『ゆびさきと恋々』の文字:「聞こえない声」を表現する技術について
仕事関連でやることが増えるいっぽうで、職種の都合上新型コロナウイルスの影響を大なり小なり受けることは避けられず、何とも難儀している状況です。足らぬ足らぬは工夫が足らぬ、危機感も足らぬと言われている感じ、と言いますか。( ;´ω`)
まぁ、そんなささくれだった状況で、元旦以降更新も放置してしまっていた訳ですが、マンガはそれなりに読み続けている訳でして、たまには何か書いてみようかな、と考えてみた次第です。
という訳で、最近読んで面白いなと感じた、森下Suuさんの新作『ゆびさきと恋々』の文字表現について書き連ねてみます。
(まぁ実を言うと、これを書き始めてからちょっと調べてみたら、連載記念インタビューで既にある程度言及されていましたので、そちらを読んだようが良いかもしれんです。٩( 'ω' )و)
森下Suuさんというと、これ以上ないというくらいに「純愛」を凝縮させたような『日々蝶々』、恋愛要素を縦軸にしつつ壊れてしまった家族関係の再生という重い題材を描いた『ショートケーキケーキ』等を描いてきた訳ですが、それまでの掲載誌「マーガレット」から「デザート」に移籍しての連載となるのが、『ゆびさきと恋々』です。
冒頭部分だけ、軽く内容を。
物語は、ヒロイン・雪のモノローグと、電車に乗っている場面から始まります。お気に入りの服を購入し、大学生活を満喫している様子が描かれるのですが、車内で外国人に道を尋ねられます。答えることができず慌てる雪。
そこに、英語でその外国人に話し掛け、対応を変わってくれた人物が。見ると、雪の友達・りんちゃんが所属しているサークルの男性。そして対応を終えたその男性に対し、
(森下Suu『ゆびさきと恋々』1巻12〜13ページ。)
髪を掻き上げて両耳に掛け、補聴器を付けていることを見せつつ、手話を用いて対応してくれた礼をします。このページで、雪が聴覚障害を持っている、ということが示される訳です。
見開き2ページを用いた非常に印象的なシーンなのですが、その前まで(本編7〜11ページ)の描写も巧みで、モノローグを使っての心理描写・外国人との対応時における台詞・ジェスチャーの選択によって、聴覚障害であることが読み取れないような構成になっています(純粋に外国語が判らないように見て取れるようになっている)。
それ故に、ページをめくった際の見開きの印象が際立つ。
その後、友達のりんちゃんに確認したところ、その男性の名前は逸臣、頻繁に海外に行ってはバックパッカーをしている人物だということが判ります。そして逸臣がアルバイトをしているカフェバー(彼の従兄弟が店長をしていて、りんちゃんはその店長が気になっている)に行ってことで、雪と逸臣の関係が少しずつ深まっていく訳ですが...
と、概略はこんな感じです。そこに雪の幼馴染み(雪に片思い中と思われる)の桜志も加わり...という具合。
そしてこの作品、雪の「耳が聞こえない」という設定を、フキダシ内の文字で実に巧く表現しているのです。幾つか例を挙げてみます。
(同書30ページ。)
逸臣がアルバイトをしているカフェバーに行った雪とりんちゃんが、筆談を交えつつ会話をしている場面になります。ショートカットの女性がりんちゃん。そして上の画像の2〜4コマ目のフキダシがりんちゃんの台詞になるのですが、3・4コマ目の台詞、文字の色が薄くなっているのが判るかと思います。
雪は聴覚障害を持っていますが、唇の動きを読み取って会話を理解することができます。実際には聞こえていない音を「見ている」と言い換えることもできるかと思います。そして「雪が読み取った(実際に聞こえてはいない)声」ということを、文字を薄くすることで表現している訳です。
そして3コマ目の台詞ですね。「逸臣さんてとりいんかむなんだよ」と意味が判然としない台詞を発し、しかも「り」の文字が横に倒れています。その次のコマで筆談で説明することで、「とりいんかむ」ではなく「トリリンガル」と言っていたことが判る。
声が聞こえる場合でも、早口であったり滑舌が悪かったりで、全部は聞き取れないケースって往々にして存在すると思う訳で、それを前後の文脈で内容を判断したり、ということもあるかと思うのですが、それに類する状況なのかもしれないです。上記リンク先インタビューによると、同じ母音が続くと唇を読み取りづらいという話もあります。
