鳥取・京都探訪 3日目:古田織部の足跡を訪ねる
鳥取・京都を巡る旅行、3日目の続きです。
龍谷ミュージアムで「水木しげる 魂の漫画展」を鑑賞したあと、向かった先は祇園です。
せっかくだから、マンガやアニメに出てきた箇所を散策したい、京都はいろいろな作品の舞台になっているのでよりどりみどりだけど何処にしようか、と考えた結果、『へうげもの』だな!と相成りました。
今年1月に完結巻が出た『へうげもの』。
史実のみならず陰謀論に近い説も茶筅でかき混ぜるかのように綯交ぜにし、クセがありながらも堪らない魅力を持つ筆致や構図も相俟って、誰も真似できない、抹茶よりも濃い独自の世界が立ち現れていました。
古田織部のひょうげた生涯を描き抜いた、マンガの歴史に残る傑作であったと思います。
そんな『へうげもの』に関わりの深い場所を訪ねてみようと思い、目的地として定めたのが祇園となります。
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鳥取・京都探訪 2日目:境港・水木しげるロード
鳥取・京都を巡る旅行、2日目の記録です。
8時頃、朝食時間を知らせる内線電話で起床(少々寝過ごしました)。
いそいそと着替えて、朝食会場へと赴きます。
宿泊場所から少し離れた場所にある本館へ。
写真が見切れているのはセンスのなさの発露なので、ご容赦願いたく思います。
因みにこの本館の隣には離れがありまして、1日1組限定で宿泊可能とのこと。恐らく、皇太子殿下がご利用されたのはそちらでしょうね。
築百年を超える建物で、朝食を頂きます。
写真を撮り忘れたのですが、朝粥としじみ汁と、おひつに入れたごはんもありました。
ある程度歳をとってくると、こういう朝食、実に沁みますよね。朝粥に梅干を入れて味わい、味醂干しや胡麻和えを少しずつ、おひつから移したごはんと一緒に口に含み...と、何といいますか、贅沢な時間。
食べ終わってからは、本館内を散策。
二階から臨む港の様子。
台風一過というやつですか、前日の雨風が嘘のような陽気です。
いわゆる数寄屋造りという様式で、実に独特な造りになっていて面白いです。
渡り廊下が階段になっていて、隣室の高さが違うんですよね。
黒電話は実際に使ったことがあるのですが、交換台の実物は初めて見ました。『となりのトトロ』で、本家のおばあさんの家にあった電話に近い感じでしょうか。形状は違いますが、側面のハンドルとかは共通していると思います。
そしてチェックアウトをして、水木しげるロードへと向かう訳ですが、美保館の若旦那さん?が境港まで送迎してくれるとの申し出が。ありがたくお受けします。
のみならず、何といろいろとお土産を提供して戴きました。( ´∀`)
車内で雑談しつつ、境港まで。
荷物・お土産入れ用に持って来ていた、先日「JOJO展」で購入したトートバッグに若旦那さんが食いついてくる場面も(ジョジョ好きらしいです)。
若旦那さんにお礼を言って別れ、散策開始です。
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鳥取・京都探訪 1日目:チャーミーと遥かな町へ
先日、幸いにも3連休を得る機会に恵まれましたので、前々から行きたいと思っていた鳥取旅行を敢行しました。
今年5月に「水木しげる漫画大全集」全103巻(+別巻・補巻各5巻、合計113巻)全巻完結したのは未だ記憶に新しいですが、水木センセイ好きの端くれとしましては、一度は境港の水木しげるロードを訪れてみたいと思っていた次第です。
職種の都合で長期休暇を得るのが難しく、この機会を逃すとまたしばらくは無理そうだったので、存分に満喫しようと計画を立てていた訳です。
とは言っても旅慣れている訳でもなく、元々綿密な計画を立てて行動するような性格でもありませんので、3連休の1・2日目で水木しげるロード観光をして、3日目に京都観光をして帰るか、くらいの感じです。それをもとに宿泊場所を決めて予約したり、大雑把なルートを考えたり、荷物の準備をしたり、という具合ですね。
因みに3連休を取れるのが判ったのが9月初旬でして、それから計画を進めていたのですが、その3連休というのが、
9/30〜10/2 の3日間です。
9月30日、まだ記憶に新しい方も多いかと思いますが、台風24号(チャーミー)が日本を縦断した日ですね。
その数日前からかなりヤバいらしいという情報はありましたが、こちらとしても年に2〜3回あるかどうかの3連休なので譲り難い、取り敢えず辿り着きさえすれば、台風は通過してしまうから何とでもなるだろうと、鳥取行きを決行した訳です。
