあたりをご参照戴ければと思います。


騒動を受けて、東京書籍からもコメントが出ました。


エレン先生のイラストを担当した電柱棒さんも、時期を同じくして twitter を開始していますね。


現時点では騒動も収束してきたといいますか、ずいぶんと話題も落ち着いてきたなという印象があります。瞬間的に大きな盛り上がりを見せ、数日経って落ち着きを見せていく傾向は、一昨年・昨年と話題になった「ゼミママ」とか「ヘスティアの紐」とかに近いなと思います。



さて、一連の騒動をざっと触れてみた訳ですが、それらを眺めて感じたのが、「二次創作しか存在しない、原典不在に近い状況だな」ということです。ファンアート・二次創作・それらについての持論・言説的なものは無数にあるものの、オリジナルがあまり見当たらないように感じた訳ですね。
そこで、



(『NEW HORIZON English Course 1』22ページ。)


実際に買ってみました。( ^ω^ )
因みにこちらは、Unit 1 、いちばん最初の課になります。エレン先生が自己紹介をしているイラストですが、やはり「教科書」で漠然とイメージする図像とは一線を画する印象がありますね。


こちらが購入した『NEW HORIZON English Course』の 1〜3 になります。
実際に目にして思ったのが、「予想より大きい」ということでした。自分の記憶では『NEW HORIZON』ってA5版(年齢がバレる可能性あり)だったのですが、それより一回り大きいですね。



(A5版サイズ書籍との比較。)



そして実際にページをめくってみると、いろいろと気が付くこともあります。
端的に言ってしまうと、電柱棒さんのイラストは思ったほど多くありません。
実際に目にするまでは、教科書全体に電柱棒さんが描くイラストが溢れているのかなと思っていた訳ですが、そうでもない。違うタイプのイラストも多数収録されているのですね。
幾つか挙げてみましょう。




(同書5ページ。)

教室内で使われる英語を解説しているイラストになります。
こちらのイラストは、前述の「漠然とイメージする」イラストに近いですね。



(同書6〜7ページ。)

別イラストです。
ちょっと絵本っぽさを感じるタッチになっています。



(『NEW HORIZON English Course 2』86ページ。)

こちらは落語の「饅頭こわい」を英語に翻案した文章に添えられたイラストになります。イラストもアメリカンな絵柄になっていますね。



(『NEW HORIZON English Course 1』129ページ。)

個人的にかなり気に入っているのがこちらです。
宮沢賢治の代表作のひとつ『注文の多い料理店』の英訳に添えられたイラストなのですが、ちょっとロバート・クラムっぽさを感じさせるアクの強い筆致が良い味わいを醸し出しています。



このように多種多様なイラストが混在している訳でして、エレン先生を始めとする電柱棒さんが描くイラストは思ったほど多くはない。
と、言うだけでは説得力がやや薄いかなと感じたので、数えてみました。( ^ω^ )


全体のページ数と電柱棒さんのイラストが使われているページ数、ならびにエレン先生が登場するページ数は以下のとおりになります。パーセンテージも併記しておきます。

  • 『NEW HORIZON English Course 1』:総ページ数151・電柱棒さんイラスト掲載ページ数34(約23%)・エレン先生登場ページ数14(約9%)
  • 『NEW HORIZON English Course 2』:総ページ数149・電柱棒さんイラスト掲載ページ数16(約9%)・エレン先生登場ページ数0(0%)
  • 『NEW HORIZON English Course 3』:総ページ数151・電柱棒さんイラスト掲載ページ数12(約8%)・エレン先生登場ページ数4(約3%)


如何でしょうか?
数え間違いがあるかもしれませんし、パーセンテージに関しては四捨五入をしていたりする関係で若干ズレがあるかと思いますが、これに近い数字だと思います。個人的には、予想以上に低い数字と感じました。


とりわけ、『NEW HORIZON English Course 2』にはエレン先生はまったく出てこないんですね。これは、この巻では生徒たちのホームステイが中心に描かれることが原因なのですが、ちょっと予想外でした。
1〜3全体を通してみても、総ページ数451に対し電柱棒さんのイラストが掲載されているのは62ページ(約14%)、エレン先生登場ページは18(約4%)と、決して多くはない印象を受けました。


やはり、実際に確かめてみないと判らないことはあるな、と強く感じた次第です。



ところで、学校教科書は普通の書店や Amazon では取り扱っていないので、ちょっと入手が難しいです。買い方は概ね、以下のとおりになります。

  1. まずはこちらのページに行きます。:一般社団法人 全国教科書供給協会
  2. いちばん先のリンク、教科書の購入・販売についてのお問い合せ先をクリック。
  3. 自分の住んでいる都道府県をクリック。
  4. 教科書販売を行っている書店一覧を見つける。
  5. 最寄りの書店に行って購入(取り寄せになるケースもあり)。


だいたいこんな感じになります。自分の場合は取り寄せでした。
傾向としては、地元に昔からある「町の本屋さん」的なところで取り扱っているケースが多いのでしょうか、書店一覧に「有限会社」を度々見掛けますね。
3冊買って1000円もしないので、関心のある方は買ってみるのもありではないかと思います。


それではずいぶん長くなったので、本日はこのあたりにて。