そういう「聴き取りづらさ」を、単語を曖昧にするだけではなく、文字を薄くすることや文字そのものを横に倒すことで表現しているのは面白いな、と感じる次第です。
そして更に付け加えると、薄くなっていないフキダシ内文字は、雪には聞こえていません(唇の動きが読み取れない、見えていない)。
言い換えれば、薄くなっている文字が雪視点の世界だということです。
つまり、上のコマでいうと、2コマ目の「逸臣さん 私ビールで」という台詞は、雪は認識していません。付け加えると、「色の薄い文字」とそうではない文字、それに伴うキャラクターの行動・リアクションに関しても、実に繊細に描写しているのです。
(画像左:同書66ページ、画像右:同書68ページ。)
大学キャンバス内で、雪とりんちゃんが、離れた場所にいる逸臣について会話している場面になります。りんちゃんのフキダシ内の台詞が黒くなっているときは、雪に背を向けていたり、雪が逸臣に視線を向けているというのが見て取れると思います。つまりその際、雪の視点はりんちゃんの唇には向けられていない。逆に雪とりんちゃんが向き合って会話しているときは、フキダシ内の文字が薄くなっています。
(同書27ページ。)
雪とりんちゃんで逸臣がアルバイトをしているカフェバーに来たときの一場面です。奥にいた店長(りんちゃんが気になっている人物でもある)が出てきて、りんちゃんは明らかに狼狽且つ緊張している訳ですが、メニューに集中していて、声が聞こえない雪は、当然店長が話しかけていることも、それ以前に近付いていることにも気付いていません(それ故に台詞は黒文字です)。店長の台詞に対して、逸臣とりんちゃんは画像の右側に視線を向けていますが、雪は向けていないですよね。
(同書147ページ。)
逸臣と店長(京)のやりとりですが、逸臣の台詞が薄い色で、店長の台詞は黒文字になっています。つまりこれは、雪の視線が逸臣に向かっている。逆に店長は雪の視線から外れていて、店長の唇の動きを捉えていないということになります。
と、他にもいろいろありますがこんな感じです。
雪のモノローグを除いた黒文字を意図的に避けて読むと、雪がどのように世界を捉えているのかが朧げに見えてくるかもしれないですね。
まだ物語は動き始めたばかりですが、非常に続きが気になっています。まだ1巻だけですし、第1話は無料試し読みもできますので、気になった方は是非。5月に2巻も出るようなので、そちらも楽しみです。
といったところで、本日はこのあたりにて。
謹賀新年
あけましておめでとうございます。
遂にというか、もう2020年ですか。時間が過ぎるのが早く感じるのは、やはり年をとったということでしょうか。٩( 'ω' )و
昨年は、普段どおりといえば普段どおりですが、やはり仕事に追われているような日が多く、ブログの更新も滞りがちで鳴かず飛ばず感が強かったのですが、12月に更新した「初カキコ...ども...」の検証記事が多くの方にご覧戴けたようで、滑り込みで面目を保ったという印象です(元々面目など存在するのか、という疑問はさておいて)。
これに付随して、その数ヶ月前に書いた記事も若干注目を集めたりということがあったりも。
因みに「初カキコ...ども...」の調査は、今年も少しずつ進めたいな、と考えています。
それでは、今年の抱負、というほど大袈裟なものではありませんが、こんな感じにしていきたいなという行動指針みたいなものを幾つか書いておこうかと。
① kindle を抑える
いきなり後ろ向きっぽい感じですが、まぁ何といいますか、ここ2〜3年くらいで物理書籍から電子書籍への移行を進めている訳ですが(主に空間的な限界が理由)、やはり気軽にワンクリックで買ってしまう故か、かなり出費が嵩んでいるのですね。( ;´Д`)
現状として、『ピーナッツ全集』を購入し続けているのに加え、今年は『つげ義春大全』も出ますので、なるべく抑えていかないとな、とは思っています。kindle のセールでまとめ買いしたものが、まだまだ大量にありますし。٩( 'ω' )و