ということで、鳥取・京都探訪の記録を書き連ねていこうと思います。
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『神々の山嶺』回想シーンの演出について
ネット上は hagex氏の痛ましい事件に関する記事に覆い尽くされている感がありますし、名状しがたい感情が燻っているのも確かではありますが、自分はいつものようにマンガのことを何か書こうかな、と思います(とは言っても最近は更新頻度も非常に低い訳ですが)。
ということで、今回は唐突に『神々の山嶺』のことを書き連ねてみます。
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『よつばと!』調査報告:スクリーントーンの使用傾向と変遷について
先月末、『よつばと!』最新14巻が発売となりました。
【Amazon.co.jp限定】 「よつばと!」1-14巻セット【ダンボーBOX ver.3.0】
- 作者: あずまきよひこ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/05/03
- メディア: 単行本
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約2年5ヶ月ぶりの新刊となりますが、抜群の面白さでした。
よつばと周囲の人たちの日常を描いているだけのはずが、最高のエンターテインメントに昇華されているのは何故なのか、そんなことを考えてしまいますね。
会話の妙であるとか、間の取り方であるとか。
よつばの視点を通して見えてくる、これまで見えていなかった(或いは忘れてしまっていた)物事の見方とか。
周囲の誰もがよつばと真っ直ぐに接してくれる優しい世界観とか。
いろいろあるのだと思いますが、そういう雰囲気・空気感・世界観みたいなものが、細密に描き出されることで面白さに繋がっていくのかな、とか考える次第です。
それはそれとして、最新刊を読んでいて思ったのが、スクリーントーンをあまり使っていないということです。念のため説明しますと、スクリーントーンというのは中間色とか陰影とかを表現する際に用いたりするフィルム画材です。
『よつばと!』の特徴のひとつとして、細密に描かれた背景描写があると思うのですが、それを描く際にも、細かく線を引いたりカケアミ線を使って表現するケースが多い。巻を重ねるごとにその傾向は強くなっているようにも感じる訳です。
ただ、これはあくまでも読んだ際の印象なので、実際は違うかもしれない、思い込みに過ぎない可能性もある。
では調べてみるか、ということで、
既刊全巻、すべてのコマを調べました。٩( 'ω' )و
以下、その調査報告ならびに分析みたいなものをしていきます。
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「月刊MdN」2018年5月号のポプテピピック特集を読んでみた
タイトルのとおりです。
コミックナタリーの記事とかで知っている方も多いかと思いますが、4月6日に発売のデザイン雑誌「月刊MdN」2018年5月号にて、「ポプテピピックの表現学」と題された60ページに及ぶ特集が組まれています。
月刊MdN 2018年5月号(特集:ポプテピピックの表現学)
- 作者: MdN編集部
- 出版社/メーカー: エムディエヌコーポレーション
- 発売日: 2018/04/06
- メディア: 雑誌
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こうの史代さんの新刊はマンガ表現を題材にしたマンガ。『ギガタウン 漫符図譜』
1月中旬のことになりますが、こうの史代さんの新刊『ギガタウン 漫符図譜』が発売されました。
こうの史代さんといえば、2016年11月に公開され、現時点(2018年3月)においてもロングラン上映が続く劇場版アニメーション『この世界の片隅に』の作者として知られているかと思います。原作も、マンガの歴史に燦然と輝く名作ですね。
アニメのほうも、興行的な面はもちろん、多数の賞を獲得したりして非常に高い評価を得ているのは既に多くの方が知るところだと思います。
パイロットフィルムの製作資金をクラウドファウンディングで募集したことも話題になりました。余談ですが、自分もそのクラウドファウンディングをささやかながら支援しましたので、スタッフロールに名前があります。
٩( 'ω' )و
ところで、こうの史代さんの作風というか作家性みたいなものについて、どのようなイメージを持たれているでしょうか?