②ゲームを強める
電子書籍にしろ物理書籍にしろ、買うことは癖に近いものになっていますので、それに変わる何か別のことが必要だな、と。
ということで、
ゲームを強めようかな、と思い、先月自分へのクリスマスプレゼントとして NINTENDO SWITCH を購入しました。٩( 'ω' )و
1つのゲームで数ヶ月遊び尽くせば、そのぶん本への出費も抑えられるのでは、と。
しばらくはゼルダ、そのあとはドラクエとリングフィットとか、課金なしでFGOとかも候補です。課金はなしです(重要)。
③旅行にいく
3年前あたりから、少しずつ資金を貯めて、2泊3日くらいで旅行にいくようにしています。一昨年は鳥取の水木しげるロード、昨年は京都と『ちはやふる』の聖地あわら市に赴いてみたり。
今年は、『この世界の片隅に』或いは『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の舞台、広島・呉に行ってみたいな、とか考えています。最初のクラウドファウンディング、並びに応援チームのクラウドファウンディング双方に参加している程度には思い入れのある作品ですので。
昨年末に「さらにいくつもの」のほうを鑑賞しましたが、奇蹟といって差し支えない作品です。殆ど新作と言って差し支えないくらい、物語の印象・意味が変化していました。
④ブログの更新も時折は
まぁ、これも毎年言っているような気はしますが。٩( 'ω' )و
といったあたりでしょうか。
今年も宜しくお願い致します。
「初カキコ...ども...」の元ネタは存在するのか、実際に調べてみた②
先日、2chの有名な書き込み「初カキコ...ども...」の元ネタはほんとうに存在するのか、それを軽く調べた記事をアップしたところ、予想以上に大きな反響を戴きました。
「無駄だと思う」「徒労に終わりそう」みたいなコメントも見受けられたものの、仮に元ツイートが捏造・デマの類だったとしても調査することでその事実が明らかになりますし、それ以前に調査することじたいが案外愉しかったりしますので、何かピントの外れたこと言っているな、というのが率直な感想です。٩( 'ω' )و
全体的には好意的なご意見が多かった気がしますので、ありがたい限りです。また、追加調査に期待している旨のコメントも複数見受けられました。なので、
ちょっとだけ時間がありそうだったので、また行ってきました。٩( 'ω' )و
前回は「りぼん」を調べましたが、今回は「なかよし」を調べてみることに。
調査年代は1985〜1987年。時間の都合上(少し寝坊しました)、1985年1月号〜1987年3月号あたりまでです。
バックナンバーを読んでいると、連載作品をついつい読んでしまったり、「なかよしまんがスクール」の入選者に武内直子さん*1や海野つなみさん*2、猫部ねこさん*3の名前を見付けたり、いいとも青年隊を卒業して間もない頃の野々村真インタビューとかが収録されていたりと、なかなか面白いですね。
そして調査結果ですが、
やはりというか何というか、該当する作品は見当たりません。
ただ、ちょっとだけ気になる作品はありました。
1986年の「なかよし増刊 松本洋子特集号」に収録された読切、矢野イサク『ようこそ、吸血鬼組へ』です。
概略としては、父親の仕事の都合で数ヶ月ごとに転校を繰り返している少女の、転校した先での3ヶ月間の思い出を綴ったような内容です。
主役はその少女であり、ヤンキーではない(それ以前にヤンキーは出てこない)のですが、転校してきた主役の自己紹介から始まるというシチュエーションは共通していました。あと、冒頭の欄外ハシラ部分(ページいちばん右端か左端の、コマ外側部分)に書き込まれるアオリ文が、こんな感じです。
★あ〜あ、転校生やってるのもラクじゃないわね。こんどのクラスっていうのが...。
(「なかよし増刊 松本洋子特集号」446ページ。)
これ、例の書き込み後半部分、「あ〜あ、義務教育の辛いとこね、これ」とちょっと雰囲気が似ているかな、という気が。
まぁ、これは偶然に過ぎない可能性も大いにあるのですがね。
ただ、この年代の様々な少女マンガの断片的な記憶がキメラの如く混ぜ合わさり、あの書き込みに繋がっている、という可能性もゼロではないのかな、と思ったりもします。