『この世界の片隅に』では、昭和18(1943)年〜昭和20(1945)年頃の広島・呉を舞台に、戦争と日常が地続きとなっている日々の暮らしが、ヒロイン・すずさんの想像力に彩られた視線によって描かれていました。もうひとつの代表作と言える『夕凪の街 桜の国』でも、広島が描かれています。
東日本大震災の被災地を訪ね歩く(訪ね飛ぶ?)絵物語風の『日の鳥』の存在とかも相俟って、日本への真摯なまなざしみたいなものを感じる向きもあるかもしれません。
そのようなイメージは間違っていないとは思うのですが、そこだけを見るのは片手落ちだろうな、というのが個人的な見解です。
こうの史代さんという方は、「マンガならではの表現技巧」といったものに非常に自覚的といいますか、それを強く意識したうえで作品を描いているという印象がある。
前述の『夕凪の街 桜の国』では「コマ割りと独白だけのページ」があったり、『この世界の片隅に』ではとある箇所から背景を利き手ではない左手で描くことで歪んでしまった「世界」を表現していたりします。
他にも、『長い道』という作品では普段とは違うペンを用いて作画したり、黒澤明監督の『天国と地獄』のように一部だけカラーを使用した作画を行ったりということもしていますね。違うペンを、ということでは、『ぼおるぺん古事記』ではタイトルからも判るようにボールペンで作画をしています(マンガ作品においてボールペンを使うのはかなり珍しい筈)。
(自分の知る限りでは)スクリーントーンをまったく使わない、というのも表現的な面での特徴かもしれませんね。
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「生賴範義展 THE ILLUSTRATOR」簡易レポ
1月6日〜2月4日にかけて、上野の森美術館で「生賴範義展 THE ILLUSTRATOR」が開催されています。
生賴範義氏については、知っている方は自分より遥かに詳しいかと思いますし、名前を知らないという方も、ほぼ間違いなく一度はどこかで作品を目にしたことがあるのではないかと思います。
自分の場合は、お名前を意識したのは比較的最近ですが、最初に接した作品は何かと思い返してみると、光栄(現コーエーテクモゲームス)が出したファミコン版『蒼き狼と白き牝鹿 ジンギスカン』や「ヤング・インディ・ジョーンズ」シリーズのノベライズ版表紙イラストになります。
ゲームの分野では光栄・コーエーのSLG(『信長の野望』『三国志』シリーズや『大航海時代』『ランペルール』etc)のパッケージ、映画にハマれば『スター・ウォーズ』『ゴジラ』に『EAST MEETS WEST』のイラスト、SFを読み始めたら『銀河パトロール隊』に最近kindleで購入した『ハイペリオン』シリーズの表紙、マンガを読み始めた流れで大伴昌司の大図解シリーズ良いねと思ったら実はそこにも多数のイラストを提供している...と、緩くではありますが何らかのかたちで生賴範義氏の作品には接し続けてきている訳です。
2014年に宮崎で開催された展覧会「生賴範義展 THE ILLUSTRATOR」(今回上野の森美術館で開催されているのはこれの巡回展というかたちになります)を機に本格的な再評価が始まった、という印象があります。同年には久しぶりの新作画集『緑色の宇宙』も刊行されています。
翌年の「生賴範義展 II 記憶の回廊」開催直後、2015年10月に、生賴範義氏は永眠されたのですが、「記憶の回廊」以降の図録は amazon でも販売されていて、長らく絶版・プレミア化が続きまとまったかたちで氏の作品に接することが難しかった状況は劇的に改善されてきています。
生?範義? THE LAST ODYSSEY 1985‐2015
- 作者: 生頼範義
- 出版社/メーカー: 宮崎文化本舗
- 発売日: 2016/12/03
- メディア: 大型本
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とは言えやはり現物をこの目で見てみたい、宮崎は些か遠い...という状態が続いていたため、今回の巡回展は非常に楽しみにしていた訳です。
前置きが長くなりましたが、ようやく昨日行くことができたので簡易レポを書いておきます。
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