まぁ、まだ調べられていない雑誌は山ほどありますので、折に触れて進めていければと思います。(さすがに今年はもう難しいかもしれませんが...)。
といったところで、本日はこのあたりにて。
*1:言わずと知れた、『美少女戦士セーラームーン』の作者さんであり、冨樫義博さんの奥様でもあります。
*2:ドラマにもなった『逃げるは恥だが役に立つ』の作者さんです。複数回入選しており、「なかよしまんがスクール」の常連、といった趣がありました。
「初カキコ...ども...」の元ネタは存在するのか、実際に調べてみた①
先日(3日)、話題になったツイートがありました。
10年前の12月3日に、2ch(今だと5chですか)に投下された「初カキコ...ども...」という文言から始まる書き込み。強烈なインパクトを持つ文体と身悶えしたくなる内容故に、伝説的書き込みのひとつとして現在に伝わっています。
そして一昨日(つまり初カキコからちょうど10年後)、その書き込みをした(と自称する)人物が twitter で連続ツイートを行い、その「初カキコ...ども...」から始まる一連の書き込みは、今から30年くらい前の「りぼん」に掲載された読切作品のパロディなのだ、と語った訳です。
当該アカウントは既に削除されたようなのですが、主張するところによると
- 『星の瞳のシルエット』連載開始間もない時期の「りぼん」に掲載された読切
- 「りぼん」増刊号かもしれない
- ヤンキー系の転入生が自己紹介をする台詞のパロディである
- 書き込みが切れ切れなのはフキダシに準拠したため
とのこと。
しかしタイトル等は憶えておらず、それ以上の詳細は判らない、という状態のままアカウント削除という流れになったため、正直なところ真偽不明です。しかし気になる情報でもある。
なので、
ちょうど休みだったので、国会図書館に行ってきました。٩( 'ω' )و
取り敢えずは上記主張に基づき調査開始。
『星の瞳のシルエット』の連載が開始されたのは、1985年12月号です。連載開始間もない時期とのツイートだったので、1986年を起点として前後1年くらいをまず調べてみることに。
1985〜1987年の「りぼん」本誌ならびに増刊号である「りぼんオリジナル」をひととおり流し読みしてみました。
その結果ですが...
該当するような作品はこの期間内には見当たらないです。
とは言え、流し読みだったので単純に見逃していた可能性は否定できませんし、実を言うと「りぼんオリジナル」1987年1・3月号は読めていません(他の方が読んでいた模様)。( ´ω`;)
ただ、この時期の「りぼん」、ヤンキーは思った以上に出てこないですね。
強いて言えば、「りぼんオリジナル」1986年春の号に掲載された読切、きたうら克巳『ベイビーおてやわらかに』(だったと思う...違っていたら申し訳ないです)は冒頭でヤンキーの転校生が自己紹介をするところから始まり、若干雰囲気が似ているようにも感じましたが、台詞の共通点は見受けられず、それ以前にモノローグを使っていました(フキダシ未使用)。
とは言え、人の記憶っていうのは(自分を含め)思っている以上にあやふやなもので、勘違いや間違った情報がそのまま記憶として定着してしまったりもする。
従って、1985〜1987年の「りぼん」本誌と増刊だけで結論付けるのはあまりにも早計に過ぎる。もっと調査範囲を広げつつ精査しないと、真偽のほどは確定しないと思います。具体的には、「マーガレット」や「別冊マーガレット」、「なかよし」「るんるん」等も対象に、調査年代も10年分くらいにして...といった感じでしょうか。
なので、折を見て追加調査はしてみたいな、と考えています(なのでタイトルに①を付けています)。
しばらくの間、仕事で忙しくなりそうではありますが...。٩( 'ω' )و
簡単ではありますが、本日はこのあたりにて。
【12/12追記】ちょっとだけ追加調査しました。
身元不詳の男性が、スクール水着を着用したまま彼岸に向かうということ:同人誌『知られざる行旅死亡人の世界』
本籍・住所・氏名不詳、年齢30〜40歳位、男性、身長157cm位、小太り、着衣黒色女性用ワンピース、緑色女性用スクール水着、茶色のタイツ、遺留金品、金色ネックレス、金色ブレスレット
上記の者は、平成18年7月23日、大阪市西淀川区••••••○○株式会社○○製作所南側新淀川右岸河川敷にて発見されました。死亡は平成18年7月20日頃、場所不明。死因は溺死。遺体は検視のうえ北斎場にて火葬に付しました。心当たりの方は当区保健福祉センター支援運営課まで申し出てください。
平成18年9月4日
(官報号外第201号)
(コウリョカイ『知られざる行旅死亡人の世界 総集編1』第3版6ページより転載。強調箇所も同書に準拠)
この男性は、最期に何を思ったのだろうか。
スクール水着を着て、タイツを履き、恐らくはその上からワンピースを纏い、ネックレスとブレスレットで身を飾り付け、川に身を沈めたときに。
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『天気の子』並びに新海誠監督作品に関しての覚書
新海誠監督の最新作『天気の子』、個人的な印象では、控えめに言って最高でした。
【Amazon.co.jp限定】天気の子【特典:CDサイズカード「風たちの声」ver.付】
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鑑賞後、思わず舞台探訪みたいなこともしてしまいました。
1度目を観た時点での感覚としては、「嘗て『セカイ系』と呼ばれていたものを、15年以上磨き抜き研ぎ澄ませた結果、それを超える何か別のものになっていた」というものですが、正直なところ巧く言語化できていない状態です。
なので、思考を整理するために、『天気の子』とその他新海誠監督作品に関して、思いつくままに書き連ねていきます。
半ば自分用メモなので断片的な内容になりますが、ある程度内容には触れるので未見の方はご注意ください。
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部屋の改造計画②
先週から今週にかけて、3連休が立て続けに発生しました。٩( 'ω' )و
今の仕事に就いて10年以上になりますが、連続して、というのは初めてです。
この休みは、有意義なものにしなければならない...!ということで、久方振りに部屋の大掃除、ならびに改造を進めてみました。
1年少々前に部屋の改造を始めるよ、たまには進捗の報告するよ、といった内容の記事も上げていますので、丁度良い頃合いかと。ここ1年くらいでどう変化したのか、その記録を残しておきます。
1年前から変わらず、部屋のスペースを拡げる・デッドスペースを減らすのが至上命題となっている訳ですが、そう考えた場合、非常に無駄なスペースを取っていたのが居間の収納でした。適当に物を突っ込んで、半ば開かずの間になっている状態です。
大量の綿埃と格闘しつつ、収納に入っていた諸々を引っ張り出し、残すもの・処分するものに分別。「何かで使えるかも...」と取っていた紙袋とか、数年間埃を被っていた(壊れている)バッグとか、いろいろまとめた結果、45ℓのゴミ袋3つと紙束2つ、雑誌類1束にダンボール1束程を処分へ。
残すものも、ある程度分類して箱詰めしました。箱に関しては、同じサイズで統一したほうが積み重ねが容易で、且つ無駄なスペースが発生しないので、ゆうパックの箱(大)で揃えています。
加えて、収納の空いたスペースに、マンガ部屋に置いていたPCを。これも後日、回収してもらうことで空間を確保する予定です。
といった具合に格闘した結果、居間はこんな感じになりました。
昨年に比べて、書籍の数は多少は増えた感じでしょうか。なるべく kindle で買うようにしているので、その効果が出てきている...と信じたいところです。(´ω`)
2枚目の画像、『WHITE ALBUM 2』のかずさタペストリーの後ろが、先程言及した収納になります。拙者白ワンピ大好き侍故、飾っているタペストリーがその系統に偏るのは止むを得ないところ ٩( 'ω' )و
先程少し触れましたが、マンガ部屋に置いていたPCを収納に移動したことで、そちらの部屋も少々広くなりました。
こんな感じです。
因みに昨年末、思ったより賞与が多めに入ったのもあり、居間と同じタイプの、本棚屋さんのオーダーメイド型本棚を2台増設しています。「水木しげる漫画大全集」と「藤子・F・不二雄大全集」をすべて棚に入れることができました。٩( 'ω' )و
このタイプの本棚は今後も数台増設・入れ替え予定です。その前準備みたいな理由で、画像1枚目の奥に写っている本棚のマンガは、ほぼすべて平積み状態になっています。
見ての通り、どこに何があるのか非常に判りづらいので、早いところどうにかしたいですね。
画像2枚目は文庫棚ですが、ここもいろいろ検討中。問題は棚の手前にあるアリさんマークの引越社ダンボールと紙袋なのですが、これ、全部本の帯と折り込みチラシなのですよね。これもどうしたものか... (´ω`;)
画像3枚目、窓ガラス手前に物がなくなったのが数年ぶりだったので思わず撮影してしまいました。しかしながら、奥の押入れはそれなりに魔窟状態なので、まだまだ先は長いですね。
オレはようやく片付け始めたばかりだからな
このはてしなく重なるマンガ山をよ... ٩( 'ω' )و
と、昨年と同じ感想を抱いたということで、本日はこのあたりにて。
因みにこの連続しての3連休、部屋の片付け以外だと、
展覧会とか行きまくっていました。充実の連休というやつです。
遂に揃った!
やりましたよ...!
\\٩( 'ω' )و //
・:*+.\( °ω° ))/.:+
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
内田善美さんの単行本を!
りぼんマスコットコミックス『星くず色の船』『秋のおわりのピアニシモ』を!
ぶ〜けコミックス『ひぐらしの森』『空の色ににている』『かすみ草にゆれる汽車』を!
ハードカバー単行本『草迷宮・草空間』を!
遂に手に入れた...!
最高傑作との呼び声も高い『星の時計のLiddell』は、何年か前に手に入れている...!
これで...!
内田善美さんのマンガ単行本、コンプリート...!。゚(゚´Д`゚)゚。
いちマンガ好きとして、やはり感慨深いものがあります。
じっくりと、時間を掛けて読んでいきますよ...!
とは言え、これですべてという訳ではありません。
先程「マンガ単行本」と書いたのは理由がありまして、内田善美さんはイラスト集・画文集を上梓されています。『聖パンプキンの呪文』『白雪姫幻想』『少年たちの記憶』『ソムニウム夜間飛行記』の4冊。
何れも入手難度は高く、とりわけ『ソムニウム夜間飛行記』が高い壁になっている印象があります。自分も先月、まんだらけで初めて現物を目にしたくらいです。*1
他にも、単行本未収録の作品も何作かあるようですし、道はまだ長いですね。
といったところで、喜びの報告はこのあたりにて。
*1:今日行ったら既に売れていました。その時は若干懐事情が寂しく見送ったのですが、多少無理をしてでも手に入れておくべきだったかと今更ながらに感じています。
「季刊エス」66号収録「いのまたむつみインタビュー&表紙メイキング」で語られた富野由悠季監督が、紛う方なき富野由悠季監督だった
先日、「季刊エス」66号(2019年夏号)が発売されました。
「ストーリー&キャラクター表現の総合誌」を謳っている雑誌で、毎号何らかのテーマに沿って、マンガ家・イラストレーター・アニメーター・カメラマン等、様々なクリエイターの方々へのインタビュー記事が収録されている他、メイキングや技法解説・作画工程解説等の記事も掲載されています。投稿ページもありますね。
「季刊エス」のインタビュー記事、インタビュアーがインタビューイ(取材を受ける側)の作品を相当に読み込んでいるのが特徴でして、かなり濃い・深い内容になっていて非常に読み応えがあります。それもあって個人的に非常に好きな雑誌でして、創刊号から全部持っている数少ない雑誌だったりします。
で、66号のテーマは「ファンタジー 夢と真実」というものでして、それに基づいた記事等で構成されています。そしていちばん紙幅を割いているのが、今年画業40周年を迎える、いのまたむつみさんへのインタビューとなる訳です。いのまたむつみさんがキャラクターデザイン・作画監督を務めたOVAで、(日本における)元祖ビキニアーマーとも評されるファンタジー『幻夢戦記レダ』の Blu-ray BOX 発売にも合わせた特集ですね。
【Amazon.co.jp限定】「幻夢戦記レダ」<4Kリマスター>Blu-ray BOX(初回限定生産)(Amazon.co.jp限定 オリジナルミニポスターセット3枚組)
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インタビューにおいても、『レダ』に関してはもちろん、アニメーターの初期の頃からイラスト・挿絵の仕事、それらの仕事における描き方について、そして『テイルズ』シリーズや乙女ゲーム『二世の契り』等について...と、縦横無尽に語られています。
それらの中でも、とりわけ個人的に印象的だったエピソードが2つありまして。
1つ目は伝奇ファンタジー小説『宇宙皇子』のイラストを担当されていた際、マイケル・ジャクソンが来日公演をしたときに本屋を借り切って買い物をしていたら、いのまたさんの画集を気に入り「描いた人に会いたい」というので呼び出された、というものです。何から何まで規格外過ぎてコメントも難しいです。(^ω^;)
マイケル・ジャクソン本人の絵を描いて、自宅で仕上げた絵は後日(検疫で留め置かれていた)チンパンジーのバブルス君を一緒の飛行機で送られたとか。
これは当時「Newtype」でも記事になったとのことなので、知っている方は知っている、有名な話なのかもしれないですね。
そしてもうひとつが、『ブレンパワード』関連になります。
題名にも書いたのでお判りかと思いますが、富野由悠季監督絡みです。当該部分を抜粋してみます。
ー 『ブレンパワード』でメインデザインを担当されたとき、富野由悠季監督とのやりとりで印象的なことがあると聞きました。
いのまた 目の話ですよね。最初に呼ばれて行って、「僕は君の絵が嫌いなんだよ」と言われたんです(笑)。「じゃあ、なんでキャラを頼むんですか?」と言ったら、「出渕君がね、君に頼まなきゃダメだと言うんだよ」と。「なにが嫌ですか?」と聞いたら、「目が大きいでしょう?」と。それで「いや、他の人に比べたら相当小さいですよ、ほら!」と、当時は萌えキャラが流行っていたので、大きなキラキラ瞳のキャラも多くてそういうのを見てもらったんです。その後で二時間くらい話をして、何だかやることになりました(笑)。
(「季刊エス」66号 2019年夏号17ページ。)
(^ω^ )
自分はそこまで富野信者というのではなく、むしろニワカも甚だしいレベルかと思ったりもするのですが、それでもこう、富野由悠季監督だよなと思う次第です。
いきなり「僕は君の絵が嫌いなんだよ」と全力で斬り付けてくる感じも、出渕裕さんに言われたから頼むんだと説明するお茶目な様子も、「目が大きいでしょう?」というフワッとしつつも有無を言わせない感じも、その後いのまたさんが反論しつつ二時間話をしたら結局一緒に仕事をすることになるあたりも、全部良いです。
これだけでも充分価値があるかな、手許に持っておきたいなと思わせる内容です。
それ以外にも、現在『天国大魔境』絶賛連載中、石黒正数さんのインタビューも収録されているのですが、これ実は創作の根幹に関わる話じゃないか?というエピソードが饒舌に語られたりしています。ファン必読と言って差し支えないかと思います。
あと、投稿コーナーに三峯徹先生の作品が掲載されています。(^ω^ )
(確認した限りでは、53号以降毎回掲載されています。)
付け加えると、三峯先生同様に投稿の常連である、現在67歳らしい女性の存在も気になりますし、66号ではその女性の年齢よりも更に上、69歳男性の投稿、というのも存在します。
買って損はしないと思います。読もう「季刊エス」!
といったところで、本日はこのあたりにて。
ブレンパワード・スパイラルブック (Gakken mook)
- 作者: 氷川竜介,藤津亮太
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- 発売日: 1999/08
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